食後の「眠気」「うたた寝」の原因は深刻な病気?

 

食後に起こる強烈な睡魔は病気なのでしょうか?食事の後ってどうしても眠たくなってしまうものですが、その眠さの加減が人よりも強い気がします。

そもそも人は満腹になると (脂肪細胞からレプチンというホルモンが分泌され) 眠気を催します。また、食事をした直後は「血糖値」(血液中のブドウ糖濃度) が急激に上がり、一定時間を過ぎると下がるため、脳が「お休みなさい」と指令を出すものなのです。

それにしたってこの「異常なほどの眠気」。重篤な病気ではないかと心配です。

 

食後にくる眠気の原因は?

食後に眠くなる理由は3つあります。

 

1つ目は生体リズム。人間の眠気のピークは通常「夜中の2~4時」と「お昼の2~4時」の2回です。なので昼食後は放っておいても自然に眠たくなる“魔の時間帯”でもあるのです。

 

2つ目はホルモンの問題です。ごはんを食べると、覚醒を促す「オレキシン」というホルモンの分泌が抑えられます。目を覚ます力が鈍くなれば、眠くなるのは当然です。

 

そして3つ目は疲れの問題。午前中に集中して仕事をしていると、疲労を感じた体や脳が休息を求めて「眠れ」とサインを出してきます。

 

また、食後は消化活動のために血液が内蔵に集中するため、脳にある血液の量が一時的に少なくなってしまうためだとも言われています。つまり、食後に耐えられないほどの眠気を感じてしまう人は、(一時的な血糖値の上昇により) 血糖値を下げようとする仕組みが働いているからなのかもしれません。

とはいえ、この眠気を気合で吹き飛ばすことはできません。ひどい場合は意識障害を起こすことも。こうした症状の多くは食事性低血圧が原因です。現在、食事性低血圧の定義は「食後1時間以内に平均血圧が20mmHg以上低下する」とされています。気になる方は血圧チェックをしてみてください。

 

 

食事性低血圧

食事性低血圧は、「自律神経不全」「パーキンソン病」「アルツハイマー病」「脳血管障害」などの神経疾患だけでなく、「高血圧」「糖尿病」「透析」、そして「加齢」が原因で起こるとも言われています。特に高齢者は、食事そのものが「食後の意識障害」「転倒」「心筋梗塞」「脳梗塞」などのリスクになり得るため注意が必要です。

こうした食後の倦怠感や意識障害が起こる流れは次の通りです。「食べる」 → 「内臓血管の血流増加」 → 「血圧低下」 → 「脳血圧の低下」。そして、直接的原因は食物中に含まれる炭水化物 (ブドウ糖,アルコール,デンプンなど) と考えられています。それ以外にも過食 (暴飲・暴食)、高温食摂取早食いなどが症状を悪化させることがわかっています。

 

この食事性低血圧の予防法として「コーヒー」(カフェイン) が有効とも言われていますが、確実性のある予防薬や治療薬はまだ存在していませんので、とりあえずは炭水化物の摂取量を控えることが必要なのではないでしょうか。

ちなみに (余談ではありますが) 江戸時代中期に実在した医師・津田玄仙さんは、食後の眠気や倦怠感・熱感・頭重感・悶えなどの症状を「食後佳眠倦怠」という症候として報告しています。さらに、消化器機能が弱っているため「六君子湯」「香砂六君子湯」「半夏白朮天麻湯」などを飲んだ方が良いとも記しています。

最近では糖尿病に合併した食事性低血圧には「補中益気湯」が有効であるとも報告されています。高齢者の食事性低血圧には漢方薬が有効なのかもしれませんね。

 

 

糖尿病のサイン?

