慢性的な腹痛は○○病かもしれません
軽度の腹痛をたまに起こす程度であれば、あまり深刻になる必要はありません。
しかし、下痢状態が長く続いたり、日常生活に支障をきたすほどの腹痛が継続する場合、何らかの病気が潜んでいると考えるべきでしょう。
慢性的な腹痛 (3か月以上の持続的な腹痛) は、実は成人の2%もの人たちが抱えており、主に女性に起こるとされています。
しかしながら、通常の診察ではその診断が難しく、生理的なものなのか、機能的なものなのか、そもそも「何が原因なのか」を特定することは非常に難しいとされている疾患なのです。
まずは以下に、原因となる疾患を並べてみました。参考までにご覧ください。
《生理的な腹痛》
■消化器疾患
- 裂孔ヘルニア
- 肝炎
- 胆嚢炎 (たんのうえん)
- 消化性潰瘍
- 腸潰瘍
- 過敏性大腸炎
- 慢性虫垂炎
- クローン病
■泌尿生殖器疾患
- 先天異常
- 尿路感染
- 子宮内膜症
■全身性疾患
- 鉛中毒
- 食物アレルギー
- 腹部てんかん
《機能的な腹痛》
一般的に多い「生理的な腹痛」ではなく、特に異常が見当たらないにも関わらず腹痛が長引いてしまう。。。このような疾患もあります。
このような機能的な慢性腹痛の原因としては、心理的なものが多いとされています。
(ストレス社会の象徴といえるかもしれません)
以上のように、様々な原因が考えられる「慢性腹痛」ですが…
不幸にも良い医師に巡り会えず「原因不明」と診断されてしまった場合には、他の病院を受診して、何とか原因を特定させてくださいね。そうしないと対策の打ちようがありませんから。
そして今回は、「慢性腹痛」の原因の一つであるクローン病に焦点を当ててみていきたいと思います。
クローン病は、小腸・大腸を中心として、口から肛門まで全ての消化管に炎症が起こる病気です。
世界的に見ると北米やヨーロッパでの発症率が高く、日本ではそれほど多くなかったのですが、「食の欧米化」など生活習慣の変化により、近年はその患者数が年々増加しています。
そして現在、国内のクローン病患者数は3万人以上!
しかも、欧米では女性が多いのに対し日本では2:1の割合で男性に多く見られる病気なのです (特に10代後半から20代前半の若年層に多い)。
クローン病は、小腸、大腸、肛門の周辺によく起こります。
主な症状は、発熱、腹痛、下痢、痔、全身の倦怠感、下血、血便、体重減少、貧血などです。
腸以外にも、症状は関節、皮膚、眼などにも見られる場合があります。
はっきりとした原因は未だ解明されていません。遺伝的要因もあるようですし、食事では、「脂質」「糖質』の過剰摂取が危険因子になるのではないかとされています。
また、喫煙との因果関係も疑われていますが、「喫煙が原因」と断定するには至っていません。
《栄養療法》
クローン病は、炎症を繰り返すことで腸管が狭くなり消化・吸収が低下するため、しっかりと食事をしていても栄養摂取不足になってしまいます。
子供の場合は、成長障害や骨粗しょう症など深刻な合併症に繋がってしまう場合もあります。
そこで行われるのが栄養療法です。1日に必要なカロリーの半分を経腸栄養剤(すごーくマズイもの)で補給することで、クローン病の再発を防止できる場合もあります。
《薬物療法》
クローン病は、免疫システムの異常により消化管で炎症が起こる病気です。そこで、炎症を抑える「抗炎症作用」または免疫の異常を抑える「免疫抑制作用」をもつ薬を症状に合わせて用います。
《手術》
クローン病は、薬物治療でコントロールできることが多い病気ですが、腸管の合併症が起こると手術が必要になる場合もあります。
できるだけ腸管を残すため、切除する部分を小さくしたり、狭くなっている部分を広げる手術が行われます。現在では、内視鏡で処置できる場合もあります。
検査で異常が見られない場合、そのほとんどは心配ないと言われていますが、そうは言っても「なんとなーくお腹の痛い状態が長いこと続いている」と不安で仕方ないですよね。
腹部の病気は多様なため、慎重に調べてもらう必要があります。
そこで、信頼のできる医師のもと、しっかりと原因を探り、改善に向けて治療を続けていきましょう。
毎日を笑顔で過ごせますように ☆