知的障害の症状は加齢で悪化するの?

 

「知的障害って改善しないの?」「症状は、加齢や環境の変化などによって進行するの?」

ご家族の皆さんにおかれましては、そんな疑問を抱くこともあるのではないでしょうか?

 

一概には言えませんが、発達障害も知的障害も、(うつ病や認知症なども含めて) 不適切な対応を受け続けてしまうと、加齢とともに二次障害も含めて状態は悪化する…場合もあると言えるのかもしれません。

 

知的障害に併発しやすい疾患

知的障害は、知能指数(IQ)で測られる「知的能力」の発達と、社会生活に適応する能力である「適応能力」の両方の状態から判断されます。普通に考えると、「生まれてから死ぬまで障害の「程度」は変わらないとも思うのですが、本当のところどうなのでしょうか?加齢とともに悪化することもあるのでしょうか?

・・・とその前に、知的障害には併発しやすい疾患があるということをまずは押さえておきましょう。

 

知的障害は、おおむね幼少期までに脳がなんらかの障害を受けたために「知的発達が遅れることで起こる」とされています。以下のような疾患も「脳の障害が原因で起こる」と考えられており、知的障害と重複することがあります。

 

◉ 発達障害

◉ てんかん

◉ 脳性麻痺

 

◉ 双極性障害

◉ 抑うつ障害

◉ 不安症

 

 

知的障害の特徴

知的障害は、症状の程度や年齢などにより、状態が様々に異なります。ここでは、症状の程度による違い・特徴について述べておきます。

知的障害は、その程度によって「軽度」「中等度」「重度」「最重度」の4段階に分類されます。

 

 

軽度

「計算」「抽象的な思考」「読み書き」「計画を立てること」「優先順位をつけること」などが苦手である場合があります。

 


中度

成人でも、学習技能は小学校程度の水準にとどまっていることが多く、複雑な意思決定や暗黙の了解とされるような事柄の理解が苦手である場合があります。

 


重度

いろいろと理解することが難しいため、生涯を通して支援が必要であることが多いようです。

 


最重度

コミュニケーションは、非常に限られた範囲であれば理解できることが多いようです。日常生活は、指示や援助を必要とすることが多くなります。

 

 

「軽度」という言葉に惑わされないで

知的障害者の多くは「軽度」と言われていますが、軽度であっても「生活上」「学習上」に様々な困難が生じているのも事実です。さらに、軽度であるがゆえの問題もあります。それは、、、本人が自覚しているため、「悩み」や「鬱」に繋がりやすいのです。

 

◉ 生きにくさ

◉ 自傷行為

◉ 犯罪

 

 

知的障害の症状は加齢で悪化するの?

知的障害のある人は「社会生活への適応」が難しく、日常生活の中で様々な困難に直面することがあります。しかしながら、「適切な環境」や「支援」が整ってさえいれば、その大部分は克服することもできるのです。

とは言え、彼らの中には「加齢」とともに、「生活習慣病」「合併症」「身体的機能の落ち込み」「認知症」などに悩まされる方も。

 

結論を申し上げると、知的障害の症状それ自体は加齢によって悪化することはありません。ただし、重度の方は (健常者と比べて)、年齢とともに「心身の機能が低下」しやすく、「早い段階で認知症を発症」しやすい傾向にあると言えなくもありません。

以上のような特徴は、障害を有するために、障害のない人の老化とは区別し、何らかの特別な支援や配慮が必要だということを示しているのではないでしょうか。

 

いずれにしても、「生きづらい」生活を送り続けている彼らに素敵な「笑顔」をつくってもらうためにも、私たちは「利他の心」を持って支援の輪を広めていく必要があると思うのです。