60過ぎたら「やってはいけない」目の手術と目薬

 

病気が見つかって「薬を飲む」べきか「手術をする」べきかを悩む患者さんたち。例えば、白内障・緑内障・加齢黄斑変性などの「目の病気」にはどのように対応していったら良いのでしょうか。

とりわけ働き盛りの人の場合、「目の病気は命に直結するものではない」と軽く考え、目の不調に鈍感になる傾向があります。

 

そして、高齢になったときに「テレビ」「読書」「新聞」などの多くの楽しみが視覚に関係していることに気づき、後悔するのです。

果たして、目のトラブルは「歳だから仕方がない」ものなのでしょうか。そのまま放ったらかしにしておいても良いものなのでしょうか。

 

 

生活の質に関わる「目の健康」

近年の研究で、白内障による視力の低下と認知症の進行に大きな関係があることがわかってきました。つまり、白内障の方は手術を行うことで認知機能の低下が緩和される可能性があると判明したのです。

そもそも、視力が低下して目の機能が落ちれば、脳への刺激は激減するのです。逆に、白内障の手術を受けて視力を回復させることができれば、目だけでなく脳までもが大幅に回復することもありえるのです。

 

このように、目の状態は生活の質を大きく左右します。なので、衰えてきた視力をどう回復させるのかはとても大事なことなのです。

ヤブ医者ではない名医にかからなければなりませんし、どのような手術や治療法を選ぶべきなのかも非常に重要になってきます。

 

 

 

「白内障」の治療法

まずはじめに、多くの高齢者は白内障になります。特に、「よく目をこする人」「戸外で活動することが多い人」「ステロイドが含まれた薬を飲み続けている人」「食生活が偏っている人」「極端な太り過ぎか痩せ過ぎの人」などはリスクが高いようです。

紫外線や薬の飲みすぎ、偏った栄養バランスなどが原因で「白内障」は起こってしまうのです。水晶体 (目のレンズ) に様々なダメージが蓄積していった結果、水晶体は白く濁り「白内障」となるのです。

 

 

この白内障の治療には手術が一般的です。手術によって濁ったレンズを除去し、人工の新しいレンズと入れ替えるのです。実は、「白内障」「緑内障」「黄斑変性症」の中で、手術によって機能回復を望めるのは白内障だけなのです。

9割以上の確率で視力は回復できますし、合併症もごくわずかです。白内障の手術は、あらゆる外科手術の中で最もリスクの低い手術と言えるでしょう。

 

 

ただし…

 

 

 

手術が成功しても視力が回復するとは限らない

リスクがゼロの外科手術はありえません。中には、(外科手術がうまく行われたとしても)  術後に患部がうずいたり、不具合を感じる人もいます。目がゴロゴロする、シバシバする、調子がよくないといった感覚的な不具合は、たとえ視力が戻ったとしても一定数はあるものです。

そこで大事になってくるのが医者選び。是非、親身になって患者さんに寄り添ってくれるお医者さんに診てもらいましょう。

 

 

もう一つ注意すべき点は、白内障のほかに緑内障など他の疾患を抱えている場合です。このようなケースでは、白内障の手術を受けるだけでは回復しきれません。視力の低下が緑内障によるものか、白内障によるものかは手術前に判断できるものではありません。

仮に、目の不調の原因の9割が緑内障、1割が白内障だったとして、この場合白内障の手術を受けても視力はほとんど戻りません。さらに、白内障があることで (目の奥にある) 別の病気が見つからないこともあるのです。

 

このように、白内障の手術が成功したとしてもすぐに視力が回復するとは限らないことを事前に納得しておいたほうがいいでしょう。

 

 

 

点眼薬の効果は…

白内障の手術がいくら簡単だと言っても、リスクはあります。例えば、他の病気を患っていて薬を飲んでいる場合などは合併症が起こり得ます。白内障の手術中に瞳孔が狭くなり、手術の難易度が上がることだってあり得るのです。

ほかにも、プラビックス (血液をサラサラにする薬 ) やイグザレルト (抗血栓薬) などを飲んでいる方は、手術中に血が止まりにくくなるので注意が必要です。「目の手術だから前立腺や心臓の薬は関係ない」といった思い込みはとても危険なのです。

他にも、パーキンソン病や眼振など目や体が震える病気があると手術は難しくなります。このような場合には、(通常、局所麻酔で行うところを) 全身麻酔に切り替える必要も出てきます。

 

 

次に、白内障の治療において点眼薬が処方される場合もあるのですが、その効果のほどはかなり怪しいものがあります。世界的に見ても、先進国で白内障治療のための点眼薬を使っているところは日本以外にはありません。「効果がない」…というのが共通認識なのです。

すべての点眼薬にはアレルギー性結膜炎や目の充血といった副作用がありますから、そのリスクに比べて治療効果は薄いと言えるでしょう。

 

 

 

「緑内障」とは

次に緑内障の治療法を見ていきましょう。

 

 

緑内障は、(目に入ってきた視覚情報を脳に伝達する役割の) 視神経に障害が起こり視野が狭くなる病気です。眼球内の水(房水)の量が増え、眼圧が高まることが一因とされていますが、他にも理由がいろいろとあり、詳細は不明とされています。

 

 

(正常眼圧緑内障というものもあります)

 

