発達障害と知的障害はどう違うの?
発達障害には知的障害が合併している場合とそうでない場合とがあり、知的障害に限って言えば、一般的には金銭管理・読み書き・計算など、日常生活や学校生活の上で頭脳を使う知的行動に支障があることと定義づけされています。
また知的障害は、精神遅滞とほぼ同義語とされ、医学上は精神遅滞、学校教育上は知的障害と使い分けされている傾向にあるようです。
日本ではかつて、精神薄弱という言葉が使われていましたが、1998年に法改正があり、知的障害と呼ばれるようになりました。アメリカなどでは差別的な側面に配慮して、「精神遅滞」から「知的障害」へと呼称を変えていったのです。
ここでは、そういった専門的なことではなく、発達障害と知的障害は何が違うのか、その辺りを簡単に紹介していきたいと思います。
知的障害には法的定義はありませんが、「知的能力に障害があり、何らかの支援が必要であること」とされています。そのほとんどは発達期(18歳未満)で生じます。
知的障害は、その度合いによって重度・中度・軽度に分けられます。
知能指数 (IQ) = 精神年齢 (発達年齢 ) ÷ 生活年齢 (実年齢 ) × 100
この式により、50〜70%は軽度、35〜50%は中度、20〜35%は重度、20%未満は最重度と分類されています。
※ 軽度の知的障害では、障害のあることが見た目だけではわかりにくい傾向にあります
知的障害のほとんどは軽度であり、その原因は明らかにされていません。原因不明なのです。約2割ほどの、原因が判明している方の場合は、「染色体異常などの先天性」「出産時酸素不足などのトラブル」「乳幼児期の高熱」などが原因となっています。
発達障害は脳機能の障害が原因となっています。このうち、自閉症の場合に知的障害を伴う場合があります。つまり、知的障害は発達障害の一つであるとも言えるでしょう。
知的障害は、知能テストなどで測定される「知的能力」と、社会生活を営むために必要な行動をとる力「適応能力」を元に診断されます。
※ ちなみに発達障害の場合は、「コミュニケーション能力」「適応能力」などで診断されます。
つまり、知的障害と発達障害の診断は重なる部分もあるのです。
自閉症と知的障害には似たような症状があり、前述した通り、発達障害 (自閉症) の場合、知的障害を合併している可能性もあるのです。基本的には、自閉症の症状があり、知的障害の症状も顕著な場合に「知的障害者」として認定されるようです。
※ 知的障害を伴う自閉症の場合でも、軽度の知的障害 (症状があまり目立たない場合) は知的障害として認定されません
この2つは非常によく似ているのですが、知能指数 (IQ) が70以上で学習障害の症状がある場合に「学習障害」と診断され、70以下の場合には「知的障害」と診断されます。
知的障害は学習面を含めた全面的な知能の発達に遅れがあり、学習障害は到底の学習に困難を生じます。
知的障害者として認定されると、療育手帳が交付されます。療育手帳には、障害の程度によってAかBのどちらかが記載されます。最重度・重度の場合はA、中度・軽度の場合はBです。
また、この認定を受けると、障害年金や特別障害者手当などの制度を受けられる場合もありますので、必要な方はお近くの自治体窓口でお尋ねください。
2016年7月、神奈川県相模原市の障害者施設に刃物を持った元施設職員(26歳の男)が侵入し、入所者19名がその尊い命を落としてしまいました。
抵抗できない障害のある方々に次々と襲いかかり死傷させるという残忍な行為に、私は驚愕し、強い憤りを覚えずには入られません。
事件で無残にも奪われた一つひとつの命は、かけがえのない存在でした。犯行に及んだ男性は、自らの行為に正面から向き合い、犯した罪の重大さを認識しなければなりません。
これから、事件の背景・原因・内容を徹底的に調査し、中長期の対応をしっかりと行っていただきたいと思います。
最後に、被害に遭われた方々、そのご家族様、並びに関係者の皆様がこれから少しでも穏やかに過ごしていけますよう、心よりお祈り申し上げます。