健康のためには「全粒粉パン」の方が良い?

 

全粒粉 (ぜんりゅうふん) パンは値段がちょっと高くヘルシーなイメージがありますが、本当のところどうなのでしょうか? そもそも全粒粉とは小麦粉の一種で、小麦の表皮、胚芽 (はいが)、胚乳を全て粉にしたものです。

胚乳だけを用いる通常の小麦粉と比べて栄養価が高く、薄力粉と比較して3倍程度の食物繊維や鉄分を含み、ビタミンB1の含有量も高いと言われています。一方で、見た目には不純物を含むため茶褐色を帯びています。

この特徴を活かして、パン・クッキー・シリアル食品などによく用いられます。また、通常の小麦粉よりも脂肪分が多いため保存性は悪くなるようです。

 

全粒粉の栄養について

🔵 糖質

全粒粉の糖質量は100gあたり約57g。強力粉は約69g、ライ麦粉は約63gなので、糖質はほかの粉類と比較すると少なめです。


🔵 グルテン

全粒粉は小麦粉よりもグルテンが少ないとされています。ちなみにグルテンは粘性のある成分で、パンなどの生地に粘りと弾性を与えます。生地作りに必要な成分である一方で、健康 (ダイエット) 志向の高い方は「グルテンフリー」を好む傾向にあります。


🔵 その他

全粒粉には小麦の表皮や胚芽が含まれるため、食物繊維・ビタミン・ミネラル類が豊富です。小麦粉のみのパンよりも栄養素をバランスよく摂取することができます。

 

 

全粒粉パンは本当にヘルシー?

全粒粉に限らず、本当にこだわりを持って作られたパンは新鮮で美味しいものです。しかしながら多くのパン屋 & パン工場では作る時間を短縮し、安定剤 & 防腐剤を加え、科学的な味を消して失われた味を補うために甘味料を加えています。

同じパンを食べるなら「全粒粉パンの方が精白小麦よりも健康に良い」と思ってはいませんか? 実はそうとも言い切れません。そもそも、あなたの腸内に棲んでいる細菌の種類によって、全粒粉が体に与える影響は変わってくるというのです。

つまり、全粒粉パンがあなたの健康に良いかどうかは「化学調味料の類が無駄に入っていないかどうか」「あなたの体質がどうか」にも依る問題なのです。

 

 

血糖反応はどう?

血糖反応とは、食事の後に体の反応として起きる血糖値の変化を表す指標です。どんなものを食べてもある程度血糖値は上がるものですが、食べ物の種類によっては不健康なレベルまで急上昇するものもあれば、穏やかな上昇にとどまるものもあります。一般的に、高い血糖反応をもたらす食品は、2型糖尿病の前兆とされるインスリン抵抗性を引き起こすため、健康に良くないとされています。通説では、精白パンのような加工・精製度の高い食べ物は (全粒粉のパンなどと比べて) 高いレベルの血糖反応を引き起こすとされてきました。

しかしながら最新の研究結果を見てみると、必ずしもそうではないようです。どちらのパンも、ほぼ同じ血糖反応を示しているようです。つまり、万人に当てはまる「健康に良いパン」というものは存在しないということです。ある食べ物が健康に良いか悪いかは、極論を言えばその人の体質によって違うということも言えます。

 

 

とはいえ加工食品はダメ!

そう聞いて、「やったー!これで安心して精白パンを食べることができる」と思った人もいるでしょうが、ちょっと待ってください。(全粒粉パンではなく) 大量生産されている多くのパンが健康に悪いとされるのは、何も「血糖値を急上昇させる」ことだけが理由ではありません。栄養価が低い点も問題なのです。

これに対して全粒粉パンは繊維質やビタミンが豊富で、マグネシウム、亜鉛、葉酸などのミネラル分も含まれています。「健康」に関しては、血糖値以外にも考えるべき要素があるわけです。血糖値の上昇具合に関して、精白パンと全粒粉パンのどちらが良いのか一概には言えないとしても、安易に無添加食品中心の食事から加工食品中心の食事に変えるべきではありません。

 

 

糖尿病患者は自分に合った食事を

とはいえ、糖尿病患者やその予備軍とされている人たちは、栄養価が高いとされる食べ物を食べて血糖値が急上昇するのに気づいたら、こうした食品を避け、「栄養はあるけれど血糖値を上げないもの」に切り替えた方がいいでしょう。自分の体質に合った食生活が良いわけです。

 

 

スーパーで売られているパンを買う際はラベルをチェック!

