統合失調症の原因と「ゼプリオン」治療薬について
お笑いコンビ「松本ハウス」のハウス加賀谷さんは統合失調症のため1999年にコンビ活動を休止していましたが、その後、2009年に見事復活を果たしました!しかし、復活までの道のりは決して平坦なものではありませんでした。
脳の働きの一部に異常が生じる病気「統合失調症」。。。
実は、思いのほか罹患率の高いこの病気は、本人の自覚がないままにどんどん進行していくのです。重症化を防ぐためには、家族や周囲の人たちが早期に異変に気づいてあげなければなりません。
「統合失調症」は、脳の働きの一部に異常が起きる病気です。発症すると「一生付き合わなければならない」とも言われていた統合失調症。。。
幻覚や幻聴のほか、抑うつ症状のために社会生活を送るのが困難になるのですが、およそ120人に1人の割合で発症するといわれており、それほど珍しい病気ではないのです。
◆ 原因
人間の脳には、目や耳から様々な情報を受け取り、それらの情報を処理して実行器官に指示を出す…という働きがあります。こうした情報のやりとりを行うのが様々な「神経伝達物質」です。
しかし、統合失調症になれば、この神経伝達物質が脳の中で過剰に分泌されたり、逆に減少したりすることで、情報を正しく処理できなくなり、脳に混乱が生じます。
・・・と、だいたいのメカニズムは分かっているのですが、病気の根本的な原因は、未だよくわかっていません。
ただ、発症には「生物学的要因」と「心理・社会的要因」の両方が絡み合っていることもほぼ間違いないようです。
◎生物学的要因
遺伝や性格などから、“病気の起こりやすさ”があると考えられています。
◎心理・社会的要因
代表的なものとしては「対人関係」です。また、「進学」「就職」「結婚」「出産」などの生活上の大きな変化がストレスとなり発症するケースもあります。
※ これらの要因が複雑に絡み合い、発症する可能性が高い…と考えられているのです (ほとんどの患者さんは、15〜35歳という若い年代に発症するのが一つの特徴でもあります)。
近年では、薬物療法に心理社会療法を組み合わせて社会復帰を目指す新しい治療法が増えてきました。ただ、患者には10代後半〜30代で発症する人が多いのですが、彼らの多くは治療を受けていません。
仕事上のストレス、対人関係の軋轢 (あつれき)、家族との死別といったストレスがきっかけで発症する病気なのですが、案外そのまま放置されてしまっているのです。その理由の一つは、本人に病気という認識がないからなのです。
やはり、周囲の人たちが何とか気づいてあげるべきなのです!自傷行為や家族への暴力などがあれば、「統合失調症かも…」と疑い、一度病院へ行ってみましょう。「統合失調症」であれば、入院して治療にあたることになります。
その後、攻撃性がなくなり、抑うつ症状が出てくることも多いので、「引きこもりがち」になったり「社会生活に支障」をきたしていたりするようであれば、やはり「統合失調症」を疑ってみましょう。
Aさん (20代男性) は高校生のとき初めて発症しました。受験勉強で寝不足や過度のストレスがかかり、情緒不安定となったことが原因のようです。その頃のAさんは、近所の人たちが自分の噂話をしていたり、自宅に盗聴器が仕掛けられていると考えるようになっていたのです。
不安が強くなり、とうとう外出しなくなってしまったため、家族に連れられ精神科のクリニックを訪れたAさん。「統合失調症ですね」と診断され、薬物療法と休養を1カ月間続けたことで、症状は改善していきました。
◉ 「統合失調症」治療の基本は、薬物療法と心理社会療法の組み合わせなのです
統合失調症の症状は、情報伝達を担う「ドーパミン」の働き悪化が原因と考えられているため、薬物療法として抗精神病薬が用いられます。抗精神病薬にはドーパミンの働き方を調節し、幻覚・妄想などの症状を取り除く効果があるのです。
中でも、1990年代から使われるようになった「非定型抗精神病薬」は、比較的副作用が少なく使いやすいとされており、うつ症状にも効果があるとされています。
また、統合失調症では、薬物療法と組み合わせて「心理社会療法」も行われています。なぜなら、統合失調症には「生活を送るのに必要な能力が損なわれる」二次障害と、そのために「仕事ができなくなる」「結婚ができない」といった三次的障害も引き起こされてしまいます。
そこで、通常の生活や社会復帰を目指すためにも「「心理社会療法」が取り入れられているのです。具体的には作業療法や生活技能訓練などがあります。医療機関によって受けられる療法は異なります。
ところが、これらの治療を受けても、必ずしもすぐに通常の生活に戻れるわけではありません。社会復帰は案外難しいものなのです。その原因として、最近注目されているのが認知機能 (記憶・注意・遂行機能) の障害です。
統合失調症の症状の中でも、社会生活に最も大きな影響を及ぼしているのが認知機能障害なのです。そして厄介なことに、従来の治療法では認知機能の向上は難しいのです。
そこで近年では、「認知機能を改善し、社会復帰につなげるための認知機能リハビリテーション・プログラム」を導入している医療機関なども少しずつ増えてきています。
お住まいエリア付近の医療機関が、こういったプログラムを導入しているかどうか、必要があれば是非確認してみてください。
治療薬「ゼプリオン」を使った患者が、発売からわずか2年あまりで85人も死亡していることがわかりました。ゼプリオンは2013年に製薬会社ヤンセンファーマから発売された注射薬です。4週間に1回打つだけで効果が持続し、販売実績から現在、月に1万2千人が使用しているといいます。
飲み忘れのある飲み薬と比べ、注射薬は当事者からすれば利点の大きい薬です。死因は自殺や心筋梗塞、がんなど。。。不安を抱えながら薬を使い続ける当事者のためにも、早急に原因を究明してほしいものです。
薬の処方は医師の裁量に任されています。医師たちは、適正な使用を常に考えながら治療をする必要があるでしょう。
こういう問題でつらい目に遭うのは患者とその家族です。一刻も早い真相究明が待たれます。