蚊よりもかゆい「スケベ虫」の被害が拡大

 

奄美大島 (鹿児島県)や久米島(沖縄県)、米子市 (鳥取県)などでは近年、「干拓虫」(スケベ虫) による痒み (かゆみ) 被害が増加しています。噛まれると強い痒みが生じ、1カ月以上苦しめられることも。そんな「干拓虫」はとっても小さく、気付かないうちに服の中に潜り込むことから予防・防止が難しいのです。

 

対応に苦慮する自治体

住民からは「早く駆除してほしい」と切実な声が上がっているのですが、対応は非常に難しいようです。なぜならこの「干拓虫」の正体はハエの仲間「ヌカカ」(体長1mmほど)で、網戸を簡単にすり抜けてしまうからです。気付かないうちに衣服の下に潜り込むことから「スケベ虫」「エッチ虫」などとも呼ばれています。駆除策として、生息場所とみられる海岸近くの砂地に薬剤を散布することなどが考えられますが、「厳密な発生地・生息地が不明」「環境に悪影響を与える」などの事情から、対応は一筋縄ではいかないようです。本当に厄介ですね。

 

 

症状 & 時期

噛まれると赤くなり、人によっては痒みや腫れが1週間以上続きます。症状は長く続き、蚊よりも痒く、中には耳の中が化膿して入院するような人もいるようです。2月~6月が発生のピークで、住民たちは耳に綿を詰めたり風呂敷を頭にかぶったりして外出したりします。どうしても我慢できない人は、県外に避難するのだとか。

 

 

虫除けスプレーが欠かせない

鳥取県西部の米子市では毎年5~6月頃に最盛期を迎えます。干拓工事が行われた湖辺りで多く見られることから「干拓虫」の通称で呼ばれています。畑仕事をしている人は頭を覆って作業しなければならず、大量に寄ってきて仕事にならないという声も聞こえてきます。2020年度は「新型コロナウイルス」感染防止のために窓を開けて換気をしているため、屋内では虫よけスプレーが絶対に欠かせないようです。

 

 

雨上がりが危険!

様々な調査が行われていますが、「エサ」や「生存期間」など、その生態にはまだまだ多くの謎が残されています。ただし、「吸血するのは雌」で「朝夕や雨上がりの無風の日に多く飛び回る傾向がある」ことはわかっています。また、「荒廃農地などに幼虫が生息している」こともわかっています。近年は、発生抑制のために石灰を散布して土壌をアルカリ性に変えたり、土を掘って卵を掘り返したりすることが有効と分析されています。地域によっては、土地所有者に補助金を交付して石灰を散布してもらったりと、本格的な駆除を目指しています。

 

 

おわりに

長袖を着ていても隙間から侵入してきて噛むので「服の内側にも防虫スプレー」をした方が良さそうです。

今後も『ヌカカ』被害は増えてくると予想されています。これも「地球の温暖化」などの影響なのかもしれませんね。皆さん、お気をつけください。他にも近年、異常気象の影響もあってか「マダニ」や「日本脳炎」(蚊を媒介とする) といった様々な病原体が厄介な存在となってきています。自分の身は自分で守らなければなりません。可能な限り、微生生物にやられない工夫をしてお過ごしくださいませ。