ナポレオンの「栄光と挫折」人生 ① イジメられた少年時代
ナポレオンはフランスの英雄でした。ところで英雄とは何でしょう?「優れた才知と実力を持ち、到底できないと思われる事業を成し遂げる人」と辞書にはあります。
コルシカ人の熱い血を受け、フランス革命の嵐の中から出てきたナポレオンは、天才的な戦術でヨーロッパを征服し、フランスの皇帝にまで登り詰めます。
政治面では、革命によって生まれた社会改革のしくみを効率よく取り入れた「ナポレオン法典」を作り、国道や運河を作って交通を便利にし、産業の発達を計ったのです。また、小学校から大学まで学校制度を充実させるなど、フランスの発展に大きく貢献した人物、それがナポレオンなのです。
しかしながらナポレオンは、皇帝になった頃から「世界征服」という夢に取り憑かれ、ロシアやイギリスと戦って破れ、最終的にはセントヘレナ島に流され寂しい死を遂げることとなるのです。これも英雄と言われる者の運命なのかもしれませんね…
ナポレオンはコルシカという島で生まれました。そこはイタリアの近くにあり、弁護士の父も、おじいさんも皆この島で生まれたのです。
コルシカの人たちはとても我慢強く、頑張り屋でした。それに、約束は必ず守るという文化もありました。人を裏切ったりごまかしたりするのは恥ずかしいこと、それに、いくじなしも恥ずかしいことなのです。
そんな環境の中、ナポレオンはガキ大将としてよく喋り、よく笑い、とても愉快な子供だったので学校でも人気者だったのです。
コルシカ島は、何百年も前からイタリアのジェノバという国に占領されていました。コルシカの人たちにとっては屈辱的なことで、何度も何度も自分たちの国にしようとジェノバ軍と戦うのですが…
ジェノバ軍と違い、軍隊のないコルシカでは、くわや釜を持ち出して戦い、負けるのです。ジェノバ政府はコルシカの町々に軍隊を置き、コルシカ人を軽蔑し、重い税金をかけます。
「もう我慢できない!ジェノバ人にイジメられるくらいならいっそ戦って死んでしまった方がマシだ!」
こうしてまた戦争が始まるのですが、やっぱり負けてしまうのです。
「厄介な島だ」
こう考えたジェノバは、とうとうこの島をフランスに売りつけたのです。
「コルシカはコルシカ人のものだ!勝手に売り買いするなんて許せない!」
こうして、今度はフランス軍と戦いますが、やはり負けてしまうのです。ついにコルシカは、フランスのものになってしまいました。ナポレオンが生まれる1年前のことです。
ナポレオンは8人きょうだいの次男です。「僕は体が小さいから兵隊さんにはなれないなぁ。勉強して、大学に行かせてもらおう。」
そう考えていたナポレオンに父はこう言います。
「お前は軍人になりたくないかね。フランスの王様が、コルシカの子をフランスに連れてきて勉強をさせてやろうと言っているんだよ。お金も出してくれるそうだ。どうだ、フランスへ行ってみないか?」
こうしてナポレオンと兄のジョセフはフランスへ行くことになったのです。
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「あいつはイタリアの田舎っぺだよ」
「ナポレオンって変な名前だなぁ」
ナポレオンは体が小さく変なフランス語を話すので、みんなからバカにされていました。裕福な家庭に育った学友たちからは全く相手にされず、3年間、大好きな本を読んでいるときだけが寂しさも悲しさも忘れることができたのです。中でも好きだったのが「プルターク英雄伝」でした。
友達もなく、孤独だったナポレオンは
「いつか故郷コルシカのために立派な働きをする人間になってやろう!」と強く決意するのです。
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