車は乗り潰すべきか、数年で新車にすべきか

 

車はけっして安い買い物ではありません。「限界まで乗り潰す」べきか、「タイミングを見計らって価値が下がる前に下取りや買取りに出す」べきか、悩むところですね。どちらが経済的に得なのでしょうか。トータルコストをできるだけ安く抑えるために、見解は世間でも分かれています。

結論から言うと、「車種」「(劣化した) 部品」「年数」などの諸条件によって判断は分かれるようです。乗り潰した方が良いケースと買い替えた方が良いケースの2通りがあります。

 

消耗品の交換で済む場合は乗り潰した方がお得

近年の日本車はかなり優秀で、重要かつ高価な部品はそう簡単には壊れません (劣化しにくい)。よほどのことがない限り、修理や交換に多額の費用がかかることはありません。もちろん、ワイパーやタイヤといった消耗品や各種オイル、ブレーキパッドなどの交換は必要です。結論としては、特に大きな問題がなく消耗品を交換すれば走れる状態であれば、乗り潰した方がトータルコストは安く抑えられると言えるでしょう。

 

 

買い替えた方が良いケースは…

① 修理に多額の費用がかかる場合

エンジン系統やAT・CVTなどのミッション系統が故障した場合、修理や交換に多額の費用がかかります (エンジン系統なら100万円前後、ミッション系統なら30~40万円ほど)。またハイブリッド車の場合、蓄電バッテリー (高額) の交換も必要になってきます。補機類バッテリーと駆動用バッテリーの2つが搭載されており、補機類バッテリーの交換で3~4万円、駆動用バッテリーの交換で20~30万円ほどかかります。駆動用バッテリーの保証期間は5年または10万kmなので、そう簡単に故障するものではないのですが、それらの保証期間を目安に、万が一故障した場合は買い替えを検討した方がいいでしょう。

 


② 軽自動車

普通自動車に比べると耐久性の低さは否めません。事実、減価償却期間は普通車が6年なのに対して軽自動車は4年に設定されています。足回りが弱く、「年数」「走行距離」が増すと普通車よりも早く傷んでくるためです。結果として、メンテナンス・コストも多くかかってきます。税金の安さや低燃費といったメリットを考慮しても、コストパフォーマンスは著しく低下すると言えるでしょう。もともと軽自動車は車体価格がリーズナブルなので、修理や交換を繰り返してまで乗り潰すのは現実的ではありません。近頃は軽自動車の性能も向上し足回りの不満も解消しつつありますが、乗り潰す方が経済的…とまでは言い切れません。

 

 

「7年目の車検を迎える直前」がベスト

一概には言えませんが、「車の買い替えは7年目の車検を迎える直前がベスト」と言えるかも知れません。一般論としても、乗り潰すのと買い替えるのでは「買い替えの方がやや優勢」とも言われています。ただしそのタイミングは大事です。「7年目の車検を迎える直前がベスト」なのです。

たとえば、車検代が10万円かかる新車を250万円で購入し、5年目または7年目で250万円の新車に買い替えるとしましょう。購入して5年目で買い替える場合、車検を通すのは1回で費用は10万円になります。2台分の車体価格 + 車検1回でトータル510万円の費用がかかりますが、1台目の下取り価格を仮に100万円として、410万円の出費となります。1年あたりに換算すると82万円の出費ということになります。

一方、7年目で買い替えた場合、車検は2回通すことになるので20万円の支出となります。買取価格は5年目より落ちて50万円程度と考えると、差し引きで60万円ほど出費が増えることになります。ただその分7年経っているので、1年間の出費は67万円。つまり、年単価は7年乗った方がお得となります。

ちなみに買い取り価格は、登録後「3年で40~60%」「5年で30~45%」「8年目以降になるとほぼ0%」になると言われています。以上のことから、「7年目の車検を迎える直前」のタイミングで車を買い替える人が多くなっているのです。

 

 

「年数」と「走行距離」の目安

「乗り換えた方が良い」「買い替えた方が良い」ケースの判断基準がわかったところで、「乗り潰す」の定義もより明確に理解しておきましょう。一般的には、新車で購入後「5〜7年」あたりが「乗り潰し」のボーダーラインとなっています。現実的な話をすると、現代の車は耐久性が飛躍的に向上しているため、10〜20年は平気で乗り続けられます。ただし、それなりにメンテナンスは必要です。だからこそ、10年以上経過した車は現役で走れるにも関わらず、場合によっては買値がつかないこともあるのです。買取価格は (一般的に) 5年経過でぐんと落ちてきますので、5~7年が「乗り潰し」のボーダーラインとなるのです。

「走行距離」で考えると、「10万km」が一つの目安です。これは、エンジンのイグニッションやバルブ開閉のタイミングに関わる「タイミングベルト」と呼ばれる部品の耐久年数が「10年程度」と言われていることに由来しています。タイミングベルトは修理や交換に多額の費用がかかるため、「いっそ買い替えた方が良い」のです。

 

 

買い替えのタイミングを逃してしまったら「廃車」

8年以上乗り続けている場合、(買い替えの際) 下取りに出しても期待する値段がつくことはほぼありません。ディーラーや中古車買取業者に持ち込んでも値がつかないばかりか、場合によっては廃車手続きの代行費用を別途徴収されてしまうケースもあります。そこでおすすめなのは廃車買取業者の利用です。査定の結果、最悪値段がつかないかもしれませんが、廃車手続きを無料で代行してもらえるので少なくとも損はしないで済みます。あくまで「車」としてしか見ないディーラーや中古車業者に対し、廃車買取業者は「部品」として車を評価してくれるので、ボロボロの廃車処理には廃車買取業者を利用しましょう。

最後に、車を少しでも高く売るためには「3月の自動車需要の高まりを狙って売る」「車検が切れる前に売る」「大幅なモデルチェンジが来る前に売る」「10年落ちになる前に売る」「走行距離が10万キロを超える前に売る」といった売る時期の工夫が大事なことも覚えておきましょう。