自閉症スペクトラム (発達障害) の特徴と当事者の壮絶な告白
発達障害は、『自閉症スペクトラム障害(ASD)』、『学習障害(LD)』、『注意欠陥/多動性障害(ADHD)』の総称です。中でも自閉症スペクトラムは、その影響が直接的に人間関係にまで及ぶため、問題が複雑化しやすいと言えるでしょう。
臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心・やり方・ペースの維持を最優先させたいという本能的志向が強く働くのですから。もちろん、「ちょっと変わった人だなぁ」といった程度で問題なく日常生活を送れる場合もあります。
「こだわりが強い」
「融通がきかない」
こうした特徴を前向きに捉えると、ブレることなくマイペースをきちんと守り、コツコツ頑張り続けられる人、という見方もできます。
しかしながら、不適切な環境下ではストレスが溜まりやすく、周囲に迷惑をかけてしまうことだって十分にあり得るのです。
自閉症スペクトラムの特徴
自閉症スペクトラムは「広汎性発達障害」とほぼ同義語で、自閉症、アスペルガー症候群、(特定不能の) 広汎性発達障害などを含む包括的カテゴリーのひとつです。
それぞれに違った特徴があるため完全に分けてしまってもいいのですが、共通項も多く境界線を引くのは極めて厳しいため、ここでは「自閉症スペクトラム」…と広義の意味で解釈していきたいと思います。
まずはじめに、自閉症スペクトラムは以下の3つの症候が組み合わさって出現する…ということを覚えておきましょう。
◉ 対人交流とコミュニケーションの質が異常であること
◉ 著しく興味が限局すること
◉ パターン的な行動があること
もちろん、人によって強弱がありますし、誰もが持っている個性の一つ、という見方もあります。それでも、こうした特徴が強く出てしまった場合には社会生活に支障をきたしてしまうのです。
《 自閉症スペクトラムの具体的な特徴》
自閉症スペクトラムの人は…
- ひとりでいることを好む
- 受け身な態度の対人交流
- 一方的すぎる対人交流
- 人情に配慮することに疎い
- 話し言葉が遅れている
- 「オウム返し」が多い
- 話すときの抑揚がちょっと変
- 言語による指示を理解できない
- 会話が噛み合わない
- 敬語が不自然である
- 皮肉を言っても通じず、たとえ話がわからない
- 身振りや指差し(体の動き)が理解できない
- 目線、眼差し(目の動き)が理解できない
- 言外の意味が理解できない
- 話の文脈が理解できない
- 特定の物事に対して強い興味をもつ
- 特定の手順を繰り返すことにこだわる
- 常同的な動作を繰り返す
- 興味をもった領域に関して膨大な知識を持つ
当事者の壮絶な告白
私はそんな『自閉症スペクトラム障害』を持って生まれてきました。脳の一部に生じた生まれつきの異常により、
(1)社会性が伴わない
(2)コミュニケーションが苦手
(3)想像力の欠如
で生きにくさを感じています。
私たちは、社会的にどういう行動が求められているかを理解できず、当たり前のルールを無視したり、常識的な行動をとることが出来なかったりします。引きこもりなどではなく、集団にいながら順応することが出来ません。
また、『コミュニケーション』の面では言語・非言語を含めた全般のコミュニケーションが苦手で、人と目を合わせる、触れ合う、笑いかけるなどの当たり前の愛情表現が苦手だったりします。
自分の好きな事ばかり話したり、人の言葉が理解できず無視してしまったり、自分の気持ちをうまく言葉にできず混乱して叫び出したり、言葉をそのままオウム返ししてしまったり。。。
つまり、コミュニケーション全般において全てがチグハグで噛み合わないことが多いのです。
さらに、『想像力』という面では「今これをしたら将来どうなるか」という当たり前の想像ができなかったりもするのです。なので、「これをしたら後で怒られる。だからやめておこう」といったことが考えられないのです。
つまり、想像力が正しく機能しないために不安になり、いつもと違うことを極端に嫌い、同じ行動を繰り返すことに執着したりするわけなのです。
このように、実は一つ一つは些細なことばかりだとも思うのですが、周囲の人たち (家族や学校・会社の関係者など) は大変でしょう。
