うつ病に伴う不眠を改善する方法
「うつ病」は21世紀になって急激に増えた病気です。“不眠不休”が原因の現代病とも言えます。「メタボ」や「花粉症」同様、「うつ病」はいまや流行の病名の一つとなってしまいました。
よく、うつ病になりやすいタイプとして「真面目で責任感が強い」「「人あたりが良い」などが挙げられますが、中間管理職世代の30〜40代に「過労によるうつ病発症率が一番多い」ことがそれを証明しています。
厚生労働省の調査においては、うつ病は「気分障害」というカテゴリーで扱われています。
「やる気が起きない」
「物事に対する興味がなくなった」
「億劫な気持ちになる」
「何をしても楽しめない」
「食欲がない」
そして
「眠れない…」
つまり、うつ病は気分に異常をきたしている状態であり、抑うつ気分、意欲・興味・精神活動の低下、食欲低下、焦燥感、不眠、継続的な不安・悲しみなどを特徴とした精神障害なのです。
サービス産業が盛んとなり、ホワイトカラーの都市型生活が定着している昨今、私たちは以前にも増してストレス社会に生きることを義務付けられてしまいました。
このため、官僚、銀行マン、IT系会社社長、医師など、様々な職種の人たちがうつ病を発症することになってしまいました。
仕事上のプレッシャーや多岐にわたるストレスが「うつ病」の主な原因なのですが、中でも、不安定な睡眠やアルコール乱用といった生活習慣の悪化が直接の原因となっているのです。
慢性的な睡眠不足とアルコール漬けの日々。。。これだけで十分、うつ病になって然るべきなのです。
ヒトの脳は、1日17時間を超えて覚醒を維持することはできません。しかも、このような長時間労働をこなす人たちの多くは「高度な知的作業」に携わっています。
睡眠時間はわずか数時間…
本当に良い仕事をしたいのであれば、よく眠り、万全のコンディションを保ってほしいと思うわけなのですが、どうやらそういうわけにもいかないようです。
会社が、社会が、許してくれないのです。
逆に「過眠」になってしまう人もいますが、一般的には、うつ病になると寝ようとしても眠れなくなってしまいます。
このため、睡眠不足となってしまい、日中はボーーッとして仕事に手がつかずミスを重ねたり、疲れが溜まってイライラしたりしてしまいます。
まさに悪循環に陥ってしまうわけです。
そこで、何とか頑張って眠ろうと飲酒をするとさらに眠りが浅くなってしまいます。抑うつ薬や睡眠薬を服用している方にとっては当然お酒はよくありません。
不眠症やうつ病に、アルコールはよくないのです!
うつ病患者のほとんどが睡眠の問題を抱えています。中途覚醒や早朝覚醒で睡眠不足になってしまったり、日中に強い眠気を感じてしまったり。
つまり、うつ病を発症する一つの流れは
不眠症 → (アル中) → うつ病
なのです。
そうでなくても
うつ病となる何らかの原因 → うつ病 → 睡眠障害
となってしまいます。
ご存知のように、うつ病と睡眠障害には非常に密接な関係があるのです。
「眠れない!」とおっしゃるあなた!
例えば、こんなことをしていませんか?
- 眠れないからとベッドでスマホやゲームをする
- 無理矢理眠るためにお酒を飲む
- 眠れないから、お菓子をついたくさん食べてしまう
- 眠る前にコーヒーや紅茶、コーラなどでカフェインを摂取している
- 眠れないからとついタバコを吸ってしまう
これらはいずれも睡眠の質を悪化させる行為です!
睡眠の環境を整えるために、是非、以下を参考にしてみてください。
<睡眠衛生のための指導>
指導項目 | 指導内容 |
定期的な運動 | なるべく定期的に運動しましょう。適度な有酸素運動をすれば寝つきやすくなり睡眠が深くなるでしょう。 |
寝室環境 | 快適な就床環境を整えましょう。音対策のためにじゅうたんを敷く、ドアをきっちり閉める、遮光カーテンを用いるなどの対策を施しましょう。快適な温度も大事です。 |
規則正しい食生活 | 規則正しい食生活を心がけましょう。空腹で寝ると睡眠が妨げられますので、睡眠前に軽食をとると睡眠の助けになることがあります。また、脂っこいものや胃もたれする食べ物を就寝前に摂るのは絶対に避けましょう。 |
就寝前の水分 | 就寝前に水分を取りすぎないようにしましょう。夜中のトイレ回数が減ります。脳梗塞や狭心症など血液循環に問題のある方は主治医の指示に従ってください。 |
就寝前のカフェイン | 就寝の4時間前からはカフェインの入ったものは摂らないようにしましょう。 |
就寝前のお酒 | 眠るための飲酒は逆効果です。アルコールを飲むと一時的に寝つきが良くなりますが、徐々に効果は弱まり、夜中に目が覚めやすくなります。深い眠りも減ってしまいます。 |
就寝前の喫煙 | 夜は喫煙を避けましょう。ニコチンには精神刺激作用があります。 |
寝床での考え事 | 昼間の悩みを寝床に持っていかないようにしましょう。心配した状態では、寝つくのが難しくなるし、寝ても浅い眠りになってしまいます。 |
これら基本的なことができていなければ、いくら別の方法で睡眠状態を良くしようとしても無理があります。
お薬に頼る前に、まずは基本を正してください。そして、入浴・軽いストレッチ・リラクゼーション (筋弛緩法) などで自律神経の働きを整えてみてはいかがでしょうか。
入浴は、38度前後のぬるめのお湯にゆっくり浸かりましょう!
ストレッチは、皆さんそれぞれのやり方で結構です。「凝っているな」「硬くなっているな」と思われる部位をほぐすイメージでやってみましょう!
リラクゼーション (筋弛緩法) は座ったままの姿勢で、
- 8割ほどの力で5-10秒ほど力を入れて、
- その後スーッと力を抜き、10秒ほど脱力する
ということを顔、手、足・・・と全身の筋肉に対して行っていく方法です。
これを寝る前に行うことで全身の筋肉の緊張が取れ、眠りに入りやすくなります。
筋弛緩法は病院・クリニックによってはやり方を指導してくれるところもありますので、興味のある方は問い合わせてみると良いかもしれません。