重症心身障害児を産んだら人生終わった?答えは「ノー」です
「障害児の母です。 重度の脳性麻痺で呼吸障害があり寝たきりの全介護です。 毎日介護、病院やリハビリ、家事と頑張ってきましたが、なんだか疲れてしまいました・・・。」
「夫の家族とは、障害のある子供を産んでから不仲になりました。 障害児が居るだけで見下され、疎外され・・・。夫ともあまりうまくいっていません。」
「でも、どんなに重い障害を持っていても我が子は可愛いですし大切な宝物です。」
年々増加している障害児を持つ親の苦しみは経済面・精神面、そして様々な人間関係にも及んでいます。あなたはこの問題についてどう考えますか?
重症心身障害児とは
重症心身障害とは、重度の知的障害および重度の肢体不自由が重複している状態を重症心身障害といい、その状態にある子供を重症心身障害児といいます。かつては「重心」と呼ばれていたこともありましたが差別的ニュアンスが強いため、現在では「重症心身障害者 (児) 」と呼ばれるようになっています。
教育方法としては、個々の状態に応じて特別支援学校に通うことになります。保護者・教員・その他関係する人たちの負担をどう軽減させるのか、本人にとってより適切な教育・療育手段はどういったものなのか、課題は尽きません。
障害児を持つママの現実
現在、日本には18歳未満の身体障害児は約10万人。そのほとんどは在宅で看護されていると言われています。また、障害児を持つ母親の就業率は5%で、通常の就業率と比べはるかに低い数字となっています。
物理的に不可能、というだけでなく、世間の目も厳しいようです。「あなた、子供を施設に預けて働くなんて母親じゃない。子供の療育や介護に専念するのが母の務めでしょ。」
こうして、障害児の母親は「精神的」にも「経済的」にも社会との関わり方においても苦しめられていくのです。障害は、先天性の場合と後天性の場合がありますが、誰にでも起こり得ることだからこそ、周囲で助け合える環境が必要なのではないでしょうか。
「チューブがついている子の保育園入園は難しいですね…」
日本では、障害児の母親の95%がフルタイムの仕事には就けません。そして、今の日本の保育園では「医療的ケアが必要な重度障害児」は受け入れてもらえません。障害児対象の通所施設では母親の同伴が求められ、ほぼ一日中、在宅でお子さんの介護にあたる母親が多いのです。
このように、障害児のママたちは、精神的・肉体的に大きな負担を負っているということをまずは知っていただきたいのです。
経済的負担 (医療費・療養費など) もけっして小さくはなく、その上離婚して母子家庭となる方も少なくはなく、結果として生活保護の受給を余儀なくされるケースも多々あるのです。
そして何より、未就学の重症心身障害児や医療的ケア児の人口は自治体も把握しておらず、就労できずに困っている家庭の数も把握できていません。そのため、障害児を持つ親は行政の助けを得られないことも珍しくはないのです。
当然、「チューブがついている子の保育園入園は難しいですねぇ」と言われてしまうことなど珍しくもないのです。
◯◯ちゃんの一日
◯◯ちゃんに初めて会った時、「わぁ、なんて美しい瞳をしているんだろう」と思いました。彼女の小さい体は曲がっています。けれど、パチッ、パチッと瞬きをする澄んだ瞳はなんとも言えない愛らしさがあります。
◯◯ちゃんは脳性マヒで、身体障害と知能障害が重複する重症心身障害児です。言葉をしゃべることはできません。強い光以外は何も見えません。発作や内臓障害もあります。
そんな彼女は現在15歳。お薬の関係もあり、規則正しい生活を送っています。食事は流動食で、たった今ニコニコしていたかと思うと、突然大きな声を出して泣き出すこともあります。肝臓障害があるということで薬を減らしたので、夜は寝つきが悪いようです。
障害児訪問保育サービスの誕生
稀なケースではありますが、ありがたいことに「障害児に対する訪問保育」を行なっている団体も存在しています。彼らは、例えば毎日8時間を上限に自宅に保育スタッフを派遣し、個々の状態に合った保育 & 看護サービスを提供しているのです。
看護師の訪問や事務局による万全なバックアップのおかげで、お母さんは毎日安心して毎日働くことができるのです。
日中の在宅保育だけではありません。療育やリハビリも施され、さらには自治体と連携し、交流の機会も与えてくれるのです。これにより、子供は小さい頃から社会と接点が持てるのです。
まとめ ☆
子どもたちを取り巻く環境は一人ひとり各家庭によって異なります。障害者家族は何を大切にしているのか、また、お子さんに望んでいることは何なのか。しっかりと考えられなければなりません。
その上で、「今までやったことがないから」や「これは嫌がるからやらせたことがない」と躊躇し “楽しさ” のチャンスを諦めさせるのではなく、「こんなこともできるんだ~」と社会性が大切であるということを家族とともに感じていただきたいのです。
確かに、現状ではまだ医療ケアが必要な子は保育園から入園を断られたりしますが、そうではなく、社会全体で障害児たちにも多くの機会を与えていかなければならないと思うのです。
医療的ケアの問題は、個々で対応が異なるため一筋縄ではいきませんが、そうした課題も含めて社会全体がさらなる上の高みにステージアップしていかなければならない・・・そうは思いませんか?