目の痙攣 (原因と対処法)

 

スマートフォンの使い過ぎなどで目蓋 (まぶた) に痙攣 (けいれん) が起こると「病気なのでは?」と急に不安になったりします。

  • 最近、片目がピクピクして止まらない
  • 突然、勝手にまばたきが始まることがある
  • 目の痙攣が口の方まで広がってきた

 

このような症状がある時、考えられる原因は何なのでしょうか?比較的よくある (珍しくない) 症状とはいえ、一度起こり始めると気になって仕方ありません。

 

「眼瞼ミオキミア」と「眼瞼痙攣」

目の回りの眼輪筋が意志に反して痙攣し、「上まぶた」or「下まぶた」がピクピクすることはけっして珍しいことではありません。健康な人でも「眼精疲労」「ストレス」「睡眠不足」などが原因でよく起こるものです。通常であれば数日ほどで治まるでしょう。ところで、「眼瞼痙攣 (がんけいけいれん)」という病気をご存じでしょうか?一般に「ときどき片目がピクピクする病気」と思われていますが、実は違います。この症状は「眼瞼ミオキミア」という状態で、眼瞼痙攣ではありません。

眼瞼ミオキミア」(眼輪筋波動症) は、眼輪筋という筋肉の攣縮が不随意に起こる状態で、通常片眼性であり、肉体的・精神的ストレスが原因と言われています。また、目の表面を刺激するような状態 (結膜炎・ドライアイ・逆さまつ毛など) も原因となり得ます。有効な治療法はなく、ストレスを緩和する (ゆっくり休む) ことで改善する場合が多いようです。 

一方の「眼瞼痙攣 (がんけいけいれん)」は両眼性の疾患で、一番の特徴はまぶたが開けにくくなること (開瞼失行) です。見づらさ・眩しさ・眼の違和感などを生じます。周りから「目つきが悪い」「いつも眉間にしわを寄せている」などと言われることもあります。原因は明確ではありませんが、中枢神経の神経伝達異常…と考えられています。薬 (向精神薬や睡眠導入剤など) や化学物質が原因になっていたりします。

 

 

「片側顔面けいれん」と「チック」

片側顔面けいれん」は、自分の意志と関係なく顔面の一部がけいれんする病気です。顔の片側だけに生じる (同じ側の頬が引きつっていたり口の端まで引きつっていたりする) ことが多いと言われています。症状が気にならない程度であれば、特に治療の必要はない疾患です。気になる場合や症状が強い場合には病院で相談してみるとよいでしょう。腫瘍や動脈瘤が原因で発症する場合もあります。なので、疑われた場合、頭部MRI・MRA検査で原因を調べる必要があります。

チック」は、本人の意志と無関係に急に体の一部が繰り返し動いてしまう病気です。心理的ストレス、遺伝などが関与しているという説もありますが、原因はまだ明らかになっていません。まばたき、顔しかめ、首振りなどが多く見られることが特徴です。

 

 

大半は治療の必要なし

「目のけいれん」の多くは一時的なもので治療は必要ありませんが、まれに他の病気の一症状として表れることもあるため、長期間続く場合には注意が必要です。極端に恐れる必要はありませんが、楽観的すぎる自己診断は禁物です。「症状がひどい」「長引く」場合には一度眼科で詳しい検査を受けてみましょう。

それでも大半は「眼精疲労」「寝不足」「ストレス」「カフェイン・アルコールの過剰摂取」などが原因とされ、一時的な症状で治療の必要はないと言われることでしょう。目の周辺を温めたり、睡眠を十分に取ることで安易に改善されます。

 

 

原因と対処法

大半は日常生活に問題があります。原因が「疲れ目」であれば目を休ませたりツボを押したり温めたり目薬をさしたりするといいですし、「寝不足」であればよく寝る、「カフェインの摂りすぎ」であればコーヒーやエナジードリンクを控える…といった当たり前の対策を試してみましょう。

 

 

良くならないときは

以上のように日常生活の中で注意したい点を改めても「けいれんが止まらない」こともあります。そのような時にはやはり一度医師に相談した方がいいでしょう。異常が見つからない場合、一つの治療法として「ボトックス療法」というものがあります。これはボツリヌス菌が産生する毒素を少量ずつ局所注射する治療で、薬物の効果で筋肉の収縮が弛緩することで効果が発揮されます。しかしながら1回の注射効果は2〜3か月しか続かず、効果が切れると再度注射が必要になったりします。