更年期障害になりやすい男性の特徴と対処法
「意欲や気力が低下し何もする気がしない…」中高年の男性がこのような不調を自覚した時は「更年期障害」の可能性があります。男性の更年期障害には「なりやすいタイプ」があるのですが、それはどんな人なのでしょうか。
そこには「ホルモン」が大きく関わっているようです。
「ホルモン」は、体の状態を健康に保ち、成長や生殖機能を担う重要な情報伝達物質です。現在、人間には100種類以上のホルモンが見つかっています。最近の研究で、ホルモンはこれまで考えられてきた以上に様々な影響を心身に与えているようです。
その一例が、今回取り上げる「テストステロン」と呼ばれる男性ホルモンなのです。
男性の更年期障害は、男性ホルモンの大部分を占めるテストステロンの減少が原因です。初期症状としては、性欲の低下、ED(勃起不全)…
この他にも、抑うつ・不安・イライラなどの精神的な症状や、疲労感・頭痛・肩こりといった身体的な症状も表れます。
加齢・ストレス・睡眠不足などに伴う男性ホルモンの低下によって、様々な症状が生じることから、「男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」という病名がつけられています。
「最近なんだかやる気がしない」「疲れやすい」「気分が沈みがち」−−40代以降の男性に見られるこんな症状の原因として、「男性更年期障害」の可能性があるのです。
アメリカの調査結果においては、60代の2割、70代の3割、80歳以上の約半分と、かなり多くの男性がLOH症候群に該当すると推測されています。
治療には、生活習慣改善の指導と、テストステロン補充療法が行われます。
まずは、利き手の人さし指と薬指をチェックしてみてください。人さし指より薬指の方が長い人は、テストステロンの値が高い傾向にあります。
ちなみにこれは女性にも当てはまります。女性で薬指の方が長い人は、仕事を続けている人や女性経営者に多い傾向があります。
「男性ホルモン」という呼び方で誤解されがちですが、テストステロンは女性にも存在します。その量は男性に比べ10分の1〜20分の1程度ではありますが、閉経前でも、エストロゲンの10倍以上も存在するとされています。
(海外では「男性ホルモン」「女性ホルモン」という呼び方はされていません)
女性は閉経によりエストロゲンの分泌が急激に低下し、更年期障害で様々な心身の不調に悩まされます。しかし、テストステロンの分泌量は男性と違い生涯を通じてあまり変化しません。
そのせいでしょうか。女性は更年期を終えた後、再び元気になれるのです。
一方、男性のテストステロンの低下には個人差も大きく、原因のわからない不快な症状だけが発生し、治療を受けずに重症化するケースも珍しくありません。
LOH症候群の症状は以下の通りです。
【身体症状】
筋力低下・筋肉痛・疲労感・ほてり・発汗・頭痛・めまい・耳鳴り・勃起不全(ED)・「朝立ち」の消失・頻尿など
【精神症状】
健康感の減少・不安・いらいら・抑うつ・不眠・集中力の低下・記憶力の低下・性欲の減退など
気になる方は一度医療機関で相談してみてください。
男性の更年期障害は、全ての男性に起こるわけではありません。なりやすいのは、体力があって体格がよく、職場では無理がきくタイプの人です。
つまり、仕事やスポーツの世界でバリバリ活躍できる人なのですが、残念ながら「更年期障害」になりやすいタイプでもあるのです。肥満やメタボになりやすい体質とも言えるでしょう。
ただでさえ、更年期になるとテストステロンが減少し、各臓器に行き渡る量が減って不調が起こりやすいのに、「なりやすいタイプ」の人は、テストステロンが皮下脂肪や内臓脂肪に付きやすいため、ますます減ってしまうわけです。
そのため、運動は欠かせません。運動して余分な体脂肪を減らし、筋肉を増やすことによってテストステロンの分泌を活性化させていかなければならないのです。
つまり、
運動が更年期障害の予防法であり解消法なのです!
実は「更年期障害」であるにも関わらず、「性機能の低下」という人には相談しにくい症状が出たため、滋養強壮の健康食品(サプリメントを含む)に手を出す人も少なくありません。根強い人気があります。
しかし、こうした「健康食品」の摂取については注意が必要です。厚生労働省が行なった「インターネット販売製品の調査」によれば、強壮効果を目的とした健康食品44製品のうち、37製品から健康に影響のある医薬品成分が見つかっています。
ED治療薬においては偽造品も出回っているため注意が必要です。安易な購入や摂取は危険を伴いますので控えましょう。
男性の更年期障害は女性より遅く、60歳前後が多いようです。ちょうど定年退職という人生の節目と重なるため、「よく眠れない」といったストレスを抱えがちです。
しかしこうしたストレスの多くは、男性の更年期障害の原因となったりするのです。症状は多く複雑であるため、自覚症状があれば「更年期障害」を疑い医療機関を受診すべきなのです。
EDの症状は泌尿器科、精神的な症状は心療内科が適しているでしょう。自分でなんとかしようと様々な健康食品を試して時間と費用を費やすより、信頼できる医師に相談して適切な治療を始めた方が不調は早く改善します。