反応が変。集団行動ができない。理屈が通じない。こちらの意図が伝わらない。いつも一人の世界に浸りっきり。特定の音や光が苦手。強い偏食がある。睡眠障害になりやすい。片付けなどが苦手。。。
一見すると『わがまま・自分勝手』としか見えない行動ばかりなので、周囲の人たちはとても大変でしょう。ごめんなさい。
けれど、本人はもっと大変なんです。発達障害だと理解してもらえなければ「あいつはわがままだ」と決めつけられ、苦しみを背負わされることになるのですから。
誤解 & 偏見で苦しめられた日々
自分が発達障害だということは大人になるまでわかりませんでした。でも、今振り返ってみると小学生の頃からその傾向はあったのです。クラス中が無視する、下駄箱の中に変なものを入れられる、といったイジメもありました。
ただ、本人はそれがなぜ起こっているのか全く理解できていないのです。きっと同級生のボス的存在をなんらかの理由で怒らせてしまったのでしょう。
もしも私に発達障害というものがなかったら、イジメには遭わなかったかもしれません。でも、理由もわからないままただイジメられる子供は悲惨です。
こうして、何をやっても『普通に』こなすことが出来ず、嫌われ者になってしまう自分に対して、自閉症スペクトラムの子供たちは劣等感を抱くようになります。
『どうせ僕が悪いんだ』『何をやってもうまくいかないんだ』『友達なんかできるわけがない』『私は皆に嫌われている』『私は存在しない方がいい人間なんだ』と。
障害を理解してもらえない子供は誰にも助けてもらえず、癒されずに生きていかなければなりません。
けれど、そんなイジメに遭っている間にも、私に優しく接してくれる人はいました。ご近所のおじさんおばさん、数少ない真の友人たち、など。彼らがいてくれたからこそ、今の私があるのだろうと思います。
もし彼らの存在がなければ、私は今この世にいないのかもしれないのですから、彼らには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。けれどその後も、(当時の) 私は自分が発達障害だということに気づかれないまま、大人へと成長していくことになるのです。
二次障害に苦しめられる障害者
幸いにして、私の場合は1、2度イジメを受けたことがあるくらいで済みましたが、中にはもっと大変な思いをする方もいらっしゃいます。
例えば、「暴力」「家族からも理解されない」「トラウマによるPTSD」「解離性障害」「睡眠障害」「うつ病」「自殺願望」など。
小学生の頃から自殺を考えるようになり、思春期には重い精神症状に苦しめられ、辛さを誰にも分かってもらえないまま大人になる人だっているのです。
目の見えない子に「なぜ君は現実を見ようとしないんだ! 気合が足りないから目が見えないんだ!」と怒鳴っている人を見たら腹が立ちませんか?「見たくても見えないのに、何言ってんだ!」と思いませんか?
自閉症スペクトラムを含め発達障害の人たちは、常にこのような扱いを受けているようなものなのです。大人になって自分も「自閉症スペクトラムだった」と診断された私は、ようやく「私は何も悪くなかったんだ」「ただ病気のせいだったんだ」と認識することができたのです。
けれど、「じゃあなぜ私は傷つけられたのか? 苦しまなければならなかったのか?」。過去に起きた出来事ではありますが、今でもトラウマとして脳に刻み込まれています。
最後に ☆
以上、
(症状の) 特徴の種類によっては仕事上の武器になることも多々あるのですが、円滑な社会生活を送るという点においてはマイナスに働くことも少なからずあります (プラスに働いている人は社会で大成功を収めていますね)。
このように、自閉症スペクトラムは人生において障害になったり武器になったりと様々です。
そこで、単なる障害にさせないためには、「できることをしっかりやっていき個性を伸ばしていく」「できないことは無理をせずやらない」という考えのもと、その人に合った環境を考えていくべきなのです(これは自閉症スペクトラムの人に限ったことではありませんが)。
自閉症スペクトラムの人は、環境さえ整えば大きな力を発揮できます!そのことを、少しでも多くの方に知ってもらえたら嬉しいです☺️