成功率低い日本の不妊治療!夫の父の精子利用も
晩婚・晩産化が進む中、日本のカップルの6組に1組は何らかの不妊治療をしたことがあると言われています。
そして、驚くべきことに、日本における不妊治療 (体外受精) はその実施件数が世界一多い割には成功率が最低とも。
日本では世界一たくさんの体外受精が行われている。にもかかわらず、世界一出産できていない。
いったいなぜ?
「体外受精を経ての日本の出産率の低さ」の原因として真っ先に考えられるのは、晩婚化・晩産化の影響です。
日本では、体外受精を実施する女性の3人に1人が40歳以上なのです。これは世界的に見てもかなりの数字です。ただ、子どもが欲しいと願う年齢の上昇は、先進国ではどの国にも起きている共通の悩み。
実は、年齢のほかにも、日本の体外受精には大きな特徴があるのです。それは、「自然志向」という日本人ならではの考え方。
日本では、排卵誘発剤をできるだけ使わない方法が採用されており、他の先進諸国の治療と明らかに違うのです。
「排卵誘発剤を使うと閉経を早める」
「薬は有害」
といった、科学的な裏付けのない話をまことしやかに信じている人が患者のみならず、医師の中にも多くいるのです。その代わり、いかにも体に良さそうな体操や食事療法を重視しています。
一見、体に優しいとも思えるこの日本的なやり方が、体外受精の成功率を下げている一因なのかもしれません。
すでに国際的な研究結果でも証明されていることなのですが、日本で広く行われている「薬を使わない自然周期の治療」よりも、薬を使って治療した方が効果は大きいのです。
このことは、結論が出ている事実なのです。
上述した通り、国際的には「薬を使わない自然周期の体外受精は出産率が低い」ため、イギリスでは、国が定める不妊治療のガイドラインに「医師は自然周期を提案してはならない」と明記されているのです。
しかし、なぜか日本ではこのような情報がなかなか浸透していないのです。
そもそも日本には、イギリスが作っているような「治療法の統一ガイドライン」というものが存在していません。そのため、日本における不妊治療では、専門施設であっても治療方針がバラバラなのです。
この結果、不利益を被るのは患者さんたち。「いったいどの医者が正しいことを言っているのか」さっぱりわからず、転院を繰り返すしかなくなるのです。
そうこうしているうちに、貴重な時間と莫大なお金は無駄になってしまうわけなのです。
それでも、妊娠できればいいのですが…
そもそも卵子というものは、排卵できるほどに成長したものであっても「出産できないもの」が圧倒的に多いのです。
卵子の多くは途中で成長が止まってしまうのです。
つまり、体外受精を行うにあたり採卵をしたところで、子宮に戻せる段階まで成長するものはほんの一部に過ぎず、さらに、子宮に戻しても、ちゃんと着床し成長して出産に至るものはもっと少ないわけです。
このような現実の中、卵巣内の卵子をたくさん育てる作用のある排卵誘発剤を使わなければ、結果は言わずもがな、なのです。
やはり、妊娠率を高めるためにはどうしても排卵誘発剤が必要になってくるのです。
一般的に、卵子1個あたりの出産できる確率は、若くて健康な人でも4分の1くらいしかないと言われています。
このような状況の中、排卵誘発剤を使えば、若い人なら7~8個、多い場合は数十個もの卵子を一度で採卵することができるのです。
つまり、排卵誘発剤を使えば、1回の採卵で出産可能な卵子が採れてしまう確率がぐんと高くなるわけなのです。
海外では、「1人の子どもが体外受精で生まれるためには、平均で25.1個の卵子を採ることが必要だ」と言われているそうです。
確かに、排卵誘発剤をやるとなれば毎日の自己注射が必要で、体への負担は大きくなるでしょう。しかし、効果の低い日本式の方法で、採卵を何度も何度も繰り返すことになれば、体にも、財布にも、長期的な負担が重くのしかかってくるのです。
しかも、
体外受精の治療費は、1回につき20万円前半から80万円と高額!日本では保険が効かないため、治療施設によって費用はバラバラ。国が行っている助成制度も金額が少ないといった有様なのです。
残念でなりません。
治療を受ける人の年齢は年々高くなってきています。時間は限られており、日本式の「体に優しい方法」は結果が出るまでに時間がかかります。2年3年と治療を続けていく中で、「産めない年齢」に達してしまうかもしれません。
女性は、(自身が) 胎児のときに一生分の卵子を胎内で作り、その数は時間とともに減っていく一方なのです。そして、卵巣に卵子の在庫がなくなった時に…
いくら排卵誘発剤を使ってももう手遅れなのです。
時間には限りがあります!
卵子の数も有限です!
どんな方法でも妊娠しやすい20代であれば、効率より好みで治療法を選ぶこともできますが、30代ともなるとそうもいきません。慎重にならざるを得ないのです。
不妊治療には、どの薬をどう使うか使わないかの選択だけでなく、最初に受ける検査や受精卵の扱い、それを子宮に戻す方法など、あらゆることが施設によってかなり違ってくるのです。
そこで、治療を受ける人は、良い医師 (自分に合った医師) に巡り会えるかどうかが結果を大きく左右することになるのです。
将来的には不妊治療も、がん治療のように科学的な情報が国民に広く知らされることになるでしょう。ガイドラインも作成されることでしょう。
しかし、そうはなっていない現状において、患者一人一人があの手この手を使い、より良い情報を適切に入手していかなければならないのです。
夫婦以外の卵子や精子を使った体外受精の実施を国内で初めて公表した諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)では、過去20年の間に、夫の実父から精子提供を受けた夫婦114組から、体外受精で計173人の子どもが誕生しているそうです。
夫に精子がない場合、誰かの精子が必要になるわけですが、実父(50歳代~70歳代)から提供された精子と妻の卵子で体外受精…
あなたはこの現実をどのように受け止めますか?