4社に1社は定年退職金が出ない?

 

退職金は退職した労働者に対して支払われる金銭のことで、日本では「退職手当」「退職慰労金」などと呼ばれたりしています。欧米などでは、「法定化されている国」「されていない国」「されていなくても習慣的に払われる国」など様々で、条件などもバラバラです。

さて、皆さんは退職金をどれくらいもらえると考えていますか?ここでは、厚生労働省や日本経団連などの調査データをもとに、退職金の平均相場を紹介したいと思います。その算出・給付方法は、「企業規模」「学歴」「職種」だけではないようです。

 

退職給付制度は2種類

退職給付制度とは、一定の事由で退職する人やその親族等に対して一定の金額を支払う制度のことです。その給付方法には以下の2つがあります。

 

A:  退職一時金
退職時に一括して一時金 (退職給付手当、退職慰労金、退職功労報奨金等) を支給する制度

 

B:  退職年金制度
退職後、一定期間又は生涯に渡って一定の金額を年金として支給する制度 (「確定拠出年金」や「確定企業給付年金」など)

 

ちなみに、6割以上の企業がこの2つを併用 (A+B) しています。

 

Aのみ:約15%

Bのみ:約18%

A+B:67%

 

 

金額にはかなりの差が!

数年前に厚生労働省が行った調査によると、「退職金」は…

 

大学卒(管理・事務・技術職):約2300万円
高校卒(管理・事務・技術職):約1900万円
高校卒(現業職):約1500万円

 

(物価は上がっているにも関わらず、以前と比べてそれぞれ200万円ほど減額)

(給与の3〜4年分が支給)

 

 

また、学歴のみならず、給付制度のあり方によってもかなりの差があるようです。

 

☆  大学卒
Aのみ:約1500万円
Bのみ:約2100万円
AとBの併用:約2500万円

 

☆  高校卒
Aのみ:1400万円
Bのみ:1800万円
AとBの併用:2200万円

 

つまり、「退職金」は学歴給付制度によって大きな差が生じているようです。

 

 

60歳定年退職金の平均額

役職・昇進・企業規模・個人の能力などにもよりますが、一般的に「60歳で定年退職した場合の退職金」は大学卒で2300万円、高校卒1900万円ほどと考えられています。

 

●60歳定年退職の平均退職金の額 
1992年:大学卒2600万円 / 高校卒2300万円
2002年:大学卒2500万円 / 高校卒2200万円
2008年:大学卒2400万円 / 高校卒2200万円
2010年:大学卒2400万円 / 高校卒2150万円
2012年:大学卒2350万円 / 高校卒2000万円
2014年:大学卒2300万円 / 高校卒1900万円

 

そして、残念ながら大手企業ではなく中小企業 (高卒) の場合はこれよりもグンと下がり、1200万円ほどになってしまいます。

つまり、定年退職金の額は「職種」「学歴」「勤続年数」「企業規模」「給付制度の形態」によって大きく差が出てしまうのです。

 

 

4社に1社は定年退職金が出ない?

少子高齢がさらに進んでいく日本において、今後は「退職金制度や定年制の見直し」「厚生年金基金の廃止」「確定拠出年金制度の加入資格の拡大」「拠出上限額の引き上げ」など様々な要因から、「年金」は激変していくでしょう。それはリタイアメント・プランニングのみならず、住宅ローンの組み方など人生そのものに大きく影響してきます。

現状において、4社に1社が定年退職金を出していないといったデータもあります。定年退職をすると、必ず退職金が支払われるわけではないのです。退職給付制度がある企業は75%。つまり、4社に1社は退職給付制度がないのですから。あなたの勤務先は大丈夫ですか?

 

 


最終更新日:2019/10/20