パニック障害を克服した芸能人に学ぶ!「性格」との関連性について

 

日本では100人に3人の割合で発症しているパニック障害。。。突然の激しい動悸や発汗、頻脈、体の震え、息苦しさ、胸部の不快感、めまいといった症状を伴います。さらに深刻なことに、本人は「このまま死ぬんじゃないか」といった猛烈な不安感に苛まれるのです。

かつて、女優の大場久美子さんが「発病から8年かけて克服した」ことを公表し話題となりました。若い女性が罹りやすいとも言われていますが、果たして、罹りやすい人の性格傾向などはあるのでしょうか?

 

 

パニック障害を克服した芸能人

①  IKKO

30代でヘアメイクの個人事務所を立ち上げ、経営者としての責任が重くのしかかったため30代後半に発症してしまった美容家のIKKOさん。症状は過呼吸にはじまり、それが引き金となってパニック障害へと移行していったのです。

美容家としての活躍とは裏腹に、IKKOさんの症状はどんどん悪化。ただ、IKKOさんには心配してくれる知人がいてくれたことで救われたそうです。やがて、仕事一辺倒の生活を見直し、心にゆとりを持つよう心がけたことで克服できたそうです。

 


②  堂本剛

KinKi Kidsの堂本剛さんは、単身上京した15歳の頃からパニック障害の症状が始まったといいます。ホームシックにかかり、芸能界という華やかな世界で活躍する芸能人としての自分と本当の自分とのギャップに悩み、パニック障害が発症したのだそうです。

一方で、自分を素直に表現できる「音楽」や「親友」と呼べる堂本光一との出会いが克服への手助けになったともいいます。

 


③  長嶋一茂

プロ野球選手時代には、あまりにも偉大な父親の存在もあってか、過度のストレスからパニック障害に苦しんだそうです。しかしながら、引退し、芸能人として活躍できたことによってストレスから解放され、見事克服することができたといいます。

彼いわく、パニック障害を克服するためには「自分を責めない」こと。また、ストレスを上手く取り除いてあげることが大事だそうです。

 


 

他にも、

歌手でタレントの円広志さんなども発症 → 克服の経験者です。当時はパニック障害という病名が浸透していない時代だったため、医師からは「原因不明の難病」と告げられてすごく辛かったそうです。

 

 

 

パニック障害と性格は関係あるの?

 

少し前までは、「不安神経症」や「心臓神経症」などと同じように扱われてきたパニック症。。。原因は未だ解明されていませんが、「脳内不安神経の異常」「遺伝体質」「ストレスが原因」など、いくつかの説が提言されています。

一方で、パニック症になりやすい人にはある共通の性格があるのではないか…と いう研究も行われています。仮に「パニック症と性格に関連性がある」として、それはいったいどのようなものなのでしょうか?

 

研究によれば、パニック症は緊張する場面が多い人ほどかかりやすいと言われています。これは緊張状態によって自律神経に乱れが生じてしまうことが要因です。

ちなみに、交感神経の働きが正常でないと気力や集中力がなくなり朝起きるのが辛くなります。一方で、副交感神経の働きが悪いと食欲がなくなったり眠れなくなるなどの症状が起こります。

それでは、緊張する状態を作り続けてしまう人とはいったいどんな性格の人なのでしょうか?

 

 

 

パニック障害になりやすい性格とは

はじめに、「パニック症と性格」に深い関係性があるかどうかは断言できませんが、あるとすれば以下のような性格だと考えられています。

 

 

①  人見知りで引っ込み思案

心配性で、人と接するときにいつも気を張っている「人見知り」「内向的」タイプの人は、緊張状態が続く傾向にあります。これがストレスとなり、パニック症を引き起こすこともあるのです。

 


②  マイナス思考の人

小さなミスを気にしたり、物事を悪い方に考えがちな人、劣等感が強く自分に自信が持てない人なども要注意です。

 


③  がむしゃら

物事に真正面から飛び込み、一生懸命乗り越えようとする人もパニック症にかかってしまうことがあります。与えられた仕事をこなしていくバイタリティがある人ほど、失敗したときに無力感や無価値観を覚えてパニック症になってしまうケースも。

 


④  完璧主義

「こうあるべき」「こうしなくてはいけない」という考え方を持っている人もパニック症にかかりやすい性格だと言われています。常に気を張って過ごしているため、自分で自分を追い詰め、身も心もヘトヘトになってしまうことが原因です。

 

 

 

