(いっそ死にたい) ギランバレー症候群でバラバラだった家族が一つに!

 

ギラン・バレー症候群はウイルス (風邪) や細菌 (下痢) の感染などをきっかけに発症する神経障害の一つで、「手足に力が入らない」「指先がしびれる」「脱力感がある」といった自覚症状が現れる難病です。

自律神経に影響して血圧が大きく乱れたりすることもありますし、重症化すると、麻痺などの障害が残ったり呼吸不全をきたしたりすることも。

 

原因は完全にはわかっておらず、残念ながら治療研究の対象ではあるものの医療給付 (難病医療費助成制度) の対象ではありません。

 

 

 

ギラン・バレー症候群とは

ギラン・バレー症候群は、外敵から身を守ってくれるはずの免疫システムが誤作動?を起こし、なぜか自己の末梢神経を攻撃してしまうという稀な疾患です。発症者は人口10万人あたり1~2人で、自然に治ることもあるそうです。

ウイルスや細菌が体内に侵入し感染すると、体の中では「異物を排除しよう」と抗体が作られます。抗体は誰にでも作られるものですが、異物の表面にある成分と似た構造をしたものが末梢神経の側にもあるため、攻撃の対象と認識されてしまうのです。

 
 

 
 
抗体による攻撃は、一過性で終わります。しかし、攻撃を受けた末梢神経のダメージが大きい場合は重症になります。神経は傷つくと回復が遅いため、治るまでに時間がかかったり、後遺症が残ったりすることもあるのです。

治療法は、初期で症状が軽い場合は経過観察となり、ビタミンB12やビタミンEの内服薬が処方されます。歩くことが不自由になるなど、中等度以上では「経静脈的免疫グロブリン静注療法」や「血漿浄化(交換)療法」が行われます。

 

重症に対しては、これらの治療法では効果が得られない場合があり、現在、エクリズマブ療法の治験 (臨床試験) が進められています。有効であってくれるといいですね。

「手洗い」「うがい」「体を冷やさない」「鶏肉は加熱」である程度の予防ができると言われています。

 

 

 

発症した有名人

大原麗子 (女優)

1975年に発症し、回復後、筋力低下を補うためにトレーニングをして活動を再開しますが、1999年に再発のため芸能活動を休止しています。2009年、不整脈が原因の脳内出血によって自宅で亡くなるのですが、ギラン・バレー症候群のせいだったとも言われています。

 


 

安岡力也 (タレント)

肝臓病で入院し退院した後、ギラン・バレー症候群の疑いがあるということで再び入院。一時期痩せてしまったこともありましたが、療養生活を終えた頃には元の体格にまで戻りました。その後、ギラン・バレー症候群が原因ではないのですが、2012年に肝硬変による心不全で亡くなられています。

 


 

芳根京子 (女優)

中学生の頃にギラン・バレー症候群を発症し、1年間は学校に通うのも困難だったそうですが、現在は回復されています。

 

 

 

バラバラだった家族が一つに!

看護師として働いていたAさんは、この病気を発症してしまいました。『痛い!』『つらい!』『具合が悪い』・・・これが全てで、他には何も考えられないほどに苦痛です。

そんな寝たきりに近い状態が2年も続いていた頃、Aさんは「いっそのこと死んでしまいたい」と思うようになります。そんなAさんに転機が訪れます。

 

リハビリ施設で、落馬事故で重い脳障害を負った元騎手の男性に出会ったのです。漫画やイラストを描くことが趣味のAさんは、その男性に馬の絵を描いて見せたところ、「ありがとう」と喜んでもらえたのです。
 

「私だって人の役に立つことができるんだ!」

「もう、二度と死にたいなんて思わないようにしよう!」

 

その後Aさんは地道にリハビリを続け、10年かけてしっかりと漫画を描けるようになりました。ペンを握っている感覚は今もありませんし、頑張りすぎて寝込むことだってあります。

それでも、「普通のことは難しくなったけど、いろんなことに感謝できるようになった」と前向きに生きています。

 

何より、ギャンブルが大好きで荒れまくっていた父が改心してくれ、バラバラだった家族がようやく一つになれたのです。

「人生、悪いことばかりじゃないんだ」

「やっと家族が一つになれたことが嬉しい!」

 

 

 

おわりに

筆者の知人にもギラン・バレー症候群に苦しめられた方 (3代女性) がいらっしゃいます。10年ほど前のことですが、その方は次女が1歳になったばかり。入院中は娘たちに会えませんし、眠れないほどの強い痛みに泣いてばかりいたそうです。

退院後、職場に復帰してからも腕が思うように動かせず、現在も麻痺は残っているようです。それでも、あの最悪の時期を経験し乗り越えたからこそ、「今を生きる」大切さを知り、毎日充実した生き方ができるようになったといいます。

 

ギラン・バレーは、いつ、誰でもなる可能性がある病気です。もしもあなたの周りにこの病気で苦しんでいる方がいたら、親身になって励ましてあげましょう。笑顔で幸せに暮らせますように。