遺伝性脳疾患と判明したうつ病!今後の最新治療法に期待!
うつ病患者の急増は、今や日本のみならず世界的な大問題となっています。うつ病などの「気分障害」で医療機関を受診している総患者数は日本だけでも111万人超え (2018年)。
さらに、ここ10年、連続3万人超とマスコミで報じられている年間の自殺者数は、実は十数万人はいるとも言われています。それはさておき、仮に年間3万人として、このうち、うつ病が原因と判明した人は7,000人を超え、状況はとても深刻なのです。
果たして、うつ病とはどんな病気なのでしょうか?どうすれば再発を防げるのでしょうか?
さっそく「うつ病」に関する最新研究の成果をみてみましょう。
うつ病は完治するの?
ストレスや悩みというものは人間誰しも抱いているものですので、「うつ病」がどういう状態になって完治したとするのかは議論の余地がありますが、
「低下した判断力・決断力などの高度な認知機能が回復し、仕事や趣味、家族などへの興味・関心が罹患(りかん)前と比べて9割以上戻った」と感じられれば、「寛解」(治癒)したと言えるのではないでしょうか。
そういった意味では、
1〜2年服薬を続けても、必ずそのレベルに達するとは限りません。本当の意味で「その人らしさ」が戻ってくるまでには2〜3年かかる場合もありますし、もっとかかる場合だってあります。
「気分障害」の中でも、うつ状態と躁(そう)状態を繰り返す双極性障害はさらに時間が掛かります。長期にわたり病気と付き合わなければならない、かもしれないのです。
(「うつ病は完治するのか?」という問いの答えは一番最後に記載しておきますね。)
うつ病の治療法は
うつ病の治療は、まず薬物療法で気分を安定させ、非薬物療法(心理療法、運動療法、認知行動療法など)で下支えするのが一般的です。
※ 患者さん自身が病気や自分の状況を客観的に理解し、偏った考え方に陥りそうになったときに自分で回避する方法を身に付ける、という意味では認知行動療法はとても有効です
他にも、血液検査を行い、そのデータをもとに生活スタイルや栄養面の指導を行うことで、うつ病の症状が改善されることもあります。
漢方薬を併用したり、アロマセラピー、リフレクソロジーなども取り入れたりして、ありとあらゆる手段を用い、患者さんに合うと思われるものに何でも挑戦してくれるお医者さんは基本的に良いドクターだと言えるでしょう。
これが現状のうつ病治療法となります。
遺伝的リスクあり?
アメリカのある研究チームは、「今回の発見によって、うつ病治療を行う上での道筋がつけられた」と今後のさらなる研究に胸膨らませています。
ここでまず大前提となるのは、「うつ病として知られる精神疾患の原因は、遺伝要因と環境要因との複合」だということ。
これは以前から言われ続けていることですが、今回の研究により、決定づけられたと言えるでしょう。
「うつ病」は実際には「脳の病気」
うつ病は「心の病気」と言われますが、実際には「脳の病気」です。原因はまだ分かっていません。
セロトニンを増やせばうつ病は治る?
最新の研究結果からすると、必ずしもそうとは言えないようです。
例えば、がんの発生は複数の遺伝子の変異が原因となっていますが、うつ病もおそらくそれと同じで、単一の要因だけでは説明できないらしいのです。
脳のどの辺りに異常があってこの病気になるのか、本当の意味で完全に解明されるのはまだまだずっと先のことだと考えられています。
まとめ
現時点 (2018年) において、仮に早期の段階で診察に来て、ありとあらゆる治療を行い、回復したから治ったのかと言えば、必ずしもそうではありません。何度も再発し、慢性化することが実に多い病気なのです。
治ったと思っても実は治っていない場合もあるので、根気強く付き合っていかなければなりません。
一方、がんや糖尿病などの大病を患っていたり、高齢になってきたりすると、うつ病を発症してしまうことがあります。パーキンソン病の患者で言えば、3~5割はうつ状態とも言われています。
このため、様々な疾患を専門的に診る医師は、その疾患のみならず、うつ病の事も踏まえて、いろんな角度から注意深く患者と向き合う必要があるのです。
そういった意味で、あなたに信頼できる医師はいますか?
今回の発見によって、「うつ病は脳疾患だ」ということはわかりましたが、環境要因や多種多様な疾患との関連性もあり、なかなか一筋縄ではいかないのがうつ病の難しさなのです (脳は小宇宙のごとし)。
ただし、「脳疾患」だとわかった以上、今後はより詳細な原因物質や原理などが解明され、より良い治療法が開発されるのではないかという期待が膨らんでいきます。
新たな成果が発表されるその時まで、静かに見守っていきましょう。