不妊時に必要なホルモン検査と最新の治療法
妊娠・出産には、体の健康だけでなく女性ホルモンが正常に機能している必要があります。
しかし、女性のホルモンバランスはかなりデリケートで、生活習慣の乱れやストレス、病気などの影響を受け、すぐに崩れかねません。
もしあなたが真剣に妊娠を望むのであれば、自分のホルモンバランスを知っておくことはとても重要です。
そこで今回は、「ホルモン検査」の内容と「最新の不妊治療法」について話していきたいと思います。
不妊治療の際に行われるホルモン検査では、不妊の原因となる問題がないかどうかが調べられます。具体的には、血液や尿の中に含まれるホルモンの数値が調べられるのです。
主に、生理周期や妊娠に関わっているホルモンが対象で、各ホルモンの数値を見れば、排卵日予測や生理不順、不妊症の原因などが特定できます。
《女性のホルモン検査で調べるホルモンは主に6種類》
エストロゲン(卵胞ホルモン)
卵巣内にある卵胞から分泌され、着床が起こりやすいように子宮内膜を厚くする作用があります。女性らしい体つきや肌の美しさを保つ働きもある女性ホルモンです。
プロゲステロン(黄体ホルモン)
排卵を終えた卵胞が黄体化することで分泌されるホルモンです。エストロゲンが厚くした子宮内膜を維持し、体温を上げるなど受精卵の着床をサポートする作用があります。
FSH(卵胞刺激ホルモン)
卵胞を発育させる作用があります。脳下垂体から分泌され、卵胞が排卵できるようになるまで成長を促します。
LH(黄体形成ホルモン)
成熟した卵胞からの排卵を促し、排卵後には卵胞を黄体化させる作用をもつ性腺刺激ホルモンの1種です。脳下垂体から分泌され、卵巣を刺激し、エストロゲンやプロゲステロンの分泌にも影響します。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)
発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。このホルモンの量が多いほど、卵巣の中にたくさんの卵胞が存在していることを意味します。
プロラクチン
産後に母乳を出すよう指令を出すためのホルモンです。母乳の分泌を促す一方で、授乳期間中は妊娠しないように排卵を抑制する働きも持っています。
《費用》
病院によって異なりますが、1つのホルモンの数値測定をするのに1,000円前後かかります。項目が増えれば費用もかかりますが、全ての検査をしても数千円程度です。
ただし、医療機関によっては保険が適用されず割高になってしまう場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
《早めに検査を受けた方がいい?》
これから妊娠を望むのであれば、今の自分が妊娠しやすい状態なのか、不妊の可能性があるのかを知ることはとても大事です。
仮に、不妊の可能性があっても、早めに対処すればそれだけ妊娠できる確率の高まります。あまり気負わず、一度検査を受けてみてはいかがでしょうか。
不妊に悩むカップルを対象とした新しい治療法で、「2人の女性の妊娠に成功した」と、大阪のクリニックが発表しました (2016年夏)。
ここで新たに研究が始まった不妊治療とは、「オーグメント療法」ミトコンドリア移植というものです。
このクリニックでは2016年春から臨床研究を始め、これまで6人に実施したところ、27歳と33歳の女性2人が妊娠に成功したということです。
「卵の質がよくないとはっきり言われて。。。どうしたらいいかわからないし、新しい治療にかけてみたい」
(これまで不妊治療がうまくいかなった) 不妊の悩みを抱える女性たちにとって、新しい治療法は神にもすがる気持ちで試してみたいものなのです。
現在、このオーグメント療法を受ける準備を進めている田中さん夫婦(仮名)は、9年前に結婚し7年間不妊治療を続けてきました。体外受精を10回以上受けてきましたが妊娠には至らず・・・
田中さんの卵子の画像を見ると、泡のようなものがたくさんあり、健康的な卵子と比べると大きく違うといいます。体外受精を続けても妊娠に至らないのはこの卵子に原因があるのではないかと言われ、ミトコンドリア移植を決断しました。
「元気な精子にミトコンドリアを合わせて卵子の中に打ち込むと、打ち込んだミトコンドリアが助けてくれる。」(HORACグランフロント大阪クリニック 院長)
ミトコンドリア移植はこれまで世界で250例以上行われており、このうち25人が出産に至っているということです。
参考までに ☆