アダルトチルドレンを自覚し笑顔に変えた東ちづるさん

 

今の自分の周りで起きていることは「必然」なのかもしれませんが、それらの全てが「他人」や「環境」のせいというわけではありません。(あなたが) 遠い昔に身につけた「何か」が、その「他人」「環境」を引き寄せているため、「あなた自身」にも原因があるのです。

ところで、今も引きずっている「心の傷」のことをトラウマと言いますね。これは、「大事件」「大事故」だけがきっかけになるわけではありません。幼少期に親や身近な大人から受けた「何か」が原因で残る場合もあるのです。

 

特に、「家族が世界の全て」だった子供時代に受けた強烈な「何か」は根深いトラウマとなります。身近な大人が絶対的存在である子供にとって、抵抗はできず全て受け入れるしかなかった結果として、トラウマが残ってしまうわけです。ず〜っと深〜いこころの意識の底に、無自覚に存在しているのです。

このトラウマが癒えることなくそのまま大人になってしまった人たちのことを「アダルト・チルドレン」と言います。

 

 

人生に大きな悪影響を与える「後遺症」

言葉のニュアンスから、アダルト・チルドレンは「大人になっても子供のままの人」と誤解されがちですが、そうではありません。「大人になっても子供の時に受けた傷を抱え続けている人」のことをいうのです。

親 (大人たち) に悪意があろうがなかろうが、結果として機能不全の家庭で育った子供たち。「虐待」(言動や暴力) 「ギャンブル・アルコール・薬物依存」「不倫」・・・原因は様々ですが、いずれにせよ、子供の頃の (自由に振る舞えなかった) 経験が現在を「生きる」うえで大きな支障となってしまっているわけです。大人になった今も、心や人間関係に障害を持つようになるのです。

たとえば、本当は嫌なのについつい周囲の期待に沿って振る舞ったり、相手に「NO」と言えなかったり、自分の感情が自分でわからなかったり、生きることを楽しいと思えなかったりと…いった様々な生きづらさを感じてしまいます。遠い昔の傷が、今現在の生活・人生に大きな悪影響を与えるほど、後遺症は大きなものなのです。

 

 

「アダルトチルドレン」を認めるということ

ここで問題なのは、「アダルトチルドレン」は次の世代にも同じ悪影響を伝えてしまうということです。自分の問題に気づいていないと、(自分だけでなく) 周りの人や次の世代の人生をも惨めなものにしてしまいます。だからこそ、アダルト・チルドレンであると気づいた人は、自分をいたわり、自分を癒す責任があるのです。

人生は選ぶことができます。傷を癒すことによって、自分の人生も家族との関係も、良いものに変えていくことができるのです。ちょっと乱暴な言い方かもしれませんが、「自分は親の犠牲だった」と認めてしまえばいいのです。

 

「親のことをそんな風に捉えることに抵抗がある」と思われるかもしれませんが、「気づき、癒される」ためには必要な作業のひとつです。そもそも、親のおかげでここまで来れたという気持ちと、親のせいでこんな苦しみを背負わなければならなかったという気持ちと、両方あって当然なのです。

ともあれ、犠牲者は癒されて然り。癒されてはじめて、「もう忘れよう」「親も大変だったんだろうな」「これが私」「今を大事に生きよう」と思えるようになるのです。

 

 

サーカスの小ゾウは「アダルトチルドレン」

サーカスに連れてこられた小ゾウは、足に鎖を付けられます。どんなにもがいても鎖はとれません。小ゾウは、自分の「無力さ」「不自由さ」を思い知らされます。そして、生きていくためにもがくことを諦め、順応していくのです。

やがて成長し、慣れてきた小ゾウの足の鎖はゆるいロープに変えられます。次に、ロープはスカーフに変えられます。逃げようと思えば逃げられるのですが、この時のゾウはもう「逃げることはできない」と信じ込んでしまっているのです。

幼い頃に刷り込まれた自己イメージに縛られてしまったゾウ。。。かわいそうな気もしますが、人間は自分の意思で変えることができます。「足にもう鎖はない。自分の力と意思でどこにでも行けるんだ」・・・こう信じることができれば、アダルトチルドレンから回復することができるのです。

 

 

「アダルトチルドレン」を自覚し笑顔に変えた東ちづるさん

大阪での会社員生活から芸能界入りし、「お嫁さんにしたい女優No.1」に選ばれたこともある東ちづるさんは長年、様々なボランティア活動に取り組んでいます。2002年には、「私はアダルトチルドレン (親の過干渉などで成人後も生きづらさを抱えた人)だった」と告白し、母親と一緒にカウンセリングを受けた経験を著書の中で語ってくれています。

もちろん、現在の彼女はアダルトチルドレンと真っ向から向き合ったことで、今は親との関係もよく、幸せな人生を歩むことができています。

 

母親の期待に応えようと優等生を演じていたのに、大学受験に失敗して「期待を裏切った」と言われたときはかなりショックだったそうですが、37歳の時、ある本に出会い「私はアダルトチルドレンなんだ」と気づいたそうです。

ここでの彼女の行動力はさすがの一言!実は母親も同じような経験をしていたことを知っていた彼女は世代連鎖を断ち切ろうと、2人でカウンセリングを受けることにしたのです。

その結果、2人は自分らしく生き、人生を謳歌することができるようになりました。

 

 

おわりに

「親はなくとも子は育つ」と言いますが、家庭や周囲の環境がどんな状況であっても、たいていの子は何とか育ち、困難を乗り越え、大人になります。しかし中には、優等生を演じたり、感情を押し殺したりする子も出てきます。親や周囲のために自由を犠牲にして、さらに大人になってからも良い子を演じ続け、とうとう心が壊れてしまうのです。

これを改善・克服するためにはカウンセリング (各種セラピー) が有効です。心を埋め尽くしていたマイナスのコマが、まるでオセロゲームで黒が白に裏返っていくように変化していきます。「浄化」されていくわけです。

 

「私はダメな人間」「私が悪いんだ」「愛される価値なんてないんだ」…。そんなネガティブな感情が、「私は私のままでいいんだ」「私は大切な存在なんだ」「私は愛される価値があるんだ」とプラスの信念に書き換わっていきます。

もしもあなたの傷が深い場合には、信頼できる誰か、あるいはカウンセラーの力を借りて健全な心を取り戻してください。適切に人に援助を求めることは、自分自身を大事にする健全な甘えです。そして、あなた自身の潜在力で「自分を癒し、愛することができる」ことを実感してみてください。

 

育つ過程で受けた心の傷は、自分の責任ではありません。それでも、それを癒すための責任は自分にあります。是非、信頼できる誰かにガイドになってもらいましょう。

そして、最終的には「癒しの力」はあなた自身の中にあるということを覚えておいてください。

 

 

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