芸能人にも多い「斜視」と「弱視」について

 

一見、目の焦点が合っていないかのような印象を与えてしまう「斜視」ですが、実は俳優さんや女優さん、モデルさんなどの芸能人にも多く、けっして珍しい病気ではありません。

例えば、綾瀬はるかさん、小倉優子さん、オダギリジョーさん、窪塚洋介さん、指原莉乃さん、篠田麻里子さん、堂本光一さん、西内まりやさん、広末涼子さん、藤原竜也さん、三宅健さん、矢口真里さん、山下智久さん、吉村由美さんなどなど。

 

 

(斜視は目に不具合をもたらしますが、個性や魅力…といったプラス面を兼ね備えているとも言えるでしょう)

とはいえ、正常であるに越したことはありません。

 

 

 

弱視とは

そもそも…

視力は生まれてから物を見ることにより発達していくものです。生まれたばかりの赤ちゃんは明るいか暗いかぐらいしかわかりませんが、 生後1カ月くらいで物の形が、 2カ月くらいで色がわかるようになります。

さらに4カ月を過ぎると動くものを追って目を動かせるようになり、6歳頃には大人と同じくらいの視力を持つようになるのです。

 

ところが、子供の中には物を見る訓練が足りていなかったり、そのほか様々な原因によって「弱視」となってしまうケースもあります。

 

 弱視・・・視力の発達が抑えられ止まっている状態

 

 

 

 

弱視の原因

弱視は、角膜・水晶体・硝子体・網膜のどこかに支障があるときに生じます。この原因は通常、視力の発達の感受性期 (3歳頃まで) に片目または両目に適切な視覚刺激を受け取ることができなかったために起こります。

例えば、片目のまぶたが下がったままだったり、黒目の中心部分が濁っていたり、片目の位置がずれていたり、きちんと網膜にピントが合っていなかったり。。。

 

 

弱視は、以上のような様々な要因によって「物を見る訓練が足りない」ことで起こるのですが、それ以外にも「斜視」「遠視」「生まれつき」「白内障」「眼帯」などが原因で発生してしまうことも。

 

 斜視・・・物が二重に見える症状を伴う場合あり

 

 

 

 

弱視の種類

弱視は、状態によって以下の4つに分けることができます。

 

 

(1)形態覚遮断弱視

生まれた時からまぶたが下がっている(眼瞼下垂:がんけんかすい)、黒目の部分が濁っている(角膜混濁:かくまくこんだく)、白内障などの病気があって網膜に刺激が十分に入らないと視力が発達しません。

このような場合、原因を取り除くための手術が施されることもあります。

 


(2)斜視弱視

物を見ようとするときに、片目は正面を向いていてももう一方の目が違う方向を向いてしまっている状態があり、このことを斜視といいます (片目の視線がずれている場合、その目が使われないために視力が発達しません)。

 


(3)屈折異常弱視

両目に強い遠視や乱視があると網膜にきちんとピントが合いません。このような状態で過ごしていると視力が発達しません。

 


(4)不同視弱視

右眼と左眼の屈折度数の差が大きいと、片目にきちんとピントが合わず、その目が使われないために視力が発達しません。

 

 

 

 

斜視の種類と原因

物を見るときは、両目が対象物の方向を向いているものです。ところが、片方の目が目標とは違う方向を向いている場合があります。これを斜視といいます (斜視は子供の2%くらいにみられる病気です)。

 

《種類》

 

 

 

《原因》

  • 遠視
  • 視力不良
  • 目の筋肉や神経などの異常
  • 両眼視 (両目で見たものを脳で1つにまとめる働き) の異常

 


 

そして、斜視は人口の3%にみられるとする統計もあり、大人であってもけっして珍しい病気ではないのです。ただし、斜視の患者さんの多くは幼い子供のうちに症状が現れます。また、近視が強い場合は大人になってから発症することも。

斜視は、「肩こり」「頭痛」「物が二重に見える」などの原因になるだけでなく、就職や結婚の際に不利に働く可能性もあり、精神的にも負担をかけてしまいます。

 

 

 

 

大人の斜視の治療は可能?

斜視の治療には、「手術」と「それ以外の方法」があります。どの方法が良いかは、斜視のタイプ・性質・年齢・全身状態などにより異なります。

眼位ズレや外眼筋の働き、屈折検査、両眼視機能などを詳しくきっちり調べた上で、どの方法が適切かを判断します。 斜視は単に眼の位置がずれているという外見上の問題ばかりではありません。

 

 

特に幼少期の斜視は両眼視機能(ものを両眼で立体的に見る力)の発達に影響します。5~6歳頃までに両眼視機能の発達が完成しますので、早期の治療が大切になります。

一方、学童期以降~成人の斜視は、外見上の問題以外にも眼位ズレによる眼の疲れや複視の症状軽減のための治療になります。

 

よく、「斜視の治療は子どものうちでないと無理なのですか?」と尋ねられることがあります。確かに、斜視と関係の深い弱視は子どものうちでないと治療できません。

しかし、程度のひどい斜視なら年齢がいくつになっても手術をすることはできます。

(斜視手術には健康保険が適応できます)

 

 

 

 

斜視の治療法


 
ただし、斜視の手術が少しでも効き過ぎてしまうと却って「物が二重にだぶって見えてしまう」…ということになりかねません (腕の良い医師であればまずそんなことはありませんが)。

また、頭の中の血管が詰まり目を動かす神経が働かなくなってしまった場合であっても、多くの場合は3か月〜半年ほどの治療で治ります (目の筋肉の異常が原因の場合は飲み薬が処方されることも)。

 

 

一般的には手術で治療を行いますが、手術以外の方法として

 

  • コンタクトレンズやメガネを使う方法
  • 遮閉法
  • プリズム処方
  • 両眼視機能訓練
  • ボツリヌス療法

 

などもあります。

(詳しくは、医師にご相談ください)

 

 

というわけで、

弱視斜視も、適切な処置を行えば治る可能性の高い病気なので、けっして諦めず眼科医を受診してみてくださいね。