完治治療薬のない若年性アルツハイマーの早期発見と予防法
一般的に、アルツハイマーは65歳以上の高齢者にみられる脳が萎縮してしまう病気です。
しかし近年、働き盛りの40~50歳代の中高年でも「アルツハイマーに似た症状」を訴える人たちが増えてきていることから、この患者を「若年性アルツハイマー」と呼んでいます。
この若年性アルツハイマーとはいったいどのようなものなのでしょうか?詳しくみていきましょう。
64歳以下の人が発症する認知症を総じて、若年性認知症と呼びます。その中の一つに若年性アルツハイマーがあるのです。
※ 上図のように、若年性認知症はアルツハイマー型だけではありません
記憶・動作・認知など知的機能が継続的に低下する認知症ですが、特に、アルツハイマー型は脳の神経細胞が死んでいく「神経変性疾患」の代表格です。
遺伝性の強い脳疾患ですから、初期症状の兆候が見えて、かつ親族に若年性アルツハイマー病の人がいた場合には早めに専門医に診てもらいましょう。
「突然怒鳴り出す」「深く落ち込む」「物忘れをする」
このような症状が現れたら、ストレスや加齢、鬱と決め込む前に、他の病気の可能性も疑う必要があります。その病気こそが「若年性アルツハイマー」なのです。
初期には頭痛やめまい、不眠などがみられます。不安感や自発性の低下、抑うつ状態にもなります。
仕事でのストレスやうつ病と間違えやすいのですが、発症すると自己中心的になり、頑固になり、他人への配慮がなくなります。
放っておくとどんどん進行していくので、「早期発見」「早期対策」が重要です。
特に顕著な症状としては、
「今日が何日かわからない」「季節がわからない」「同じことを何度でも訊く」などの記憶障害。
また、好きだった趣味やゲームのやり方がわからなくなったり、物をどこに置いたかわからずいつも何かを探している状態にもなります。
さらに、計画を立てて行動したり、数字を処理することができなくなってきます。
「お料理ができなくなる」「集中力がなくなる」「今までできていたことに時間がかかるようになる」など、「もしかしたら…」と思える行動が現れ始めたら、躊躇せずに早期に医療機関を受診しましょう。
「もしかして…」と思ったら
□計算が難しくなった
□頭痛、めまいなどの回数が増えた
□他人への配慮がなくなり、自己中心的になった
□人の名前が思い出せない
□脈絡のない文章を書いてしまうことがある
□通い慣れた道に迷ってしまうことがある
□住所や日付を書き間違えることが増えた
□約束を忘れる回数が増えた
□仕事の能率が下がり、台所での作業も要領が悪くなった
□最近、ムキになったり怒りっぽくなった気がする
□閉経を迎えている(女性)
他にも、
距離感がわからずぶつかってしまったり、スムーズに会話ができず人と関わることをやめてしまったり…
気になる方は、もの忘れ外来や神経内科外来などを受診してくださいね。
絶対的な予防方法ではありませんが、以下のことに気を配った生活をしておくことが重要だと考えられています。
① 食生活
- 塩分や動物性脂質の摂り過ぎに注意しましょう
- 青魚や野菜を食べるようにしましょう
- 赤ワインに含まれるポリフェノールも効果あり
- 納豆は若年性アルツハイマーの予防食!
② 頭と身体の運動
- ダンスや体操、草むしりなどで身体を動かしましょう
- 手先を使う作業は脳細胞を刺激します
- 読書をしたり文章を書いたりしましょう
- 風景を楽しみながら散歩をしましょう
- 囲碁や将棋、麻雀、ゲームなどで頭を使いましょう
③ 質の良い睡眠
質の良い睡眠をとることは脳を休ませます。
他にも、
禁煙したり、アルコールの過剰摂取を控えたり、「人間関係や身だしなみ」に気を配ったり、と健全に楽しく生活することが若年性アルツハイマーの予防になります。
「認知症は遠い未来のこと」と考えているかもしれませんが、けっして他人事でもなく、身近な問題として考えるべきなのかもしれません。
早期に診断を受ければ進行を遅くすることができますし、家族の方も準備をする時間が取れます。
今のところ「完治させる治療薬」はありませんが、規則正しい生活習慣を確立させ「笑顔」で暮らしていくことが一番大事だということを心しておきましょう。