夏のエアコンは24時間つけっぱなしがお得?

 

近年は温暖化などの異常気象の影響からか、真夏日が増えています。「快適」より「節約」を選んでしまうと熱中症になってしまうかもしれません。とはいえ、容赦なくエアコン (冷房) を使ってしまうと電気代が高額に!

そこで今回は、エアコンの賢い使い方について簡単にまとめてみました。

 

省エネのための基礎知識

まずはじめに、エアコンの電気代を計算するためには「消費電力」がキーワードになるということを覚えておきましょう。この「消費電力」はメーカー・機種・年代・性能などによって異なりますが、一般的には暖房よりも冷房の方が省エネとされています。そして、電化製品はなんでも立ち上がり直後が一番電気代がかかるということも抑えておきましょう!

 

つまり、

  • 立ち上げ直後1時間のコスト:約30円
  • 運転安定時、1時間あたりのコスト:約3円

 

冬の暖房の場合は、立ち上がり1時間で約50円。安定時の運転については暖房も冷房もほぼ変わらず、約3円です。

(1時間あたりの電気代は「機種」「設定温度」などによって異なります)

 

 

24時間つけっぱなしだと…

ちなみに、

  • 24時間つけっぱなし・・・約3(円)×24(時間)=約72(円)
  • 12時間だけエアコン使用・・・約30(円)+約3(円)×11(時間)=約63(円)

 

以上のような結果から、「12時間も24時間もほぼ同額」…と言っていいでしょう。であれば、高齢者などほぼ1日中家にいる方は我慢せず、24時間つけっぱなしにしていた方が熱中症のリスクを下げられます。何より、「快適」「節約」の両方の面からお得です。

逆に、何度もつけたり消したりする方が「電気代の高騰」につながってしまうんです。

 

 

「除湿」は「冷房」よりお得?

日本の夏、人々を不快にするのは「湿気」です。この湿気が空気中からなくなるだけで私たちは快適に過ごすことができます。というわけで、「冷房より除湿がお得」という先入観もあって「除湿」を多用する方もいるのではないでしょうか。本当のところ、どちらが安く済むのでしょうか?

実は、「除湿」には様々なタイプがあって、「除湿の効果」や「電気代」に関しては一概に言うことができません。例えば、「弱冷房除湿」であれば「冷房」よりも安いのですが、「再熱除湿」であれば「冷房」よりも高くつきます。

 

 

「室温を下げる」= 「電気代がかかる」

除湿には、「強」「標準」「弱」といくつかのモード設定があります。一般的にこの設定は、「強」がマイナス3度、「標準」がマイナス2度、「弱」がマイナス1度となっており、「標準モード」に設定すれば「弱冷房のマイナス2度」で運転することになります。

通常、エアコン (冷暖房) は設定温度を決めますが、「除湿」の場合、温度の下げ幅が自動的に決まってしまいます。例えば外気温が30℃の真夏日に「冷房」で「24℃」に設定すると、エアコンは6度の温度差を埋めるようにフルパワーで冷気を出し続けます。

 

一方「除湿」の場合、「マイナス3度」など限られた下げ幅でしか運転できません。この場合、6度下げようとする「冷房」は3度下げようとする「除湿」よりも電気代がかかることになります。

「室温を下げる=電気代がかかる」のです。

 

 

「再熱除湿」が一番高くつく

「再熱除湿」は「冷えすぎ」を防止し、快適な湿度・温度を保ってくれる除湿方式です。快適なことこの上なしなわけですが、一方で「冷房」よりも電気代がかかってしまいます。なぜなら、空気を取り込む → 除湿する → 空気を温める → 適温で室内に送るからです。つまり、「再熱除湿」のような高性能の除湿法はコスト高になる…ということも一応覚えておきましょう。

普通に「冷房」をかけていた方が電気代は安くなるかもしれません。しかしながら、体に優しい快適さを考えると、高齢者や女性・子供のためには「再熱除湿」がベターなのかもしれません。電気代を節約するのか、快適さを取るのか。。。ですね。

 

 

除湿の消費電力

エアコンメーカーのホームページを見てみると、「暖房」「冷房」の消費電力は掲載されていますが、「除湿」のデータってあんまり見当たらないことないですか?これは、「除湿」方式がメーカーによって異なったり、温度や湿度の違いによって消費電力が違うためだそうです。とはいえ、だいたいでもいいから除湿の消費電力を知りたい…という方もいるでしょう。

そこでここでは、ダイキンの「うるるとさらら」を例に、除湿の消費電力を比較したいと思います。

 

例えば、筆者が使っている最新モデル機種「さらら除湿」で運転すると105Wかかります (室内温度28度、室内湿度60%の場合)。これだと冷房運転の安定時の消費電力に近いので、かなり省エネです。仮に「除湿」の消費電力が105W、電気代が1時間約3円とすると、24時間つけっぱなしの運転で約72円 (3円 × 24時間)。もし、消費電力が300Wになれば約180円になってしまいます。

この「さらら除湿」(ハイブリッド方式) は再熱除湿ではありません。再熱除湿であればもっと高額になることが考えられます。また、通常の「除湿」でも電気代は「冷房」よりかさむ可能性があります。

 

 

結局、24時間つけっぱなしはお得なの?

いろいろと「冷房」「除湿」代の節約方法を考察してきましたが、結局のところ「24時間つけっぱなしが得」なのかどうかはメーカーの専門家もはっきり明言していません (ケースバイケース)。

 

結論としては、

  • 長時間外出するなら電源を切る
  • ちょっとだけお出かけなら電源は落とさない
  • 冷房か除湿かは温度の下げ幅で選択する
  • 扇風機・うちわ・打ち水なども併用する
  • エアコンの室外機周りは風通しをよくしておく

 

また、

  1. 古いエアコンはなるべく使わない
  2. 部屋の広さに合ったエアコンを使う
  3. 木造や鉄筋など、住宅の機密性に合わせてエアコンの機種を選ぶ
  4. エアコンのフィルターはこまめに掃除する

といったポイントもきちんと抑えておいてください。

 

旧式のエアコンは冷房効率が低く消費電力が膨大。一方で、最新のエアコンは省エネタイプが多いので無駄な電気代を抑えることができます。20年以上前のエアコンともなると、年間の電気代は1万円以上高くなります。古いエアコンで24時間運転するなんて…。ちょっと恐ろしいですね。

というわけで、「運転のon / offを頻繁に繰り返さない」「様々な省エネ法を工夫する」ことを念頭に、賢く節電していってくださいね。