日野原重明先生と世界の長寿村に学ぶ健康の秘訣とは
「生きてるだけで100点満点」
ふとこんなフレーズを思い出してしまいました。これは、100歳を超えた今なお、現役であり続けるご長寿ドクター日野原重明先生が99歳の時に執筆した著書のタイトルです。
医学の発展もあり、日本は長寿国となり平均寿命は毎年伸びています。日野原先生は以前「少なくとも110歳まで現役を続けることを目標にしている」とおっしゃっていましたが、あながち嘘ではなさそうです。
「睡眠時間は4時間半、週に一度は徹夜」と公言されていた日野原先生。96歳になると徹夜はやめ、睡眠時間を5時間に増やしたということですが、
それにしても本当に凄い方ですね〜!
「今でもスケジュールは2,3年先まで一杯!」
私たちも見習わなければなりません。
そこで、ここでは「健康長寿」をテーマとして、いつまでも元気でいられる秘訣を探ってみたいと思います (後半には日野原先生の名言も載せていますのでお楽しみに)。
イタリア南部にある人口700人のアッチャロリ(Acciaroli)村では、10人に1人以上の割合で100歳を超えているそうです。
これらの高齢者には、循環系に影響を与える特定のホルモンの値が一般よりも低いことが分かっています。
アッチャロリ村は、息をのむほど美しい自然が広がるパラダイス…
新鮮なオリーブオイルとともに、新鮮な野菜・果物・魚をたっぷりと食べる地中海ならではの食事スタイルが、長寿を生み出しているのかもしれません。
さらに、アッチャロリ村の住民たちは単に長生きなだけでなく、欧米諸国でよくみられる認知症・心臓疾患・老化に伴う慢性疾患の患者数も少ないのです。
ところで、循環系に影響を与える特定のホルモンとはいったい何なのでしょうか?
その正体とは…
ジャーーーン!!!
長寿のカギを握るそのホルモンの正体は「アドレノメデュリン」!血管拡張作用のあるホルモンだということです。
人は高齢になるにつれ毛細血管が衰えます。しかし、このアドレノメデュリンを多く持っていると、毛細血管年齢を若く保つことができ、長寿や健康にプラスの影響を与えることができるのです。
もう一つ注目すべき点は、彼らが脳機能を改善するとされるローズマリーをほぼ毎日摂っていること。そして、魚釣りやウオーキング、ガーデニングなど何らかのフィジカルなアクティビティーを日常的に行っていること。
やはり、「良質な食事」「適度な運動」「生き甲斐」の3つが揃ってこその健康長寿なのではないでしょうか ☆
高齢者を対象とした調査の結果、1日30分の運動を週6日間取り入れた人は、運動をしない同年代の人に比べて死亡リスクが40%低下することがわかりました。
何かと億劫になりがちな高齢者であっても、定期的に運動を行うことは大事!運動の強弱は関係ないとのことですが、
別の調査では、「週に数回きつい運動をこなす高齢者は、ほとんど動かない高齢者に比べて寿命が5年も長かった」と発表しています。
一方で
「高速ランニングなどの激しい運動を長期にわたって行うと健康に害を及ぼす」とも言われています。
つまりこういうことです。
- 軽いジョギングは健康に良い♡
- 激しいランニングと運動不足の死亡率は同じ
何事も、適度が良いということのようです。「健康のために」と激しい運動を繰り返していると、却って健康を害することになるみたいですね。
気をつけましょう!
車も人も、スピードオーバーは駄目!
(法定速度を守りましょう)
死亡リスクを抑え、寿命を延ばすことが目標なら、軽いジョギングを週に数回程度行うのが一番!
何であれ、「過剰」は不必要なだけでなく有害です!
さあ、ここで、話を日野原先生に戻しましょう。
超人的に活躍されている日野原先生の健康長寿の秘訣を探るべく、まずは食事と睡眠についてみていきましょう。
《どんな食生活?》
《睡眠方法は?》
《運動方法は?》
- 少食 (30代の体重・腹囲を保つ程度に)
- 植物油を摂る
- 階段は一段飛びで
- 速歩
- いつも笑顔で
- 首を回す
- 息を吐き切る (腹式呼吸で新鮮な空気を身体に取り込む)
- 集中 (仕事や趣味に集中すること)
- おしゃれに気をつかう (心が喜びます)
- 体重・体温・血圧をチェック (自分の体は自分で守る意識を持つこと)
最後に、日野原先生の名言をどうぞ ↓
人間にとって最も大切なのは、 命の長さだと思っている人は多い。 しかし、私が出会った人を振り返ってみて、 その人の命が素晴らしい命だと 思える人においては、 ごく少数の例外はあるにせよ、 命の長さはあまり問題ではない。
人間の夢見る幸福というのは、 往々にして、貧乏するとか、 仕事に失敗するとか あるいは病気にかかるということによって、 一瞬にして不幸に変わってしまうような、 儚いものである。 病のなかにも心の幸福を得るためには、 どうしたらよいかということを、 考えなくてはならない。
生きがいとは、 自分を徹底的に 大事にすることから始まる。
私たちの身体は土でできており、 身体は早晩、土に還る。 私たちは、この土の器の中に、 はかりしれない宝を入れることが出来る。 私たちの寿命は、 土の身体に何を容れるかを 模索することで費やされる。 器は器のためにあるのではなく、 中に何ものかを容れるためにあるからである。
鳥は飛び方を 変えることは出来ない。 動物は這い方、走り方を 変えることは出来ない。 しかし、人間は 生き方を変えることが出来る。 何事も、今ある規則のとおりに やっていたのでは進歩はない。 規則を破るようなことをやらないと、 現状はなかなか変わらない。 規則を破ったとしても、 皆が応援するような破り方をすればよい。 そうすれば、 新しい良い規則がずっと早く出来る。
自分のためにでなく、 人のために生きようとするとき、 その人は、もはや孤独ではない。 なんと言っても、 人が人に与える最高のものは、 心である。 他者のための「思い」と 「行動」に費やした時間、 人とともにどれだけの時間を 分けあったかによって、 真の人間としての証がなされる。
自分の命がなくなるということは、 自分の命を他の人の命の中に 残していくことである。 自分に与えられた命を、 より大きな命の中に 溶け込ませるために生きていくことこそ 私たちが生きる究極の目的であり、 永遠の命につながることだと思う。
自分以外のことに 自分の時間を提供するためには、 周りの人間から孤立して、 自分だけの世界に 閉じこもっていてはいけない。 人々とともに生きる世界に自分を置き、 周囲がいま何を必要としているのか、 自分には何ができるのかを絶えず考えながら、 毎日の生活を送る必要がある。
多くの人々は自分の財産や名声や 地位を得るために全力投球している。 それなのに、財産やお金よりも大切な、 自分の命のために 全力投球している人は少ない。 なぜ、その大切な命のために、 時間と財産を提供しないのか、 そうして安全に確保された命を 思いきり有効に使おうとしないのか。
老人のケアは苦労も多い。 しかし、いつの日にかあなたも、 あなたが老人にしたようなやり方で、 ケアされる日が必ず来るのである。
《日野原重明のプロフィール》
日野原重明 (ひのはら しげあき/1911年10月4日-/男性)は、山口県出身の医師、聖路加国際病院理事長。患者参加の医療や医療改革に向けての提言、終末医療の普及や「成人病」に代わる「生活習慣病」という言葉を提言するなど、医学・看護教育の刷新に尽力したことで知られる人物である。1993年に勲二等瑞宝章、2005年に文化勲章を受章。日本ユニセフ協会の大使にも任命されている。