死の恐怖

閉ざされたエレベーターや飛行機、電車、バスなどの乗り物、長時間行われる会議など、自由のきかない場所に身を置く時恐怖に支配される心の病「パニック症」。

「このまま自分は死んでしまうのでは…」と思うほどに激しい呼吸困難に襲われます。そんなパニック障害と闘うプロ野球選手がいました。彼の名は小谷野栄一。華々しい経歴の陰で、小谷野さんはパニック障害と闘い、信じられない地獄を味わっていたのです。

 

 

2006年6月、当時日本ハムファイターズに所属していた彼の体に突然異変が。。。激しい動悸と心臓の高鳴り…「自分は死ぬかもしれない」…強烈にそう思ったそうです。しかし、ベンチに入るとスーッと症状が治まる。。。この繰り返しです。

小谷野さんの身に起きていた異変の原因…それは脳にありました。脳内で危険を察知する役目を果たす「扁桃体」。パニック障害はこの「扁桃体の誤作動」が原因とも言われており、わずかな緊張から恐怖や興奮状態を作り出してしまうとも言われているのです。

 

身体には特に異常はなく、練習は普通にこなせるのに試合になると急にあの恐怖が襲ってくる。。。小谷野さんは試合でバッターボックスに立つのが怖くて仕方ありませんでした。

そんなある日、チームドクターの勧めで心療内科を訪れ、そこで自分の病を初めて知ることになるのです。しかし医師の説明に彼は「心が弱い…」と言われているような気がしてどうしようもありません。

 

 

「バッターボックスに立つのが怖い」なんてチームメイトにも家族にも言えない。彼にできることはただ一つ。ドーピング検査のことも考え、極力弱い薬を飲むことだけだったのです。さらに、バッターボックスで吐くのを避けるため、食事は極力控えるようになります。

やがて、守備についている時にも異常な心臓の高鳴りや呼吸困難といった症状が現れるようになります。「人前で失態を晒せない」。。。その不安がさらに症状を悪化させるのです。

 

次第に控えに回ることが増え、焦りと不安はより一層大きくなるばかり。「また発作が起きるかも…」と考えるだけでパニックが起こります。「もう限界だ…」

精神的に限界に近づいていた彼は、9月になるとついに練習もできなくなってしまいます。部屋に閉じこもる日々。たまに外に出てもグラウンドと同じで動悸が止まらず「自分は死ぬのでは…」という恐怖にいつも悩まされていました。

 

 

食欲は失せ、涙が止まらず。

そんなある日、体調を心配した球団が「一度実家に帰って休養するよう」薦めます。「野球人生をいつも一生懸命に支え続けてくれた両親。自分の今の状態を知ったらきっとがっかりするに違いない。」

 

そう思っていた小谷野さんですが、両親は一切野球の話をしません。食卓に並ぶのは昔と変わらぬ母のカレー。小谷野さんはなんだかほっとします。そのことが彼を救ってくれました。

それまで食事がろくに喉を通らなかったはずなのに、なぜか夢中でカレーを食べることができたのです。

 

 

そして、心の思いを正直に両親に告げたのです。「恐怖でバッターボックスに立てないこと」「今年でクビになるのでは」という不安。

しかし母親は何も聞かず、「もしそうなったら家に戻ってきたらいい」と優しく言ってくれたのです。自分の全てを受け入れてくれた母。この日、彼は久しぶりに熟睡することができました。

 

実家から戻ってチームに合流した彼は、自分の情けない現状を全て仲間に打ち明けます。すると仲間たちは、「知っていたんだけど触れてはいけないものだと思っていた」と答えるのです。

こうして、みんなに話をしたことで心が楽になった小谷野さん。

 

「調子が悪けりゃタイムかけたっていいし、イケるまで何分かけたっていい。なんなら何回でも吐きゃいいじゃねえか」

この言葉を受けた小谷野さんは、「自分は今シーズン限りでクビだろう。それなら思いっきりやってやろう!」と開き直ることができたそうです。

 

 

 

 

まとめ

医者の診察を受ける頃には症状が治まり、検査を受けると異常なし。パニック障害は、ノルアドレナリンとセロトニンの均衡が崩れると発症する…とも考えられています。

(体内にある、恐怖や不安に関係している神経伝達物質をノルアドレナリンと呼び、興奮を抑える神経伝達物質をセロトニンと呼びます)

 

このパニック障害を克服するために大事なことは何だと思いますか?

 

人はパニック症にかかると自己嫌悪に陥ることが増え、性格が消極的・悲観的になります。薬物療法や心理療法といった治療法もありますが、最終的には自分の意思で行動し、改善に向けて努力しようとする姿勢が大切なのです。

そのためにも、信頼できる人に思いっきり甘え、安らぎを頂戴するという発想も大事なのではないでしょうか。