「年金」不払いのツケを埋めなおかつ得する方法

 

(国民の多くが気になっているであろう) 将来の「年金支給額」について、日本政府は約30年後 (2050年頃) に「現在より2割ほど下がっているだろう」を公表しました。「老後を安心して暮らすために (年金以外に) 2,000万円の預貯金が必要」とする報告も上がっている状況でもあります。「少子高齢化問題」もあることですし、そんな否定的なことばかり聞かされると不安でしかありませんよね?

というわけで今回は、「年金」についてちょっとだけわかりやすくまとめてみました。

 

日本の年金制度

日本の年金制度は「2階建て」になっています。国民年金 (老齢基礎年金)が土台の「1階部分」で保険料は月1万6410円(2019年度)。40年間まじめに保険料を納めた人 (合計約800万円支払い) が65歳から受け取り始めると、年金額は月約6万5000円 (約10年間で元が取れる計算) です。おそらく20〜30年後には70歳以降からの受け取りが当たり前になっているでしょうから、だいたいの人たちは70歳まで働き続けることになるでしょう。つまり、最低80歳くらいまでは生きないと払ってきた年金は回収できない計算となります。もちろん、80代・90代を元気に生きてさえいれば、その頃は笑顔で暮らしていくことができるでしょう。

会社員や公務員の場合は、これに上乗せする「2階部分」の厚生年金にも加入しており、より多くの年金を受け取ることができます (毎月の給料から、原則厚生年金に含む形で国民年金の保険料も天引きされています)。つまり一般の会社員たちは、1階 & 2階部分の保険料をまとめて支払い続けているわけです。

 

 

保険料を払わなかったツケ

国民年金は現在、20歳以上・60歳未満のすべての人に「強制加入」が義務づけられています。もちろん学生であっても20歳以上であれば保険料を払う義務があるのですが、その65%ほどは「学生納付特例制度」(申請することで在学中の納付を猶予してくれる制度) を利用しています。とはいえ、10年以内に追納する必要があるので結構な負担となります。そんなわけで、追納していない人たちも少なくありません。

また、現在48歳以上の人たちは国民年金が「任意加入」だった頃に学生時代を過ごしていたことから、将来年金を満額もらえない可能性もあります。たとえば3年間ほど未納期間があったとすると、その人は(満額支払いの人と比べて) 老齢基礎年金の支給額が年間65,000円ほど少なくなる計算です。「90歳まで元気に生きるんだ」と考えている人からすると、結構な衝撃かもしれませんね。

 

 

60歳以降も年金を納めると年金額を増やせる

以上のように、(何らかの理由で) 国民年金の未納期間があった人たちは満額を支給してもらえません。「自分の年金はいったいどうなるのか」・・・気になる方は一度専門家に訊ねてみましょう。仮に残念な結果に終わってしまったあなた!実は救いの手があるんです。

満額の老齢基礎年金をもらえない方や加入期間が受給に必要な10年に満たない方は、「60歳以降に保険料を納めることができる」任意加入制度を利用することができます。60歳以上65歳未満の5年間 (納付月数480カ月まで)に国民年金保険料を納めることで、受給年金額を増やすことができるのです。

 

 

厚生年金も加入期間が長いほど年金額は増える

厚生年金に加入し続けると任意加入制度が利用できない…という問題もありますが、そんな方たちは老齢基礎年金 (国民年金)を増やせない一方で、老齢厚生年金 (厚生年金)の受給額は増やせます。60歳以降に厚生年金に加入すると、老齢厚生年金の経過的加算額が支給されるのです。

厚生年金は加入年齢によって反映される年金が異なります。20歳から60歳までは老齢基礎年金 +老齢厚生年金 (報酬比例部分)、20歳以前と60歳以降は老齢厚生年金 (報酬比例部分) +老齢厚生年金 (経過的加算額)になります。つまり、60歳以降の厚生年金加入は、増えない老齢基礎年金を穴埋めする形にもなるのです。ただし、70歳以降は原則として加入できません。

たとえば、60歳以降に39カ月間厚生年金に加入すると、老齢厚生年金 (経過的加算額) は6万3763円になります。納める厚生年金保険料は月2万7450円の39カ月分で107万550円です。これは、国民年金の任意加入制度を利用する場合に比べて約43万560円多く保険料を納めることになりますが、65〜90歳の約25年間年金を受給すると考えた場合、受け取り総額は319万7275円となり、任意加入制度の場合より161万2700円多くなります。

 

 

 

おわりに

 こうした制度について知らなかった皆さん!60歳以降、嘱託社員として働くのも悪くないですね。また、現在扶養内でパートをしている奥様方は、「扶養を外れて社会保険加入を考えたほうがいい」かもしれません。なぜなら、将来的に社会保険の扶養は縮小される可能性があるからです。

60歳以降も再雇用されて働く場合、厚生年金に加入し続けることになり、任意加入制度は利用できません。60歳で退職し、個人事業主として起業することも可能でしょう。ただし、その場合厚生年金に加入しないことになりますから、国民年金の任意加入制度を利用した方がいいでしょう。