発達障害者が「自信」を取り戻すためにやるべきこと
それなりに普通に子供時代・学生時代を過ごし、就職活動もスムーズに進み、正社員として社会人をスタート。それからまもなく、忙しい社会人生活に慣れてきた頃、なんとなく仕事にストレスを感じ始め、そのうち休みがちになってきたAさん (20代男性)。
「このストレスはどこからきているんだろう?」・・・そう不思議に思って病院で診てもらうと、自分には縁がないと思っていた「発達障害」の診断が下され、一気に将来の見通しが暗くなってしまったのです。
Aさんに対する診断はこうでした。
「注意欠陥・多動性障害(ADHD)とアスペルガーにほとんど該当する」というもの。
Aさんは、自身のパーソナリティが “障害”と判断されてしまったわけですが、しばらくして、これまでの人生を振り返り、よーく考え直してみると、「なあんだ」「やっぱりそうだったのか」という感想にたどり着きます。
なんとなく「生きにくさ」を感じていたというAさんは、この診断に変に合点がいき、根っこに障害があったとわかったとき、「いっそすがすがしい」と感じたようです。
自分が特殊だという意識はない
「社会は発達障害に対して、どこか悲壮感みたいなものを求めているかもしれませんが、私にはネガティブな感情はありません。」
確かに子どもの頃、担任の先生から『手がかかる子』と言われていましたが、クラスのみんなは『面白い、面白い』と言ってくれていました。
それでも、中学時代は引っ越して、クラブ活動では馴染めず、イジメに遭ってしまいました。それでも、高校に行ったら自分と同じような生徒がたくさんいて、以降、「自分は特殊なんだ」という意識を持つことはなかったのです。
「私が幼少期から多弁だったのは、もしかすると発達障害ゆえ…かもしれませんね。授業中でも、相槌を打たれなくても、とにかくしゃべりまくっていました。」
ただ、
「当時はまだ発達障害という概念はなく、自分も親も “障害” という意識がなかったので、普通に一般学級に通っていました。今だったら特殊学級に振り分けられていたに違いありません。」
「そしたら、運命が変わっていたかもしれません。知らなかったからこそ、しれっと大人になれたような気もします。」
当時は大らかな時代で、私みたいな子どもに『バカ』というあだ名をつけても許される雰囲気がありました。差別はもちろんあってはならないことですが、差別に対して過剰反応するのも何か違う気がします。
きっと、現代の風潮に従って “腫れ物に触るような感じ” で扱われる方が、より深く傷ついてしまうに違いないのです。
発達障害だからこそ
テレビで芸能人の言動を見ていると、その多くが「発達障害者」だと見て取れるわけなのですが、このことからしてみても、「発達障害は悪いことではなく単なる特性であり、武器となり得る個性でもある」のです。
つまり、そういった自分の特性を「障害とは考えず、個性とみなしたらどうなんだろう?」と皆さんに訴えてみたいと思います ♡
私はこう思うんです。
障害を障害たらしめているのは環境で、別の環境においてはそれが障害どころか生きていくための武器になる!
発達障害は、つまるところ適応障害です。
「私の場合、たとえば直感だけは人一倍あります。データベース能力はニワトリ並みで、買い物リストを三つ以上覚えられない。四つめが出てきた瞬間一つ目を忘れちゃう。」
「その一方で、世の中の森羅万象を目にしたときにそれをパターン化する能力は突出しています。野生の直感力です。もっというと、私は前世サルだったに違いないとも思っています。」
「だからこそ、こんなにも自然が大好きだし、家族を大切にするし、争いを好まないんです。」
「自立」とは…
大人になってからいきなり「あなたは発達障害です」と告げられる人は少なくありません。だって、自閉症、ADHD、アスペルガー症候群、学習障害といった発達障害の日本人は、全人口の約6%もいるのですから。
社会人になってから、発達障害の特性に苦しめられる人はそれほど稀有ではないのです。中には、(自分が発達障害であることを) 自覚していないだけで、「仕事がたまらなくツライ」と感じている潜在的な発達障害の人も相当数いるわけです。
ただ、ここで気をつけていただきたいことは、
- 仕事などで過剰にストレスを溜め込む
- 体調を悪くする
- 場合によってはうつ病 (二次障害) を発症してしまう
こうした状況を克服するためには「精神的に自立すること」が大事なのです。ここでいう「自立」とは、① 「周囲の世界と自分の世界を分けて考えられること」 ② 「自分の世界から周囲の世界の影響を取り除けること」
おわりに…
発達障害を自覚している人は、とかく周囲からマイナスの影響を受けやすく、ネガティブマインドのスパイラルに陥りやすいものです。
例えば、上司から「そんなやり方じゃダメだっ!」と厳しくやり方を押しつけられた場合、発達障害の人は「自分が悪いんだ…」「自分が発達障害だから…」と自分のせいにしてしまいがち。
しかし、そうではないんです。
上述した「自立」の観点から、「実は上司の考え方の方がダメかもしれない」と考えてみる必要もあるのです。もっと視野を広げて考えてみると、「上司の考え方は自分でコントロールできるものではない。だったら、それはそれとして、自分の考え方を大切にするのもアリだ」と考えてみるべきだと思うのです。
では最後に、「どうすれば自立できるか」の具体的な方法をちょっとだけ紹介しておきましょう。
◉ どんなジャンルでもいいので、興味のある本をたくさん読む (多読) → イメージ力アップ ☆
◉ たくさんの人と会って会話をする → 他者の気持ちを理解しやすくなる ☆
◉ 「講演を聞く」「ワークショップイベントに参加する」 → 実体験を通して得られるような情報を身につけることができる ☆
これらには、「認知行動療法」に近いものがあります。例えば多読習慣を身につけるだけで、ストレスに強い体質に生まれ変わることができます。
さらに、「自立」することで、「再び夢を追う」ことも可能になります。人には、仕事の合う合わないが (どうしても) あるものです。初めから天職に就けている人はごくわずか。シビアな条件が付きまとう発達障害の人にとってはなおさらのことなのです。
発達障害の方が自信を取り戻し、まだ出会っていない (であろう) 天職を引き寄せられるよう、心から願っております。