自閉症 (スペクトラム) の症状と特徴!ADHDとの違いは?
自閉症 (Autism) は先天的な発達障害の一つで、主に3つの特徴があります。① 言葉の発達の遅れ ② 他人との社会的関係形成の困難さ ③ 興味や関心が狭く、特定のものにこだわる
自閉症は何らかの要因によって脳に障害が起こったものとされており、WHO (世界保健機関) の分類では広汎性発達障害に含まれます。
広汎性発達障害のうち、知能指数が高い (IQ70以上) 高機能自閉症の場合は「アスペルガー症候群」、知能指数が低い (IQ70以下) の場合は「カナー症候群」にあてはまります。
ただ、広汎性発達障害のサブカテゴリーである「自閉症」や「アスペルガー症候群」という言い方は変更され、現在は総合的に自閉症スペクトラムと呼ぶようになりました!
なので、以前「自閉症」や「アスペルガー症候群」と診断されていた方は、今は「自閉症スペクトラム」ということになります。
自閉症スペクトラム = 自閉症 + アスペルガー + more
広汎性発達障害 = 自閉症スペクトラム + レット障害
※ 他にも諸説あります
そんなややこしいことはさておき、、、
自閉スペクトラムの人はこだわりが強く、他人に合わせることが苦手で、コミュニケーション能力に問題を抱えている…ということをまずは理解しておきましょう!
そうしたことに生きづらさを感じ、普通の人より自殺率が高いとも言われています。「幼い頃から孤立しがち」「友人をつくることができない」「高校を中退する」などなど・・・生きづらいんです…
また、自閉スペクトラムの人は、得意なことと苦手なことの差が極端でもあります。
ASD (Autism Spectrum Disorder) = 自閉症スペクトラム
自閉症スペクトラム症の特徴
🔴 社会性に関して、人とちょっと違います
◉ 遊びの能力が低い
◉ 同じ服を繰り返し着る
🔴 コミュニケーションに少し難があります
◉ 不自然な言葉遣いをする
◉ オウム返しをする
◉ グループワークが苦手
🔴 想像力 (感覚) にちょっとだけズレがあります
◉ 感覚が極端に敏感 or 鈍感
◉ 赤ちゃんの泣き声や車の音が苦手で耳をふさぐ
◉ 同じ遊びを繰り返し行う
◉ 暗黙の了解がわからない
◉ 空気が読めない
などなど・・・
一方で、
得意なことに対しては人一倍集中力を発揮できる…という特徴もあります。
ASD とADHDとの併存
実際問題として、
「社会性の難しさから空気を読んでいない(ASD的)」のか「衝動的に行動している(ADHD的)」のか、また「こだわりから作業を続けている(ASD的)」のか「過度に集中している(ADHD的)」のか、、、
専門家でも判別しづらいことがあります。
現在の診断基準では、自閉症スペクトラム (ASD) と注意欠陥多動性障害 (ADHD) は併存して診断できるとお考えください。
そもそも、診断名にはこだわらず、個別に具体的な支援をしてもらえれば、それでいいんです!
ADHDとの見分け方
ADHD(注意欠如多動性障害)とASD(自閉症スペクトラム)の違いは医学の定義上は明確です。しかし、実際「大人の発達障害」の当人に接すると、専門家でも明確にどちらの診断なのか断定できない場合もあります。
この為、当事者としては診断名にこだわるのではなく、ある程度は診断の特徴が重なる部分が多いことを認識するとともに、自分はどちらの傾向がより強いかを理解する程度にとどめておきましょう。
最後に、
両者の違いをざっくりと紹介しておきますね。
《 ADHD 》
◉ 不注意が多い
◉ 物を失くしやすい
◉ ミスが多い
◉ 気が散りやすい
◉ 物事の切り替えが難しい
◉ 段取りよくできない
※ 「注意欠如」と「多動」、大人になるにつれて「多動」は和らぎ、「注意欠如」の部分のみが残りやすいとされています
《 ASD 》 (自閉症スペクトラム)
◉ (好き嫌いなどの) こだわりが強い
◉ 自分のルールを曲げられない
◉ ルーティン通りにしないと不安
◉ 相手の気持ちをすぐに読めない
◉ 新しい環境が苦手
◉ 思い込みが多い
◉ 空気が読めない
◉ 言葉の表現力が乏しい
◉ コミュニケションが苦手
以上のように、特徴を書き連ねてみると、違いは明白なのですが、実は様々な共通する特徴もあり、専門家でも見極めは難しいものなのです。
例えば、「ミスが多い」のはADHDの特徴になるのですが、ミスはADHDの専売特許ではありません。ASDでもミスは頻繁に起こりえます。臨機応変に質問ができず、上司から言われた内容を勘違いしたまま作業し、後でミスを指摘される…というような状況です。
つまり、ミスをした…という表面的な部分だけをみるのではなく、原因と状況を深く考えないと、それがADHD的なミスなのか、ASD的なミスなのかわかりにくいのです。
結論としては、敢えて診断名をどれか一つに決めてしまう必要はないということ!
多くの場合、ASDもADHDも一緒くたにして「発達障害」、という大きなくくりでとらえる日本の慣習は、それほど間違っていないのではないでしょうか。
そもそも、ASDとADHDは重なる部分が多く、診断名に引っ張られないことが何よりも重要なのです。加えて、発達障害以外の要素、例えば、その人の性格、育ちの環境、周囲や家庭の障害・特性への考え方、その他の精神障害・知的障害の有無、年齢、などによっても特徴の出方が異なります。
追記
ある研究で、「オキシトシン」を小腸で吸収する仕組みが解明され、その結果、「未熟児の自閉症発症を抑制できる」かもしれないそうです。
オキシトシンは、「他人の心を推し量り、交流していく際に必要なペプチドホルモン」とされています。つまりは、社会脳の発達に欠かせないものなのです。
母乳中には、多くの栄養素とともに血液から濃縮されたオキシトシンが含まれており、母乳を飲むことで乳児にオキシトシンが伝わることは知られていました。
しかし、腸管では体にとって良くないものを取り込まない機構 (腸管障壁) が生後間もなく形成されるため、オキシトシンは腸管から自由に移行しないと考えられており、腸とオキシトシンの関係性はこれまでわかっていませんでした。
今回の研究で、小腸でもオキシトシンを吸収することがわかったのです。このことを踏まえて、オキシトシンを飲み薬として、あるいは粉ミルクに混ぜて摂取させることで、未熟児の発育の社会性低下及び自閉症スペクトラム発症を低減できる可能性があるといいます。
実証され、早期に実践されるといいですね!