自閉症スペクトラムを理解して!【年代別】特徴

 

発達障害の一つである自閉症スペクトラム障害 (ASD) は、先天的な脳機能の障害であり、いわゆる自閉症やアスペルガー症候群 (AS) もこのカテゴリーに入ります (自閉症やアスペルガー症候群などが統合してできた診断名です)。

自閉症スペクトラムの人は、学校や職場など社会の様々な場面において、人とのコミュニケーションに難しさを感じてしまいます。また、興味や関心が狭い範囲に限られやすく、独特のこだわり行動や振る舞いが見られることもあります。

 

自閉症スペクトラム障害と一言で言っても、生活に支障をきたすほど症状が強い方から、軽度で日常生活にほとんど支障なく暮らせる方まで様々です。つまり、症状の強弱や、知的障害を伴う・伴わないなどによって十人十色の理解やサポートが必要な障害なのです。

まずはじめに知っておいてほしいことは、原因はいまだ特定されていませんが、何らかの原因で生まれつき、脳に障害を負ってしまった結果であり、しつけや愛情不足といった親の育て方が原因ではないということ。くれぐれも誤解や偏見の目で見ることがありませんように。。。

 

現在の研究においては、脳機能障害を引き起こすメカニズムとして、遺伝的な要因が原因の一部であると推測されています。何らかの先天的な遺伝要因に様々な環境的な要因が重なり、相互に影響しあって脳機能の障害が発現するのではないかという説が有力とされています。

この記事では、そんな自閉症スペクトラム障害の特徴や治療法などについてわかりやすくまとめてあります。ぜひ参考になさってみてください。
 

 

 

 

自閉症スペクトラムの年齢ごとの特徴

 

自閉症スペクトラム障害の症状は成長とともに変化していきます。症状は人によって個人差が大きいのですが、大まかな年代別の症状は以下の通りです。

 

 これらの症状は、すべてがあてはまるわけではなく、症状の現れ方は人によって異なります。この特徴がみられるようになるのは、生後約2ヶ月から2歳前後が最も多いといわれています。発達の遅れが顕著にみられる場合は12ヶ月よりも早く、軽度であれば2歳を過ぎてから特徴が表出するといわれています。

 

 


 

🔴  幼児期(0歳~小学校就学前)

 
発達障害は、言語・認知・学習といった発達領域が未発達の乳児では、その特徴となる症状が分かりにくい場合があります。ですから、生後すぐに自閉症スペクトラム障害の診断がでることはありません。

それでも、幼児期全体を通してみると、以下のような特徴的な行動をとっていたことが多いと言われています。

 

 

■  周囲にあまり興味を持たない

「視線を合わせようとしない」「他の子どもに興味をもたない」「名前を呼んでも振り返らない」など。定型発達の子が興味をあるものを指で指して示すのに対し、自閉症スペクトラム障害がある子は指さしをして興味を伝えることをしない傾向があります。

 

 

■  コミュニケーションを取るのが困難

知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害がある子は、言葉の遅れやオウム返しなどの特徴がみられます。会話においては、一方的に言いたいことだけを言ってしまったり、質問に対してうまく答えられないなどの特徴があります。定型発達の子が友達とのごっこ遊びを好むのに対し、自閉症スペクトラム障害がある子は集団での遊びにあまり興味を示さないことが多いです。

 

 

■  強いこだわりを持つ

興味を持つことに対して同じ質問を何度もしたりします。また、日常生活においてあらゆるこだわりを持っていることが多いので、ものごとの手順が変わると混乱してしまうことが多いです。

 

 

 


 

🔴  児童期(小学校就学~卒業)

 

 

■  集団になじむのが難しい

周囲にあまり配慮せず、自分が好きなことを好きなようにしてしまうため、年齢相応の友人関係がないことが多いようです。人と関わるときは何かしてほしいことがあるときだけ。基本的には1人遊びを好みます。人の気持ちや意図を汲み取ることが苦手です。

 

 

■  臨機応変に対応するのが苦手

きちんと決められたルールを好む子が多く、場面に応じて臨機応変に対応させることが苦手です。

 

 

■  「どのように」「なぜ」といった説明が苦手

言葉をうまく扱えず、単語を覚えても意味を理解することが難しい場合があります。また、自分の気持ちや他人の気持ちを言葉にしたり、想像するのも苦手です。そのため、気持ちや状況などの説明をうまくできないこともあります。

 

 

 


 

🔴  思春期~成人期(小学校卒業~)

 

 

■  不自然な喋り方をする

抑揚のない、不自然に思える話し方が目立つ場合があります。

 

■  人の気持ちや感情を読み取るのが苦手

上記した通り、この時期においてもコミュニケーション能力が乏しく、他者が何を考えているのか…などを推測するのが苦手です。

 

 

■  雑談が苦手 

目的の無い会話 (雑談) をするのを難しく感じる人が多いです。

 

 

■  興味のあるものにはとことん没頭する

自閉症スペクトラム障害の人は物事に強いこだわりを持っています。そのため、興味のあることに対してはとことん没頭する傾向があるため、その道の専門分野で大きな成果をあげる方が多いようです。
 

 

 


最終更新日:2017/12/14