中高年の「ひきこもり」は深刻!?働かなくても親孝行できる!?

 

近年、「ひきこもりの高齢化」がじわじわと進んできています。この現実に対する現在の対策はというと、(若者への就労支援が中心で) 十分ではないのです。

今後も、「ひきこもりの高齢化」が進行していくことは十分予想されますし、親世代が年老いての「親亡き後」をどう生きていくのでしょうか?非常に切実な問題です。

 

「できれば、家で息子の面倒をみながら自立を促したい。でも、自分も年だしこれからどうしたらいいのかよくわからないんです。」

都内に住む、年金暮らしの無職のAさん(70代男性)はこうため息をつきながら語ってくれました。

 

Aさんは、妻と長男 (40歳) の3人暮らしです。長男は高校卒業後、職を転々とし、30歳頃からひきこもるようになりました。食事以外で自室から出てくることはほとんどありません。

ただ、暴力をふるうようなことはなく、居間にいれば家族と普通に会話もしますが、仕事や将来の話題になると自室に戻ってしまうのです。

 

結婚して家を出た長女からは最近、「お兄ちゃんはこれからどうやって生活していくの?」と聞かれます。

「将来、餓死するまで閉じこもってしまうのではと心配で……」

 

 

 

 

40歳以上の実態、把握されず…

 

ひきこもりは、国の定義では「社会参加せず、6か月以上家庭にとどまっている状態」です。内閣府が15~39歳を対象に行った調査では全国に約54万人いると推計されていますが、実は、40歳以上の実態は把握されていないのが現状です。

「ひきこもり」はかつて、青少年の問題とされていましたが、支援を受けられないまま長期化したり、大人になって就職の失敗や失業をきっかけにひきこもったりする中高年世代も増えているのです。

 

ある調査では、ひきこもる人の平均年齢は33.5歳で、40歳以上が25%もいるのです。2015年に山梨県内で実施された実態調査では、40歳代以上が6割を占め、島根県の調査でも5割にのぼるなど、高齢化がうかがえます。

こうした現状にも関わらず、ひきこもりへの支援は若者に限定されており、対象は「おおむね40歳まで」と年齢が区切られています。

 

 

10代の後半からひきこもっている横浜市在住のBさん (40代女性)は、就労支援や居場所づくりに取り組むNPOへ相談に訪れましたが、対象は39歳までと言われてしまい、そのまま行かずじまいになってしまいました。

働いた経験はなく、生活は父親の年金頼み。「生きていくすべを何とか探さないといけないとは思っているのですが……」とうつむき気味で語ってくれました。

 

 

 

 

様々な支援制度はあるものの…

 

こうした中、中高年ひきこもり支援の役割を期待されているのが「生活困窮者自立支援制度」です。就労に向けた支援や家賃の援助などを行われています。

ただ、同制度では、半年から1年をめどに就労に向けた支援を行うことになっており、「ひきこもりの場合、そう性急に進められるものではない」とその効果に疑問の声も寄せられています。

 

自治体によっては、社会福祉法人や農家などでの就労体験 (1日500円ほどの謝礼をもらって) をきっかけに働くことに慣れていってもらうといった取り組みを行っているところもありますが、、、

親亡き後には、経済的な問題はもちろん、役所での手続きや公共料金の支払いなど、生活に必要なことすべてを自力でやる必要が出てきます。今後は、就労支援だけでなく、長期的な視点で社会との橋渡しの役割を担うサポーターが必要になってきます。

 

ひきこもりの背景には、発達障害やいじめ、挫折、失業などの様々な原因があるということも把握しておかなければなりません。

 

 

 

 

働かなくても親孝行?どういうこと? 

 

ひきこもり歴30年ほどになる自称「ひきこもり名人」のCさん (40代男性) は、自身の経歴をこう簡単に述べています。

「高校中退者」「浪人」「就労希望者」「病院」「ひきこもり」「名人」というルートをたどってきたそうです。

 

そしてCさんはこうも述べています。

「通常は、ひきこもりからフリーター、フリーターから正社員へと、ひきこもりヒエラルキーを下げてしまうのが普通です。そしてそれこそが苦しさの源なんです。」

 

つまりは、”社会復帰を望むこと” こそがひきこもりの “煩悩”ということなのでしょう。

Cさんの理論では、「自分自身 (子供) が幸せを感じられなければ、親だって幸せではないんだ。」ということのようです。

 

 

そしてある年、父親が定年退職し母親はこれまで通りの専業主婦。Cさん自身はずっと前から自宅待機。つまり、3人とも家にいる時間が長い状況が生まれてしまったのです。

 

このような不思議な状況を、Cさん一家はどう暮らしていっているのでしょうか?

 

Cさんいわく、

「働いて仕送りだけする遠方暮らしの息子よりも、働かなくても身近にいるひきこもり息子の方が断然親孝行なんです。」

 

 

Cさんは、長くひきこもってきた時間をマイナスだとは思っていません。いや、厳密には、かつては “マイナス” だと考えていました。しかし今は違うようです。

「際限のない受験戦争」「不安定な雇用環境」「好きでもない仕事を家族とお金のためにやり続けなければならないストレス」「人間関係のストレス」やがては「それらのストレスから引き起こされるうつ病や過労死」・・・

 

確かに、「勝ち組」にはなれないけれど、普通に生きていたってけっして幸せなんかにはなれない!ならばせめて、「負け組」にはならないよう工夫し生きていくしかないのです。

「生きる知恵」を振り絞って…

 

 

 

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