大人の軽度知的障害の特徴と対処法
何らかの原因によって知的能力の発達が遅れてしまっている人たちのことを「知的障害者」といいます。未だそのほとんどが原因不明であり、周囲の理解が得られにくい困った病気でもあります。
実は、私の母親は軽度の知的障害を持っています。見た目は健常者と何ら変わりません。ただ、ちょっと話をしてみると、会話にズレが生じ、「あれっ、この人何か変だな」と感じるはずです。
- コミュニケーションが苦手
- 趣味がない
- 友達がいない
- 独特のこだわりがある
- 極度に不器用
- 同じことばかり繰り返し話す
- 奇声・独り言を発する
- オシャレや身だしなみに気を遣わない
- 年相応の理解・表現が出来ない
このような特徴があり、知的障害者本人やその家族にとっては常に「生きにくさ」がつきまといます。何とな〜くしんどい生活を強いられているのも事実なんです。
そこで、「世の中にはこういった障害に悩み苦しんでいる人たちもいるんだよ」「介護とは、何も寝たきりや認知症高齢者だけに必要なものではないんだよ」「知的障害者にも必要なんです」ということを知ってもらうべく、「大人の知的障害」について簡単にまとめてみました。
少しでも参考になれば幸いです。
上で羅列した特徴のほかにも、実際にはもっともっと複雑に様々な特徴が存在するのですが、ここでは主な特徴をいくつか紹介しておきますね。
① スケジュール管理が難しい
これは、脳細胞の発達が遅れていることによって「決断力」が発揮されにくいためだと考えられています。おおよその数字や曖昧な時間などを苦手とする人も多いので、約束や待ち合わせでは「具体的な数字・時間」を提示するよう心がけましょう。
② 仕事内容を覚えるのが困難
仕事内容や手順をなかなか覚えられません。「意味」を理解するまでに時間がかかります。そこで、たとえ失敗しても、ゆっくりでもいいので少しずつ出来ることを増やしていき、自分に合った「やり方」を見つけることが大事です。温かく見守ってあげましょう!
③ 集団の中で孤立してしまう
場の空気が読めなかったり、暗黙の了解を理解出来なかったりする特徴のせいで、どうしても集団から孤立しがちです。まずは知的障害について理解してもらうことから始め、誰かに良き話し相手になってもらえるよう、地域や周囲の人に働きかけてみましょう。それでも困ったら、医師や支援センターの人などに相談してみるのも良いでしょう。
これは何といっても「周囲の適切なサポート」です。誰だってそうですが、困っているときに「手を差し伸べてくれる存在」が居てくれるだけで心の支えになります。
私自身、(残念ながら) 軽度知的障害の母親とは普通に会話が成立せず、いつもイライラさせられていました (過去形です) 。
でも、現在は考え方を改め、無理に一人で背負い込まず、寛大な心で接するように心がけています。
「もしも (母ではなく) 自分が知的障害だったら…」
深く想像してみてください。
何を感じ何を思い、どんな言動をするでしょうか…
(私の場合は)
そんなことを考え、一呼吸置いてから母と接するようにしてみたのです。
変わらない現実をしっかりと受け止めた上で、自分を産んでくれたことへの感謝の心を再確認できたことで、
随分楽になりました。皆さんも、カリカリしないで相手の気持ちになって考え、行動する努力をしてみてくださいね!
皆さんは「アルジャーノンに花束を」というSF小説を読んだことありますでしょうか?
脳手術をして天才になった知的障害の青年チャーリイ (IQ68) の物語です。彼は賢くなって、周りの友達と同じようになりたいと願っていました。
そんな彼は他人を疑うことを知らず、周囲に笑顔をふりまき、誰にでも親切であろうとする、大きな体に小さな子供の心を持った優しい性格の青年だったのです。
しかし、知能が上がるにつれ、気がつかなければ良かった周囲のいじめや、母親から捨てられた事実を認識するようになるのです。
物語はこの先もっと複雑に展開されていきます。気になる方は一度読んでみてくださいね。
ともかく、ここで言いたいことは何か…
それは、、、
足が不自由で歩けない人は車いすを使う。視覚障害のある方は盲導犬を使う。障害のない人だって道に迷えば他の人に聞く。トラブルに巻き込まれたら弁護士に頼む。。。
これらと同じように、知的障害を抱えていたら遠慮せず、周囲のサポートに頼ることが必要だということなんです。
出来ないことは出来ません。
わからないことはわかりません。
治らないから障害なのです。
頼れる人に頼りましょう。
人は互いに支えあって生きていくもの。たとえ「障害」そのものが治らなくても、支援を受け、その人の能力に応じて「自立」していけばいいのではないでしょうか。
「自立」とは、なんでも独りですることではありません。周囲と一緒に自分の生活を豊かにしていくことだと私は思います。
遠い将来の、本当に実現するかどうか分からない治療法をアテにするよりも、現実に目を向け、身の回りの「資源」を探してみてはいかがでしょうか🙂
周囲も本人も「諦めない」気持ちが大事です!
近年は知的障害を含む障害者に対する支援も進み、少しずつではありますが暮らしやすい環境になりつつあります。知的障害と診断されたからと言って「日常生活が出来ない」「仕事が出来ない」わけではありません。
自分なりの普通を楽しみながら自分らしく暮らしていけるよう、精いっぱい生きていきましょうね!