知的障害者の「仕事探し」と仕事上の「ミス」「対処法」

 

知的障害のある人が仕事を探す場合、一般の人と同じ方法で探すのも一つの手ですが、診断名のある方や療育手帳を取得している方は、公的支援を受けてみてもいいのではないでしょうか。

例えばハローワークには障害者専用の窓口があり、求職申込みから就職後のアフターケアまで一貫して対応してくれます。なので、まずは窓口であなたの障害の特性について伝え、仕事を探していること、仕事で不安に感じていることなどの相談をしてみましょう。

 

さらにハローワークでは、「若年者コミュニケーション能力要支援者就職プログラム」として、発達障害などでコミュニケーションに困難を抱えている場合の支援なども行っています。

不安な場合には、発達障害者支援センターや医師との連携をとってもらうこともできます。自分で適職を探すことが難しい場合には、適職を探す方法や調べてもらえるところも紹介してもらえます。どんどん利用しましょう!

 

就労支援・・・

発達障害や知的障害のある方に対する就労支援は昨今、強化されつつあります。ハローワークに限らず、各自治体やNPO団体などの支援も受けられるはずです。積極的に支援を受けて、少しでも良い仕事に就けるといいですね!

 

 

 

 

ハローワーク 〜 発達障害に関する制度

 

ハローワークでは、発達障害のある方が就職した場合、その事業主に対して助成を行う「発達障害者雇用開発助成金」という制度を設けています。他にも「障害者トライアル雇用奨励金」という短期間の試行雇用を行い、仕事に慣れることで実際の雇用につなげる制度もあります。

 

「就職するのは少し不安だなぁ」という方の場合には、就労移行支援という方法で就職をすることもできます。これは法律に基づいた支援で、就労移行支援事業所が各都道府県や政令都市の認可を受けて民間が運営しています。

この就労移行支援は手帳を取得していなくても支援を受けることができます。まずは、最寄のハローワークや就労移行支援事業所に連絡をとってみましょう。

 

さらに、「就職後も相談に乗ってほしい」という場合にはジョブコーチによる支援を受けることもできます。これは、就職後、職場にジョブコーチが出向き、職場でうまく仕事をしていくための支援をしてくれる制度です。

その他、就職前に発達障害者支援センターや就労支援センターといった支援施設に行くこともあります。職業訓練や職場対応訓練を実施している施設も多く、興味がある職業の訓練を受けて職場を紹介してもらうという方法もおすすめです。

 

 

 

 

知的障害の仕事での困りごと

まず、知的障害の方には、以下のような仕事上の困りごとがあります (発達障害、もしくは知的障害と発達障害を併せ持っていらっしゃる方にもいえることです)。

 

 


 ① 報告・連絡・相談ができない
知的障害のある方の特徴として、怒られるのが怖くて相談せず、黙ったままでいる…という点が挙げられます。なので、定期的に様子を見てもらうようにする、日誌を書くなど、上司や同僚と相談して、上手くホウレンソウができる環境を整えましょう。具体的に指示してもらうことも上手いホウレンソウの手助けとなります。

 


② 仕事内容を覚えられない

理解をするのに時間がかかったり、記憶が苦手であるために、仕事内容をなかなか覚えられない方が多くいらっしゃいます。根気強く繰り返し教えてくれる先輩がいればいいのですが、多くの場合、相手がイライラして、叱られてしまうことが多いかと思います。

そこで、仕事手順などをメモして机に貼っておいたり、(言葉で理解するのが難しい場合には) 絵や写真を利用するなど工夫してみましょう。それでも叱られることは多いかもしれませんね。でも、ゆっくり少しずつやっていくしかありません。焦らず、少しずつできることを増やしていき、自分に合った仕事方法を見つけるよう心がけてみてください。

 

 


 ③ スケジュール管理ができない
自分でスケジュールを決める…といったことが苦手な方もいらっしゃいます。その場合にはスケジュールを紙などに書いてもらい、タイマーや時計を使ってスケジュールを管理できるようにしてみてください。
仕事に時間がかかる可能性もあるので、期限に余裕のある仕事にしてもらったり、早めにスケジュールを伝えてもらう…などの工夫も効果的です。また、「大体何時」や「適当に」といった曖昧な表現は苦手な方も多いので、具体的な数字や時間を伝えてもらうようにしましょう。

 


 ④ 周りから孤立してしまう
空気を読めなかったり、暗黙の了解を理解できないために職場で孤立してしまう場合もあります。まずは知的障害というものについてきちんと理解してもらいましょう。
もし (万が一) 会社でいじめを受けている場合には、我慢をしてまで頑張る必要はありません。自分に合った転職先を探すことも大事です。まずは家族や支援センターなどに相談してみましょう。

 

 

 

 

知的障害であることを会社や上司に報告しておくことのメリット・デメリット

 

知的障害者の雇用人数は年々増加し続けています。そのため、知的障害であることを会社や上司・同僚に報告している方も少なくないでしょう。ハローワークでは障害者枠での雇用もありますし、障害者の雇用を促進する法律も定められてきたことが理由の1つに挙げられます。

 

そこで、会社に知的障害であることを知らせておくことのメリットなのですが、まず、「休暇や仕事内容など働きやすい環境を考えてくれる点」が挙げられます。

また、 (周囲の人たちが障害のことを知らない場合)  職場でいじめを受け、うつ病などのいわゆる二次障害になる可能性もありますので、(知的障害であることを考慮した上での就職であれば) 離職が少なく定着率も高くなるでしょう。

 

一方で、「仕事内容が単純作業のみになりがちな点」はデメリットと言えるかもしれません。

ただ、知的障害を告白することで適切な対応をしてくれる方もいれば、偏見を持つ方も少なからずいることを念頭に置いておきましょう。

 

 

 

 

おわりに

知的障害の程度は軽度・中度・重度と人それぞれです。知的障害に対する認識も様々です。そこで、知的障害であることを伝えることが心配な方はまず、支援センターや担当医に相談してみることをおすすめします。

現実問題として、知的障害の方が就業する場合、多少の困難はつきものです。中には使用者などから虐待を受けてしまうかもしれません。そんな際には、本人から周りに助けを求めるのが難しい場合もありますので、虐待に気づいた方は障害者虐待防止センターなどの専門機関に知らせてあげてください。

 

知的障害を含む障害者の就職支援は進み、少しずつ就職しやすい環境が整いつつあります。しかしながら、まだまだ偏見も多く、うつ病などの二次障害を起こしてしまう方がいるのも事実です。困った時は一人で抱え込まず、就職支援の指導員など、必ず誰かに相談できる環境を作っておくことも大事です。

当然、知的障害と診断されたからと言って仕事ができない…ということはありません。楽しみながら仕事をされている方も多くいらっしゃいますし、職場から信頼されている方も多くいらっしゃいます。

 

というわけで、

就業を望まれる方は、ハローワークや就職支援センターを通じて、自分の得意・不得意を判断し、自分に合った仕事を探してみてくださいね!

 

 

 

 


最終更新日:2017/12/04