肺MAC症のための養生 (安静) 方法
まずはじめに、肺MAC症の原因となるMAC菌は住環境の全てに存在していますので、感染源を特定するのはほぼ不可能です。その上で、発病に「過労」「ストレス」「喫煙」などは関係ない…ということは覚えておきましょう。
そもそもMAC菌は温水や土の中などに多いので、シャワーや入浴、家庭菜園など、日常生活のあらゆるシーンで感染のリスクがある (誰でもなり得る) のです。
ここで注意点を2つほど。
1. 家庭菜園が大好きな方へ
土いじりをやめましょう!どうしてもできないのならばせめて、土埃を吸い込まぬよう専用のマスクを着用するなどして、細心の注意を払ってください。
2. お風呂好きなあなたへ
お風呂場のぬめりやシャワーヘッドなどにもMAC菌は存在します。正直、どの程度しっかり清掃すべきなのかは不確かなのですが、一つの目安として「消毒用アルコールを使ってハブラシでゴシゴシと擦る」ことを患者自身ではなく、家族などに行ってもらいましょう。
日常生活で気をつけることは?
仕事や運動を続けることも、何ら問題はありません。ただし、病状の程度が重ければ呼吸が苦しくなるでしょうから、控えてください。
風邪はできるだけ引かないように!
風邪にかかっても、MAC症そのものにはあまり影響を与えません。ただし、健常者と比較すると治りが遅い可能性がありますし、気管支拡張が進行した方の場合などでは、症状が悪化してしまう可能性もあります。
肺に優しい生活環境は?
空気がきれいなことに越したことはありませんが、空気清浄機が良いか悪いかは一概には言えません。なぜなら、ヒーターで熱した蒸気が出るタイプの加湿器であれば滅菌されるので安全と言えるかもしれませんが、通常の加湿器の場合、水を溜める容器が不衛生になっていると、かえってMAC菌や種々の菌をばらまくことになりかねないからです。
免疫力 (自然治癒力) を高める必要は?
一般的な健康増強は大切ですが、免疫が弱ければこの病気になる…というわけではありません。さらに残念なことに、「MAC症の改善に有効」とされる食品・サプリメント・健康茶・ワクチン・免疫療法などは今のところ発見されていません。
この病気は、数年から十数年かけてゆっくり進行します。治療なしで何年も陰影に変化がない患者さんもいますが、抵抗力が弱くなったり、ステロイドなど免疫力を低下させる薬を使用した場合には急に悪化することがあるため、定期的なエックス線検査は必要です。
菌量が少なく、進行がゆっくりで、高齢あるいは肝障害や腎障害などがあり、副作用の出現が心配されるような方は、陰影の変化を見ながら (副作用の出る薬物療法よりも) 経過観察を選択する方がいいかもしれません。主治医とよく相談しましょう。
経過観察の場合でも…
経過観察のみの場合でも、去痰薬を服用し、肺の中に痰を溜めないようにすることで陰影が安定したり改善する人もいます。陰影の変化 (レントゲンの結果) を見ながら、主治医の先生と治療のメリット (利点)・デメリット (副作用) などについてよく話し合いましょう。
日常生活では、十分な栄養を摂って体力や免疫力を維持すること、血痰が出る場合は早めに受診することを心がけてください。菌が棲み着きやすいお風呂場や、特にシャワーヘッドなどを定期的に掃除することも大切です。