【認知症介護】親を看取ることで人は何を学ぶの?

 
2025年、日本における認知症人口は700万人を超えると推定されています。しかも認知症予備軍の数まで含めると…

それはそれは大変なことです。

 

我が国は「長寿大国」として定着しているため、必然的にガンや三大疾病、そして、認知症に悩まされる人たちが増え続けていくわけです (早く有効なお薬や治療法が確立されるといいですね)。

 

 

さて、今回は認知症介護に翻弄されたある男性のケースを見ていきながら、「親を看取るということ」について皆さんに考えてもらいたいと思っています。長い文章ではありませんので、是非最後までお読みくださいね。

 

 

 

 認知症介護に翻弄された男の話 

東京都内の大手企業で活躍されていたAさん(50代男性)も認知症に翻弄された一人でした。Aさんは、認知症である母親の介護でとても苦労されました。働いていた東京の会社を辞め、独り田舎に暮らす母親の面倒をみるために母との同居を決意したのです!

 

「母親を見捨てるわけにはいかない!」

 

しかし、Aさんの優しい思いとは裏腹に、認知症の進んでいた母親は、暴言・暴力の連続です。しかも、徘徊・排泄処理・異食など、あの優しくて凛としていた母親の面影は微塵もなく…もう…涙がとまりません…

(百の家族があれば百通りの介護があると言われていますが、Aさんのケースはとても悲しいものでした)

 

1年が経ち2年が経ち、、、

 

Aさんは完全に気持ちが塞ぎ込んでしまいました。真面目すぎるAさんは誰にも相談することなく、全てを自分一人で背負い込んでしまっていたのです。ついに陥ってしまった介護うつ…

 

こうなってしまうと大変です。Aさんは痩せ衰え、その顔からは完全に笑顔が消えてしまいました。

 

認知症介護と人生哲学の話!親を看取ることで人は何を学ぶのか?

 

「俺、何のために生きているんだろう?」

「2人で(既に他界している)父のところに行こうか…な…」

 

心身ともに限界が近づき、否定的な考えが頭の中を占め続けていたその時、、、

母は肺炎をこじらせて亡くなってしまいました。

 

 

最期に枕元で「ありがとう…」と、精一杯の笑顔で微笑みかけた母親の姿を見てAさんは、「母さん、今までありがとう。天国で父さんと昔のように仲良く過ごしてね…」

 

溢れ出る涙…母の最期の一言に救われたのか、Aさんは一気にストレスから解放されていきました。

「やるべきことは全てやったんだ…」

 

 

 

 介護を頑張りすぎてはいけません! 

ただ、皆さんには一つ注意していただきたいことがあります。Aさんのように頑張り過ぎないでもらいたいのです。たとえば、あなたの置かれた状況がAさんの場合と同じで、「親を最期まで住み慣れた家で暮らさせてあげたい」「子として自分が世話していくんだ」と強い責任感を抱いていたとしても、あなた一人で頑張り過ぎてはいけません。

ここで言いたいのは、「あなた一人だけで全てを受け入れようとしないこと」

 

 

 

 周囲の力を借りましょう! 

健全な介護を行っていけるよう、躊躇せず周囲の力を借り、専門家の助けに支えられていただきたいのです。あなた自身の心身を万全に近い状態に保てないと、当然のことですが共倒れになってしまいます。中長期を視野に、うまく介護を続けていってほしいのです。

 

あれから3年が経ち、Aさんは現在少しずつ元気を取り戻し始めています。一歩間違えば、Aさんは自分の手で母親を殺め、自らの命をも絶っていたかもしれないのです。

 

認知症介護と人生哲学の話!親を看取ることで人は何を学ぶのか?

 

「強い責任感」と「親への恩返しの念」を抱くことはとても素晴らしいこと。素敵です。しかし、社会の中であなたは一人ではないのです。そのことを強く自覚して、互いに助け合って生きていってほしいのです。

 

最後に…

 

 

 

 考えてほしいこと 

親子関係の中でも、特に母息子の関係には特段の思いがあるのでしょう。私自身もそれは実感しています。

溢れ出る母への愛おしさ…

 

それはそうでしょう。生命は、母親のお腹の中から始まるのですから!そこには、理屈では語ることのできない深い絆が存在しています。ニュースなどで、あまり表には出てきていませんが、実はAさんと同じような体験をされてきている方々が世の中に五万といらっしゃいます。「人が死ぬ」ということは決してきれいごとだけでは語れないものなのです。

しかし、その一つひとつの命に終焉が訪れるとき、私たちはそこから何かを学んでいかなければならないのです。あなたは何を学ぶでしょうか…じっくり考えてほしいのです。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

大切な人の死を無駄にすることなく、多くのことを感じ、学び、成長していってもらえたらいいな、と思います。
 

 


最終更新日:2017/11/29