スーパーなどで売られているパンを買うときは、ラベルをしっかりチェックするのがポイントです。全粒粉は、栄養豊富な「ふすま」「もみ殻」「内胚乳」からできています。100%全粒粉の場合は、これらの3つの要素を同じ比率で含んでいます。この点、しっかりとチェックしておきましょう。

白いパンは、そのほとんどが内胚乳です。もみ殻の栄養分がないので、もみ殻に含まれているナイアシン、リボフラビン、チアミン、葉酸、鉄の5つの栄養素を摂ることができません。また、食物繊維も不足します。食物繊維をたくさん摂ると腸の働きが良くなり、心臓病や大腸がんのリスクを下げると言われています。やはり、血糖値の上昇割合がどうあれ、「100%全粒粉のパン」は健康に良いのです。

この食物繊維の量をラベルから読み取る一つの基準としては、1オンス (28g) 分のスライスに2gの食物繊維が入っていることです。また、「食べやすい」という宣伝文句が書かれている全粒粉パンにも注意が必要です。そのパンには何らかの物質が加えられ、全粒粉パンに似せている可能性があります。こういったパンには食物繊維があまり含まれていません。ということで、全粒粉パンを買う際はラベルのチェックをお忘れなく。

 

 

パンは白いほどガンになる?

日本人の2人に1人が生涯に一度は癌になると言われています。そして3人に1人が癌が原因で死ぬわけなのですが、こんなにも癌の死亡者数が増えているのは先進国の中で日本だけです。アメリカは1970年代から癌の予防に取り組み、食事を変えることによってその数を減らしてきました。増加する一方だった癌の死が、1992年から減少に転じたのです。

アメリカでは全粒穀物 (ホールグレイン) に、「癌や心臓病のリスクを減らす」と表示できる権利が与えられています。アメリカ国立がん研究所は、全粒穀物の「大腸がんのリスク低減」を認め、アメリカ心臓協会や世界がん研究基金、アメリカがん協会なども全粒穀物を推薦しています。全粒穀物が生活習慣病を抑え、より長生きすることが証明されたのです。その効果は、肥満・高血圧・動脈硬化などの予防だけではありません。基礎代謝を上げ、体脂肪率 (特に腹部の脂肪) を減らしてくれるのです。

 

ここでもう一度「全粒穀物」についておさらいしておきましょう。「全粒穀物」とは精製されていない穀物のことです。お米なら玄米、小麦粉なら白くない全粒粉、ソバなら、挽きぐるみ蕎麦粉です。精製された白い小麦は、95%もの食物繊維とビタミンEを消失しています。そのほか、多くの栄養素とともにミネラルも失っています。

栄養のない「単なるでんぷん」になった白い小麦粉は、肥満の原因となるだけではありません。血液への吸収がよすぎるため血糖値を急激に上げます。これによってインシュリンの大量分泌を招き、様々な生活習慣病が引き起こされるのです。また、小麦に含まれるグルテン (タンパク質) は腸の炎症を招き、栄養素の吸収や老廃物の排泄機能を阻害します。食パン一枚は角砂糖8個分の糖質があり、「白いほど癌になる」とも言われているのです。

 

 

まとめ

全粒穀物は、食物繊維・ビタミン・ミネラルを豊富に含んでいる完全栄養食です。食物繊維は血糖値の変化を緩やかにしますし、コレステロール値を下げてくれます。また、「第2の脳」とも呼ばれる腸に優しく働きかけ、腸内フローラを改善してくれます。便秘・下痢・慢性頭痛・副腎疲労・アレルギー症状を緩和し、自己免疫を高めてくれるのです。

そんな全粒穀物の理想的な摂取量は1日48gと言われており、茶碗一杯分くらいです。たったこれだけで、基礎代謝がアップし、生活習慣病の予防 & 長生き効果も期待できるのです。「インフルエンザの予防にも良い」とも言われていますし、今からでも全粒穀物を意識的に摂取してみてはいかがでしょうか。

 

 

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