肺MAC症の治療:薬の効果と副作用について

 

「正直、あまり効果はありませんよ」と言われながら大量の薬を処方され、何年も飲み続けなければならないのは本当にしんどいものです。薬の効果を感じることができず、ただ副作用に苦しめられるのみ・・・

このような場合、いったい何を目標に治療を続けていけばよいのでしょうか?

 

現状、(完治が期待できない) MAC症においての治療目標は、薬を止めても再発や悪化がない状態を達成すること…です。そういった意味では、自覚症状が「軽い咳飲み」で日常生活に支障がないようであれば、経過観察のみで良いとも言えるでしょう。

一方で、症状がそう軽くない方の場合は治療を諦めるわけにもいきません。

 

 

薬は複数種を一生飲み続けなければならないの?

薬をやめた後、再発する人は少なくないようです。これは再感染するのか、それとも残っていた菌が再び増殖するのか、まだよくわかっていません。多くの場合は「再発」と思われますが、環境によっては再感染する場合もあります。

現在の医療現場において、例えばアメリカのガイドラインでは、菌が陰性になってから1年間治療したら終わって良いとされています。しかし、これで完治する人は稀です。日本の多くの専門家は、アメリカの基準より長く治療した方が結果が良いと考えています。

 

というわけで、個人差もあるので一概には言えないのですが、薬はある程度長期間飲み続けてもらうことになりそうです。残念ながら、現在世の中にMAC菌を完全にやっつける薬が存在していませんので、多数の薬剤 (基本3種類)を同時に使わないと十分な効果が期待できないようです。

それから、多数の薬剤を一緒に使うメリットとして、「非常に長期でも耐性が起きない」(菌が薬に慣れてしまわない) ということがあります。

 

 

クラリスロマイシンは少なくとも血液中の濃度が2μ/ml以上にならないとMAC菌には効かない (大量服薬が必要) という事がわかっており、このクラリスロマイシンも単独で服用を続けるとすぐに耐性ができてしまうのです。

 

 

 
 

エリスロマイシンとクラリスロマイシン


 

肺MAC症で治療を行う場合、基本は抗菌薬が使われます。様々な感染症に使われる「クラリスロマイシン」、結核に用いる「エタンブトール」「リファンピシン」の3種です。

この肺MAC症のための薬を飲んでいる方は、ステロイドなど免疫を抑制するような薬剤は併用してはいけません。

 

また、比較的軽い方や初期の方には「エリスロマイシン」という薬が投与されることもあります。もちろん、肺MAC症が治るわけではありませんが、ほとんどの方で咳や痰が減少します。さらに、肺MAC症への進展を遅らせる効果があると考えられています。

エリスロマイシンとクラリスロマイシンは同じ系統の薬剤ですが、エリスロマイシン少量を服用した方のMAC菌には、長期でもほとんどクラリスロマイシンへの耐性が生じていません。 しかし、エリスロマイシンで肺MAC症が治るわけではありませんので、やがては3種類の標準的な治療が必要になる時期がくるのです。

 

 

 
 

薬の副作用について

「副作用がきつい」ということで、長期の薬物療法を諦めてしまう方もいらっしゃいますが、「しんどくてどうしても薬が飲めない」方は100人中1人いるかいないかくらいの割合です。

やはり、「どうしても無理」なわけでないのであれば、投薬を続けていった方がいい場合が多いようです。とはいえ、やはり副作用はきついもの・・・
 

 

 

 

「クラリスロマイシン」の効果と副作用

 
「マクロライド系抗生物質」

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「エタンブトール」の効果と副作用

「抗結核剤」

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「リファンピシン」の効果と副作用

「抗生物質」

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おわりに

MACの治療に関しては、完治できるといった薬がないのが現状です。近い将来 (少なくとも5年以内に)、MAC症 (専用) の治療薬が発売される予定もありません。しかしながら今後、結核の薬剤が新しく数種類発売されることが予想されます。

その中に、MAC菌にもよく効く薬剤があるかもしれません。期待しましょう!

 

 副作用などを考えると、75歳以上の方の場合、年単位の内服継続は少し困難ではないでしょうか

 

 

 

 

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