 

🔴 強い眠気が長時間続くのは病気のサインかも

食後の眠気は「体内時計の生体リズムが働くため」とか「消化吸収を促すため副交感神経が優位になり心身がリラックスモードに切り替わるから」など、様々な原因が考えられますが、多少の眠気であれば健康の範囲内です。ただし、強い眠気が長時間続くようであれば注意が必要です。もしかしたら糖尿病の初期症状かもしれません。

糖尿病は「血液中のブドウ糖がたくさん増えてしまう病気」です。通常、食事で摂取した炭水化物などの糖質は腸で分解され、ブドウ糖として体内に吸収されます。このブドウ糖は血液によって細胞に運ばれ、エネルギーとして使われたり脂肪として蓄えられたりします。

 

このとき、ブドウ糖を細胞に導き入れる手助けをしてくれるのが (膵臓から分泌されている) インスリンというホルモンです。
通常、血糖値は食後穏やかに上昇し、インスリンの働きで食後2時間後くらいには元に戻ります。ところが、膵臓の機能低下でインスリンの分泌量が少なくなったり、運動不足などの要因でインスリンが働きにくくなったりすることがあります。

このため血液中のブドウ糖を減らすことができない。。。この症状が糖尿病なのです。進行すると過剰な糖によって血管が傷つき、「心臓病」「網膜症による失明」「腎不全」など、慢性合併症を引き起こすかもしれません。

逆に、「インスリンの過剰分泌」 → 「糖分不足」 → 「低血糖」になることで糖尿病になる場合もあります。この状況下では脳に栄養が行き渡らなくなるため、強い眠気に襲われるのです。

 

 

膵臓に負担がかかると病気になる危険が…

一般的に、食べた後に眠くなるのは「消化活動のために血液が内蔵に集中するため」「脳にある血液の量が一時的に少なくなるため」だと言われています。食べすぎたことで胃腸に過度の負担がかかっているのかもしれませんね。あまりにも急激な睡魔、耐えられないくらいの眠気を感じる方は (一時的な血糖値の上昇により) 血糖値を下げようとする仕組みが働いているからなのかもしれません。

しかしながら、眠気以外にも「冷や汗」「だるさ」「喉の渇き」「頻尿」といった症状が見られる方は一度医師の診断を受けてみてはいかがでしょうか。何事においても、早めの対策が大切ですよ。

 

 

急激に血糖値を上げないために

急激に血糖値を上げないようにするには、「食事内容」や「食事の摂取方法」に工夫をすると良いでしょう。たとえば、野菜やフルーツから先に食べ、可能ならその5分後くらいにおかずや主食を食べ始めるといった具合です。

炭水化物を飲み込むように (たくさん) 食べると胃への負担が大きいですし、血糖値が急激に上がってしまいます。少しでもいいのでまずは野菜から食べる、炭水化物はよく噛むということを意識してみてください。

また、量をたくさん食べたい方は、白米に玄米を混ぜるといいですね。加えて、甘いものの摂り過ぎには注意が必要です。何事も「過ぎる」のはよくありません。

 

 

医師が薦める眠気覚まし法

 

① あくびをする

あくびには眠気を飛ばす作用があります。下あごを大きく開けることで顎の筋肉を伸ばし、それが神経を刺激して脳に伝わり眠気を飛ばすようです。同じ理由でガムを噛むのも効果的です。

 


② 水で顔を洗う

水で顔を洗うことによって刺激を受け眠気は吹っ飛びます。単純な原理ではありますが有効です。

 


③ カフェインと摂る

基本的にコーヒーを飲まない方も、眠くなる時間帯の前後にコーヒーを1,2杯飲んでみてはいかがでしょうか。

 


④ 仮眠を取る

どうしても眠さを我慢できない場合は、割り切って15分ほど眠ると効果的です。ただし、長時間の昼寝は眠気を強めてしまいますし夜に眠れなくなってしまいますのでご注意を。

 

 

そのほか、疑われる病気

眠気の原因は上述以外にも、「睡眠障害」「甲状腺機能低下症」「パーキンソン病」「睡眠時無呼吸症候群」「ナルコレプシー」「うつ病」「むずむず脚症候群」など様々です。

原因不明の方は、セカンドオピニオンも含めて一度きちんと診断を受けるようにしてください。

 

 

おわりに

誰だって、食後は少なからず眠気を感じやすいものです。しかしながら、それが異常なレベルで眠い場合は「血糖値が乱れている」のかもしれません。糖尿病なども視野に、原因をきちんと確認しておいた方がいいかもしれませんね。

糖尿病のリスクを避けるためにも「食事の内容」「摂り方」には十分注意し、あまりにも眠気がひどい、他の症状が出るという方は早めに医師に相談してください。

 

 

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最終更新日:2019/09/03