夏休み明けが危ない!子供の自殺のサインを見逃すな

 

学校の夏休み明け前後に子供の自殺が急増する傾向があるとして、文部科学省は「自殺の予防対策に取り組むように」と教育委員会や学校に呼び掛けています。保護者に対しては「小さな変化でも、子供の異変に気付いたら相談してほしい」とも。

多くの子供たちは夏休みが楽しみなわけですが、学校でイジメに遭っていたり、何か思い悩むことがあったりと、長期の休み明けに自殺を選ぶケースがあるのです。

 

内閣府が自殺した日を365日別に分析したところ、9月1日が突出して多く、これに対し自殺対策白書は「長期の休み明け直後は子供に大きなプレッシャーや精神的動揺が生じやすい」と指摘しています。

最悪の結果を招かないために、「家が子どもにとって居心地よい場所か」「悩みを相談しやすい親子関係にあるか」などを今一度見つめ直していただきたいと思います。

 

思春期の子が感じる強いストレスが内に向けば、不登校や引き籠もりに繋がることがあり、ストレスが極限に達すると、自殺という形で表れかねません!

 

夏休み明けが危ない!子供の自殺のサインを見逃すな

 

 

 

 何とか自殺を未然に防げた事例 

40代の女性会社員は以前、当時中学1年の長男が通う学校の教諭から、「息子さんが学校でカッターナイフを持ち歩いているのを見た。自傷の恐れがある」と連絡を受けました。

女性は、長男が学校を休みがちになった時に声をかけたりしたものの、「それほど追い込まれているとは思いもしなかった」と感じていました。しかし、何となく気になった彼女は学校側と話し合い、危機を脱することができたのです。

 

長男は当時を振り返り、「お母さんは忙しいから、どう話せばいいか分からなかった」と話しています。

 

夏休み明けが危ない!子供の自殺のサインを見逃すな

 

 

 

 

 自殺に繋がる危険因子8つ 

 

(1)自殺未遂歴がある

前回は未遂で終わったかもしれませんが、適切なケアを受けられないままでいると、同様の行為を繰り返し自殺が現実のものになる危険性が高まります。

 

(2)うつ病など心の病がある

子供の自殺の背景には、大人同様深刻な心の病が存在する場合が多いそうです。うつ病だけでなく、幻聴、妄想、会話の内容がまとまらなくなるなどの症状が現れる統合失調症にも注意が必要です。その他、極端に食欲が低下した、激しく大食いをする、食後におう吐するなどの摂食障害も気をつけましょう。

 

(3)周囲からのサポートを得られない状況にある

子どもの“孤立”は要注意です。転校が多い、友達がいない、親が病気、親が離婚して適切な養育を受けられないなどが原因で、子どもは孤立になってしまいます。このような場合は、学校を中心にサポートしてもらう必要があります。

 

(4)いじめなど心の悩みがある

子どもたちにとっては「学校が全て」と言ってもいいほどに、学校は重要な役割を果たしています。その学校で、友達からいじめられたり無視されたりすると傷は深く、自殺に繋がりかねません。

 

(5)喪失体験がある

喪失体験とは、自分にとってかけがえのない存在や意味を失うことです。家族や親しい人、ペットとの別れ、成績の低下、部活動での挫折、転居や親の離婚など様々です。大人にとっては大したことがなくても、子どもは苦しんでいる場合がありますので十分な理解が必要です。

 

(6)事故を繰り返す傾向がある

これまで問題行動のなかった子どもが、突然事故や怪我が増え、自分の安全を守れない行動が目立つようになった場合は要注意です。無意識に自己破壊傾向が現れているかもしれません。

 

(7)他者の死の影響を受ける

家族の死、ひいては有名なアイドルや歌手、俳優などの自殺が連鎖的に子どもの自殺を引き起こす“群発自殺”も考慮する必要があります。子どもが動揺している場合は危険ですので、適切なケアを行なってあげましょう。

 

(8)虐待を受けた経験がある

心理的、身体的あるいは性的な虐待を受けた経験のある子どもは自尊感情が乏しいため、簡単に抑うつ的になり、自己破壊的になり、自殺に繋がりやすくなります。

誰にも相談できず、一人で悩んでいることもあります。子どもが発するサインに気づいたら、丁寧に話を聞き子どもの気持ちを受け止めてあげましょう。

 

夏休み明けが危ない!子供の自殺のサインを見逃すな

 

 

 

 

 夏休み明けに多い自殺 

子どもたちにとって、長期休み明けは生活環境が大きく変わる時期です。学校をストレスに感じる子にとってはそこに戻ることのプレッシャーや精神的動揺が強く、自殺に繋がりやすいのです。

自殺を防ぐには、まず、親が子どもの発するサインに気付いてあげること。その上で、子どもが自室に籠もったりしても闇雲に非難などせず、「家は安心できる居場所なんだ」ということを示してあげましょう。

 

安心すると、子どもは閉ざした心を緩ませて話しかけてくることがあります。その際、深い詮索はせず、まずは聞き役に徹しましょう。『お父さんお母さんは自分を理解しようとしてくれている』と感じてもらうことが大事なのです。

 

 

 

 

 悩みを相談しづらい子どもたち 

ただ、全ての子どもたちが親に相談するわけではありません。親友にだけ打ち明ける場合もあります。こういったケースでは解決策が出にくいものです。相談した側は『死ぬしかない』と思い込み、相談された側は『一緒に死のう』という発想に至ってしまう可能性だってあるのです。

こうした事態を避けるため、日頃から『大人に相談することが大事なんだよ』と繰り返し伝えておくことが重要なのです。」担任教諭、スクールカウンセラー、親戚、近所の人など、親以外にも周囲に大人が大勢いると教えておくのです。

 

夏休み明けが危ない!子供の自殺のサインを見逃すな

 

 

 

 

 電話で相談できる窓口も 

「大人たちに直接は相談できない」という子どもだっているはずです。その場合に備えて、日頃から「電話で相談できる窓口もあるんだからね」「何かあったら気軽に相談するんだよ、いいね」と伝えておいてあげましょう。

 

 

参考までに、こちらが「子どもの自殺予防の主な無料相談先 」です。

 

・文科省「24時間子供SOSダイヤル」((電)0120・078・310、毎日24時間対応) 掛けた人の所在地から都道府県の連携機関に繋がるようになっています。臨床心理士、教員OB、精神保健福祉士らが相談に応じてくれます。大人が相談しても大丈夫ですよ。

・NPO法人チャイルドライン支援センター「チャイルドライン」((電)0120・997・777、月~土曜の16:00~21:00) 18歳以下対象。一定の研修を受けたボランティアが相談に応じてくれます。

 

 

 

 

 おわりに 

もし、あなたが悩みを抱えているのであれば、躊躇せずに相談してみてください。もし、大切な人が悩みを抱えていることに気づいたら、是非声をかけてみてください。

そして、その人が悩みを話してくれたら、話をそらしたり「そんなことで」と否定したりしないであげてください。安易に励ましたりしないでください。

 

じっくりと話を聴いてあげましょう。相談窓口を紹介してあげましょう。

 

「何かあったらいつでも話してね」と力強く寄り添い、温かく見守ってあげてくださいね。

 

 

 


最終更新日:2017/11/28