「信用売り」のメリット・デメリットについて

 

一般的に、「株主優待」と「配当」を獲得した後は「株価は下落する」傾向にあるのですが、この株価の下落を何らかの方法でカバーすることができれば良いと思いませんか。そのために知っておくべき手段として「信用売り」というものがあります。

 

・まずお金を支払って株式を購入
・その後、株式を売却して売却代金を入手

というのが通常の株式売買の流れなのですが、「信用売り」ではこの売買の流れが逆になります ↓

 

・株式を他人から借り、これを売却 
・その後、同銘柄株を購入し、借用先に返却

 

通常の株式売買では「株価が上昇すれば儲かる」のですが、信用売りでは「株価が下がれば儲かる」仕組みになっています。上記の例では、まず株式を借用してこれを10,000円で売却し、その後同じ銘柄の株式を8000円で購入し借用先に返却すれば「差し引き2000円の儲け」ということになります。

この相反する性格を持つ「通常の株式売買」と「信用売り」を同時並行で実施すれば、通常の株式売買で損が発生した分、信用売りでは同額の儲けが発生し、お互いに相殺しあって株式売買での損益は差し引きゼロ…となる一方で、「株主優待」と「配当」はタダで獲得できる、ということになります。

 

 

「ふむふむっ、なるほど!」「この方法だとタダで株主優待と配当を獲得できる?」「じゃあ、全ての株式にこの方法を実施すれば毎年大儲けできるじゃないかっ!」とお考えのあなた!

目の付けどころは悪くないのですが、ちょっとお待ちください。世の中のルールとして、「ノーリスク・ハイリターン」はあり得ません。

 

まず、この信用売りという特殊な方法は、全ての株式で実施できるわけではありません。そして、これが重要なのですが、信用売りには様々な手数料が発生します。「売買手数料」「貸株料」「逆日歩」「配当落調整金」といった費用が発生するのです。

これらの費用が「株主優待」と「配当」の金額を上回れば、手間隙かけたうえに損をしてしまう、ということになります。世の中おいしい話はそうそうありませんので、くれぐれもお気をつけください。

 

 

つまり、信用売りのメリットはズバリ、

 

◉ 手元に株がなくても売りから取引できる

◉ 相場が下降局面でも収益チャンス

◉ つなぎ売りで賢く株主優待をゲット

ということにあるのです。

 

 

一方で、

◉ 自己資金以上の損失が発生する可能性がある

ことから、「信用取引は危険」とも言えるでしょう。損失や利益はレバレッジに比例しますので、自分がどの程度の損失がくを許容できるのかをあらかじめ想定しておきましょう。

 

適切なリスク・コントロールができれば、急な株価変動にも動揺せず、「信用取引」を有効活用することができます。というわけで、初心者の方は最初はあまりレバレッジをかけ過ぎないようにして、少しずつ慣れていくようにしていってくださいね。

「株価が下落しそうだなぁ」と思ったら、「信用売り」から始めてみるのもいいですね。