体が痒いのは肝臓病 (腎臓病) かもしれません

 

痒み (かゆみ) には、皮膚トラブル (疾患) が原因で起こるものと「見た目には異常のないもの」の2種類があります。前者はアトピー性皮膚炎・蕁麻疹・虫刺されなど。そして後者は「肝臓病」など内臓に原因があるのです。

このような痒みは「全身がかゆい」「薬が効きにくい」などの特徴があります。

 

頑固な痒みには要注意!

「皮膚は内臓の鏡」です。内臓に不調であれば、見た目にはわからなくとも「強い痒みを生じる」ことがあるのです。「掻 (か) いても掻いても痒みが治まらない」「痒くて眠れない」「薬が効かない」・・・

このように、内臓疾患が原因の痒みはQOL (生活の質) を低下させ、睡眠障害すら招いてしまいます。

 

 

肝臓病が原因の場合

肝臓病の痒みは、体内のオピオイドと呼ばれる物質が関係していると考えられています。肝臓病を患っている方々は、この物質が過剰に作用し、「掻いても治まらない」「薬が効かない」ほどの痒みを感じてしまう…というわけです。

つまり、オピオイドによって引き起こされる肝臓病の痒みは、 (皮膚の異常を原因とする痒みと違って) 脳が直接刺激され感じる痒みのため、全身に現れ、掻いても治まらないのです。抗ヒスタミン薬などの一般的な痒み止めが効きにくいなどの特徴があります。

 

 

腎臓病が原因の場合

「耐えられない」ほどの身体の痒みは、肝臓病以外にも腎臓病によっても引き起こされます。腎臓は体内や血液中の老廃物を尿へと捨てる臓器なので、腎臓が悪くなると老廃物が血中 & 皮膚に溜まってしまいます。

この老廃物が皮膚の中にあるミュー・ペプチド受容体を刺激し、その電気信号が脳へと伝わって「痒み」を感じるわけです。この現象は腎機能が著しく低下した人工透析患者さんたちに多く見られ、半数は「強い痒み」を感じるのです。腎臓が悪くなると皮膚が乾燥し、これも痒みの原因となります。

腎臓の働きが悪くて痒い方の場合には、「まめにお風呂に入ったり」「皮膚に湿気を与えるぬり薬を塗ったり」することが痒み対策となります。皮膚の防御作用を壊さないために、皮膚をこすりすぎないことも大切です。

 

 

おわりに

肝臓病にしても腎臓病にしても、病状がかなり悪化している場合には専門医にきちんとした対処をしていただくことになりますが、予備軍や健常者の方たちは「バランスの良い食事」「ストレスの少ない生活」を心がけ、アルコールを控えることも大事になってきます。

最後に、「肝臓は沈黙の臓器」と言われているとおり、自覚症状が出るまでに20〜30年かかったりします。気づかないうちに進行することがあるため、三代症状の「だるい」「脚がつる」「痒い」を感じたらすぐに医療機関で診察してもらいましょう。