介護疲れで親を殺人?問題を一人で抱え込まない方法
「寝たきりの妻を殺害した夫に3年の実刑判決!」
このようなニュースをよく耳にするようになってきました。
10代20代の若者たちにとっては、介護に実感がないかもしれませんが、しかし、介護は突然やってきます。防ぎようがありません。これだけは忘れないでください。
寿命には平均寿命と健康寿命があります。2016年の時点で、日本人男性の平均寿命は79.55歳、健康寿命は70.42歳。一方、女性の平均寿命は86.30歳、健康寿命は73.62歳です。
つまり、平均寿命と健康寿命の差は介護が必要になる期間と考えておくべきなのです。ざっと10年余り…誰もが両親や配偶者の介護問題に直面する時代なのです。
今まで普通に生きてきた家族が、ある日突然脳卒中や交通事故などで寝たきりになり、介護が必要になってしまうかもしれません。また、加齢に伴い、徐々に認知症や要介護状態になることも十分に考えられます。
そんな時、あなたは素直に現実を受け止め、周囲に相談することができるでしょうか?
実は、心のどこかに「恥ずかしい」という気持ちがあって、周囲に相談できない人たちが案外多いのです。
「お母さん、ちゃんとしてよ!」という高齢の母と子の会話をスーパーマーケットなどで耳にしたことはないでしょうか?
世間体が頭にちらつき…
怒りや苛立ちの感情が自然と表現化してくる切なさ…
これだけならまだいい方で、状況が悪化してくると、最終的には「恥ずかしいから人に会わせたくない」と外に連れ出さなくなったり、家に閉じ込めてしまいがちになってしまいます。
特に、相談できる兄弟や家族がいない場合、このような心理に陥りやすいのです。
年を取れば取るほど人間は忘れっぽくなります。これは病気ではありません。これに対して、アルツハイマーに代表される認知症は、覚えたり考えたりする能力に障害が起きる病気です。
年相応の物忘れなのか、アルツハイマーなのかは診断を受けなければはっきりとはわかりません。
ところが、家族の場合、「まさか自分の親が認知症なわけないよね」と現実を直視できない方が多いのです。「単なる物忘れだよ。すぐ元に戻るさ」と希望を込めて目を逸らしがちにもなるのです。
しかしながら、この状態が続けば続くほど症状は悪化し、気づいたときには…
手遅れにしないためにも、まず最初に行うべきことは「目の前の現実を受け入れること」なのです。
介護の問題は終わりが見えません。陸上競技に例えるならば、短距離走ではなくフルマラソン。率直に申し上げると、被介護者が亡くなるか、老人施設に預けでもしない限り、本当に終わりがないのです。
近頃では、長年の介護疲れから高齢の家族を殺害する事件が後を絶ちません。家族が家族を殺さなければならないなんて…なんともやるせない気持ちになってしまいますよね。。。
このように、介護は終わりが見えないことから「ゴールのないマラソン」「生き地獄」などと表現されたりしています。現実は厳しく過酷なのです。
だからこそ、介護者はけっして独りでは抱え込まず、その前に、行政や周囲の人々にきちんと相談しなければならないわけなのです。
「いや、自分の親だから自分が責任持って介護していくんだ!」
「仕事を辞めて親の面倒を見る!」
ちょっと待ってください!
もう一度言いますが、介護離職を考える前に、独りで抱え込まず、是非、行政や周囲の人々に相談してください!そこから幾つかの選択肢が生まれ、最善策を講じることができるはずなのです。
最初のうちは「頑張れる!」と思っていても、次第に「終わりの見えない介護が続く」と思った瞬間、絶望を感じてしまいます。
そして、支える気持ちが萎えていくのです。独りで全てを背負い込んでしまうその責任感は立派なものなのですが、結果、無理心中を図ったり殺害してしまってはあまりにも悔しい人生ではありませんか。
そうならないためにも、まずは相談することが大切なのです。
例えば、今はまだ大丈夫かもしれませんが、ある日突然、昨日まで元気だった父親が倒れてしまい、介護が必要になる可能性だってあります。
もしそうなれば、慌てて施設を探す羽目になり、空いている施設が見つからず、「どうしてこんなことになってしまうんだ」と大切な親を逆恨みすることにもなりかねません。
親を嫌いになっていく…
親を重荷に感じていく…
介護問題が現実のものになってくると、そんな否定的な気持ちがあなたの頭の中を渦巻いていくかもしれません。
そうならないために!
親の介護問題は絶対に一人で抱え込んじゃダメ!なのです。
あなたを生み育ててくれた大切な親のことを、最期の最期まで大事にできますよう、心から願っています。
皆さんの助けを借りながら、できる範囲で無理なくやっていってくださいね!