【投資術】キャピタルゲインよりインカムゲインを狙え!

 

「株式」にも「債券」にも「不動産」にも、キャピタルゲインインカムゲインの2つの収入形態があります。キャピタルゲインとは「保有している資産を売却することによって得られる売買差益」のことで、インカムゲインとは「資産保有中に得られる収益」のことです。

「不動産」では一般的に、キャピタルゲインを狙うのではなく、毎年の家賃収入 (インカムゲイン) を狙うのが良いとされており、土地価格の値上がり益は「おまけ」的な位置づけとなっています。

 

もっとも、「キャピタルゲインを獲得できるような土地でなければインカムゲインを獲得するのは難しい」とも言えますので、両者は「表裏一体」といっても過言ではないでしょう。

ですが、忘れないでいただきたいことは、「不動産投資のメインはあくまでインカムゲイン」だということ。キャピタルゲインはプラスアルファに過ぎません。

 

株式投資でもインカムゲインを狙え!

一方で、「株式投資はキャピタルゲインがメイン」と考えられがちです。ですが、株価上昇によるキャピタルゲインを得られるような株式はそもそも業績が好調なもの。よって、キャピタルゲイン狙いで株式を保有するとしても、その狙いが当たれば高い利回りの配当 (インカムゲイン) も得られます。

事実、銀行預金の利息がほぼゼロの現状において、 (配当利回りの高さに魅力を感じ) 短期間のキャピタルゲイン狙いではなく中長期的な保有を前提として、インカムゲイン目的の株式投資スタイルに切り替える方も少なくないようです。

 

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は image-9.png です

 

銘柄の選定基準は、

◉  財務の健全性

◉  利益水準の安定性

◉  時価総額の大きさ

といったところがポイントになります。

 

 

「時価総額」は1兆円以上の企業が一つの目安となり、例えば

・武田薬品工業(医薬品)
・みずほFG(銀行)
・伊藤忠商事(商社)
・三井物産(商社)
・住友商事(商社)
・NTTドコモ(通信)
・三井住友FG(銀行)
・三菱商事(商社)
・NTT(通信)
・アステラス製薬(医薬品)

 

といった企業であれば、配当利回りが4~5%台と「市場の平均値よりかなり高い水準」である傾向にあります。また、世界景気の先行きが不透明な現状では、幅広い業種に分散投資しておくことも重要です。

 

相対的にみて、景気変動の影響を受けにくい業種としては「医薬品」「通信」分野などで、逆に「商社」「銀行」などは世界の景気動向や金融情勢に敏感に反応する傾向にあります。

いずれにしても、皆さんにはインカムゲイン目的の投資をもう一度きちんと再考し直していただきたいものです。

 

 

「株価下落」と「無配転落」のリスク

もちろん、安定度が高いと考えられていた東京電力のような事例もありますので、上述したような基準で銘柄を選んだとしても、「絶対に安心」というわけにはいきません。

不動産の家賃収入にしても、「家賃の滞納」「空室」「地震等の災害による建物の損壊、消失」などがあり、必ずしも収入が保証されるわけではありません。

 

このように、投資は常にリスクにさらされており、銀行預金や国債の利率よりも「ハイリターンであるがゆえのハイリスクがある」ということもきちんと認識しておく必要があります。

「株式価格の下落・消滅」「無配」・・・

 

これらに対する根本的な解決方法は、早期に投下資本を回収することに尽きます。「株式価格の下落・消滅」については正直どうしようもないのですが、「無配」については「株主優待」という「自衛手段」があります。

 

 

株主優待の有利性

配当は、法律で定められた基準以上の利益が計上されなければその実施が禁じられています。なので、「配当が実施されるか否かは企業の業績次第」ということになります。つまり、業績悪化が継続すればその間はず〜っと無配状態ということになります。

一方で、株主優待にはこのような法的制限がありませんので、業績不振で無配転落になったとしても、株主優待についてはギリギリまで継続される傾向にあるようです。

 

ちなみに、仮に業績悪化で無配転落になったとしても、株主優待の利回りが7%あれば、これを15年間継続して保有すると株式価値の消滅というリスクに対する根本的な解決策である投下資本の回収はほぼ完了することになります。

また、通常の(好)業績時には、「配当」に加えて「株主優待」があればインカムゲインは底上げされ、投下資本の回収がより加速される…という効果もあります。

 

 

株主優待は必要なものに!

このように、インカムゲインの底上げ効果も期待できる「株主優待」には様々なものがありますが、可能な限り必要なものを選びましょう。要らないものをもらってもあまり意味がありませんからね。

間違っても、「株主優待利回り率の高いものから選ぶ」という選択方法だけはやめておきましょう。一般的には、「自社商品・サービスの提供」が一番お得感が高いようです。

 

ところで、(株主優待を含めた) 利回り率が高い株式はどのタイミングで購入したらよいと思いますか?例えば、銀行利息であれば保有期間に応じて利息が支払われますが、株主優待や配当は (保有期間は一切関係なく) 「権利確定日に株を保有しているか否か」のみで決定されます。

なので、(極端な話をすれば) この権利確定日1日だけ株を保有していれば、株主優待や配当の権利を獲得することができるわけです。参考程度に、一応覚えておきましょう。

 

権利確定日の3営業日 (土日祝祭日などを除いた営業している日) 前までに購入しなければ、権利確定日に株式を保有していることにはなりません。ただし、2ヶ月前くらいから株価は上昇する傾向にあるので、それ以前に購入した方がよいとも言えるでしょう。

 

 

 

おわりに

最後に、(株主優待を含めた) 投資のポイントを簡単にまとめておきましょう。

 

◉  (株式投資の一般的な考え方である) キャピタルゲインではなくインカムゲインを基本とし、中長期的スタンスで保有しましょう

 

◉  業績悪化による無配転落のリスクは回避しきれない

 

◉  目先の株価でなく、大局的観点から購入するのが基本

 

筆者の基本方針は「長期分散投資」なのですが、それとは別に「株主優待を勘案した個別銘柄の株式投資」もアリだと考えています。なぜなら、上述したきた通り、「株主優待」を勘案すれば利回りが非常に高くなり早期に投下資本の回収が可能になるからです。