ちなみに緑内障は少しずつ、本当に少しずつ見える範囲が狭くなっていくものなので、病気がかなり進行しないと自覚できない場合が多いのです。

 

 ストレスを感じやすい人

  近視の人

 遺伝

 糖尿病

 

など原因は様々ですが、70代の10人に1人が緑内障になると言われています。ちなみに、失明の原因のトップは緑内障です。

 

 

 

 

「緑内障」の治療法

緑内障は、白内障のように手術によって完全に視力を取り戻せる病気ではありません。ただし、適切な治療を行えば失明を避けることができる病気でもあります。

まずは右目と左目、どちらかの視野に異常がないかを確かめてみましょう (定期検診で眼底検査を受けることが望ましい)。

 

繰り返しになりますが、緑内障は手術で視力が回復することはありません。その上、(白内障手術と比較できないほど) 術後感染症を起こしやすいのです。

つまり、緑内障手術は最後の手段!を使ったり、生活習慣を変えてみるなどして、なるべく手術をしないように頑張るべきなのです。それでも緑内障の進行が止まらず、どうしようもない時にはじめて「手術」の選択が出てくるのです。

 

 

 

「緑内障」の手術と薬について

 

《 手術 》

緑内障の手術は、一般的に「眼圧を下げる」ことが目的とされています。具体的には、結膜の下に (目の中の) 水を逃がしてあげる手術を選択することが多いのですが、最近ではそれ以外にも新しい技術が導入されてきており、手術の安定性も上がってきています。

 

 

しかしながら、緑内障の手術は専門的な高い技術が求められます。白内障の手術をやっているからといってその施設で同じように緑内障の手術も受けられるとは限りません。他の目の病気に関しても同じことが言えますが、その分野の専門外来を看板として掲げている病院で手術を受けるべきです。

 


 

《 薬 》

次に緑内障の薬についてですが、現在の日本では緑内障の保険診療は「眼圧を下げる」ことだけが目的となっています。現実問題として、緑内障患者の7~8割は正常眼圧なので、そもそも薬を使う意味がありません。

「眼圧が高い」場合には点眼薬が処方されますが、例えば、緑内障の第一選択薬となっているプロスタグランジンという点眼薬には、「流産のリスク」を上げたり「まぶたが下がってくる」といった副作用があるため、注意が必要です。

 

 

「眼圧があまりに高い」と視神経が傷んでしまうので、を使用することになりますが、あくまで一時的なものです。眼科医の中には、この薬を『一生使用するもの』として処方する場合もあるようですが、使い続けると副作用の懸念が高まっています。

点眼薬は、眼圧が突然上がった場合のみに使用し、期間は長くても数ヵ月ほどが良いでしょう。

 

 

 

「黄斑変性症」とは

これは食事の欧米化や高齢化などのために増加傾向のある病気の一つです。詳しいことはわかっていませんが、「ストレス」「欧米風の食生活」「喫煙」などが原因で、網膜の中心部にある黄斑という部分の血管に異常が起きることが一因とされています。

黄斑変性症は、国から難病指定を受けており、目の病気の中でもとりわけ治りにくい重い病気と言われています。

 

 物が歪んで見える

 物が欠けて見える

 

 

目の奥に新しい血管ができ、そこから出血することもあります。そうなると、眼球の中全体に血が溜まってしまうことがあり、何も見えなくなってしまいます。この場合は、溜まった血を取り除き、人工の水に置換する手術が必要になります。

 

 

 

「黄斑変性症」の治療法

一般的な治療法としては、抗VEGF抗体という薬を眼球に注射する方法があります。これは病気の進行を遅らせる効果はありますが、あくまで対症療法。

しかも医療費が高い!1回の注射で患者の負担は5万円程度 (3割負担の場合)。頻度は症状の進み具合にもよりますが、2ヵ月に1度程度は行うので、1年間治療を続ければ年に30万円という高額な負担になります。

 

 

他にはレーザーを使った治療法もありますが、これは緊急の場合 (このまま放っておくと神経が死んでしまう) に行われ、めったやたらとするものではありません。

 

 

ほかにも、飲み薬としてカリクレインという循環改善薬があります。この薬は、胃の不快感以外に大きな副作用はないとされていますが、脳出血直後や急性膵炎といった病気をした後は再発の危険が増しますので、服用は控えた方がいいでしょう。

 

 

 

おわりに

全ての目の病気に共通して言えることですが、目薬の使い方には慎重になるべきです。特に、市販の目薬には防腐剤が多めに入っていることがあります。基本的に目を傷めるほどではないのですが、中にはアレルギーの人もいますし、炎症が起きてしまう人もいます。

また、目の充血を抑える薬の中には血管収縮剤が入っているものもあります。これは一時的に充血を取るだけであり、根本的な原因の解消にはなりません。

 

 

目は身体の一部であり、身体の他の部分の異常が先に目に出てくる場合も多い…ということを知っておきましょう。

白内障や緑内障、黄斑変性症は、基本的には活性酸素や体の酸化が原因で起きる病気です。手術や薬だけでなく、「食生活」などの生活習慣の改善が治療のカギになります。

 

目は身体の状態を映す鏡のようなもの。異常を感じたら、安易な手術や投薬は避けて、自分の健康を問い直すきっかけにした方が良いのではないでしょうか。

 

 

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最終更新日:2018/08/22