「慕われる老人を目指して」終活に大事な心構え
日本人の平均寿命は女性が87.05歳で世界第2位、男性は過去最高の80.79歳と長寿記録を更新したようです (2016年、厚生労働省が発表)。
しかし、その一方で、介護を必要としている高齢者が増加しているのも事実なのです。中でも、物忘れが著しくなると、自分自身だけでなく、家族にとっても大きな負担がかかります。
ただの物忘れで済ませるためにも、今のうちから何か対策を立てておきたいものですね。
そこで今回は、
「慕われる老人を目指して」と題しまして、
誰の身にもやがては訪れるであろう高齢と衰えについて、どこにでもあるような話をひとつ紹介したいと思います。
玲子さんに異変が起き始めたのは5年前、夫が急死した頃のことでした。長男の孝志さん(55歳) が一人暮らしの母を訪ねたときのこと。
冷蔵庫前の床に座り込んだ玲子さんがアイスクリームを素手で頬張り食べているのです。旺盛な食欲はとどまるところを知りません。
この日を境に、火の不始末から台所で鍋を焦げ付かせたり、廊下で転倒したり、意味もなくウロウロしたりすることが目に付くようになりました。
そして、ついに、アルツハイマー型認知症と診断されるのです。
自宅から車で20分ほどのところにある有料老人ホームで生活することになった玲子さん。在宅介護も検討しましたが、当時は24時間対応の介護サービスは普及していませんでした。
孝志さんは小さいながらも子供服を扱う貿易会社の社長として、中国やベトナムなどに行ったり来たりする多忙な日々を送っています。
このような状況だったため、事前に老人施設の看護師や知り合いのケア・マネージャーに相談すると、「自宅での生活は不可能ですね」と入居を勧められたのです。
ベッドだけが置かれた広さ10畳ほどの部屋。小さなキッチンとトイレが付いた「終の住処」を、玲子さんは不安そうに眺めています。
なぜ、今、自分がここにいなければならないのかが理解出来ていない様子で、孝志さんの帰りしなに「行かないで!」と叫び、涙を見せるのです。
・・・
老人ホームに入居した玲子さんは写真を持ち歩くようになりました。それは玲子さんの両親や夫、そして孝志さんとの写真。
玲子さんを担当する介護福祉士の幸子さんが「ご家族の写真ですか?」と尋ねると、長男の孝志さんは判別がついたものの、成人式の振袖姿の女性が誰だかわかりません。
「お孫さんですかねー?」
記憶は薄れつつあっても、家族の写真は玲子さんの心の拠り所であり、宝物なのです。
いかがでしたか?
何か感じるものはありましたでしょうか?
どこにでもある日常のお話ですが、皆さんもきっと、これからいろんなことを想定していかなければならないことと思います。
当事者として、可能な限り「備えあれば憂いなし」状態にしておきましょうね。
人の名前が出てこない…
冷蔵庫の前に立って「あれっ、今、何を出そうとしていたんだっけ?」なんてことも。
できれば、心の老化は防ぎたい!ものですね。
1cmの段差につまずく…
小さな水溜りを飛越せない…
年々、体力の衰えは確実に忍び寄ってきます。
「でも、仕方ないよ…」と
心と体の衰えを、黙って見過ごそうとしてはいませんか?
還暦間近になってきて、「多少の老化はお許しあれ」と、家族の笑いのタネになることだってあるでしょう。しかし、笑えない老化もあるのです。
・心の老化…
・失敗を人のせいにする
・自分の経験だけを基準に発言する
・人に注意されると腹を立てるか落ち込む
こんな風になってしまったのでは、慕われる老人どころか煙たがれてしまいます。
自分の至らないところに気づき、人の意見を聞き入れてこそ、人は成長するというのに…
高齢者になってからの反抗期…
何とかしないといけませんね!
第一次反抗期は幼児の頃、自我の芽生えの表れでした。
第二次反抗期は思春期の自立の証です。
いずれも、これからの伸びしろを示す有意義な反抗期です。
しかし、中年期以降になってからの反抗期は、心の老化の兆しかもしれません。
敬われ慕われるおじいちゃんおばあちゃんを目指して、自分の落ち度を素直に反省出来る人であり続けたいものですね。
最期まで、愛される人でありますように…