初心者のためのNISA講座 ⑦ ニーサに向いている投信・向かない投信
さて、ここからは運用益が非課税 (税金ゼロ) になるNISAで、どのような投資信託を運用すべきかを見ていきましょう。
例えば、毎月分配金を出す投資信託を運用していこうと考えている方がいるかもしれません。しかし、実は、分配金ばかりを出している投信では「複利効果」が得られにくいのです。
※ 複利効果・・・運用によって生まれた利益を分配金として出すのではなく、運用する元本と共に再び運用することで投資元本を増やし、雪だるま式に利益を増やしていく効果
そういったことも踏まえて、以下で「ニーサに向いている投信」「向かない投信」についてみていきましょう。
投資信託は、「株を中心に運用するもの」「債券を中心に運用するもの」など様々なタイプがありますが、別の視点からみてみると「価格が変動しやすいもの」「価格が変動しにくいもの」の2つに分けられます。
「価格が変動しやすいもの」とは、「株を中心に運用する商品」です。これは利益が出やすい (ハイリターン) 分、損失も出やすい (ハイリスク) のです。
「価格が変動しにくいもの」とは、「債券を中心に運用する商品」です。こちらは利益が出にくい (ローリターン) 分、損失も出にくい (ローリスク) わけです。
これを基本の考え方として、「組み合わせ方」や「比率 (割合)」が多種多彩に存在するので、巷には本当にたくさんの投資信託商品が溢れているわけです。
では、その中からどうやって自分が投資していく商品を探し出せば良いのでしょうか?
(困りますよね〜)
上図のように、一つの投資信託商品に「国内株式」「海外株式」「国内債券」「海外債券」など、バランスよく資産配分(アセットアロケーション) されているものがバランス型と呼ばれる投資信託です。
また、投資信託の中には、様々なタイプの投資信託をまとめて「インデックスファンドシリー ズ」として出しているものもあります。
一般的にこうしたシリーズは、日経平均株価などの株式指標に連動するように作られたシンプルな商品設計となっており、低い運用コストと低い買付手数料をウリに、様々な資産に投資する商品を販売しています。
初心者の方が長期で運用するなら、まずはこのようなバランスファンドやインデックスファンドのような商品がやりやすいのではないでしょうか。
※ 「バランスファンド」については「初心者のためのNISA講座⑧」を参照、「インデックスファンド」については「初心者のためのNISA講座⑨」を参照ください
ここで一つ注意してほしい点があります。
ある程度長期で運用することを目的としたNISAでは、運用期間が長くなるほど高い運用コストがリターンを減らしてしまいます。
例えば、信託報酬が1%の投信を100万円で購入し、年4%で10年間運用したとすると、資産は約133万円になります。しかし、信託報酬が2%の場合は約120万円となってしまうのです。
※ 信託報酬・・・管理手数料とも呼ばれる投資信託の手数料
わずか1%の違いでもこんなに差がつくんですねー。やはり、手数料は安い方がいいのです。
初心者の方には、株式や債券など、複数種類の投資対象商品を一つにまとめてあるバランスファンドやインデックスファンドがオススメなのですが、一応、個別に「債券型ファンド」と「株式ファンド」についても簡単にみてみましょう。
債券は株などに比べて価格の変動が小さくリスクが低いのが特徴です。
この債券を中心としたファンドの中にも、「より価格が変動しにくい日本債券で運用するもの」「もう少し価格が変動しやすい先進国債券型」「新興国債券型」などがあります。
「極力損失を抑えたい」という方は、債券型の投資信託を多めに持つことを考えてはいかがでしょうか。
日本株や外国株に投資するタイプの投資信託がこれです。この株式ファンドの中にも、日経平均株価やNYダウなどの株式指標と同じような値動きをするように作られたものや、投資対象を分析して、積極的に利益を出すことを目的としたものなど種類は様々です。
NISAの「利益は非課税になる」という利点を最大限活かしたい方は、ここに分類される投資信託を利用しましょう。
ただし、リスクは大きめなのでご注意を!
いかがでしたか?
NISAを始めるにあたり、「リスクを抑えたい」のか「税金ゼロのメリットを最大限に活かしたい」のかによって商品の選び方は異なるのですが、あなたはどちらのタイプでしょうか?
投資の勉強がてら、「リスクを抑えた」ものから始めるのも一つの方法ですし、NISAらしく「少しリスクを負っても多くの利益をあげて大きく儲ける」ものを選んでみるのもいいでしょう。
すべての決断はあなた次第です。
例えば、「株式ファンド」を購入するにしても、少しリスクを抑えたいという方は、「バランス型ファンド」や「債券型ファンド」を一緒に持って、損失をカバーできるようにしておくのもアリだと思いますよ。
同じ投資信託でも、運用する商品の違いでリスクとリターンが違ってきます。株式ファンドで大きく利益を出すのも1つの投資法ですが、リスクが大きくなることは知っておいて下さいね。
前にも書いた通り、NISAでは損失が出ても損益通算が使えませ ん。複数のタイプの投資信託を購入し、ある程度リスクを分散させることが重要だと思います。
初心者のためのNISA講座⑧ 投資信託の種類と「バランスファンド」についてはこちら