檀家をやめる方法

 

近年、「檀家を離れたい」「檀家関係が煩わしい」と考えている人が増えてきています。理由は様々ですが、例えば「実家に誰も住んでおらず、檀家関係を引き継ぐ者がいない」「お墓を田舎から今住んでいる場所に移す」といったことが背景にあるようです。

ほかにも、「多額の寄付金を求められ経済的に困っている」「信用できなくなった」「祖父母や親と同じ宗教を信仰しているわけではない」と考えている方も少なくありません。

 

ある方は、菩提寺のお坊さんに檀家をやめたいと言ったら高額の離檀料を請求されたそうです。

「これ以上 (無駄な) 寄付を続けたくない」 →   離檀希望  →  なんらかのトラブル発生…

 

 

お坊さんに対する不満

そもそも檀家の役割は、寄付を行うことによって菩提寺を維持していくことにあります。たまたま祖先から続いているとはいえ、信仰心がなかったり精神的・経済的負担を感じているようであれば「やめたい!」と思ってもなんら不思議ではありません。

離檀を希望される方の多くは、お坊さんに対して少なからず不満を抱えているようです。

 

 

 税金が優遇され過ぎていてすごく不公平

 葬儀でお経を読むだけで数十万円!坊主丸儲けすぎる!

 戒名を付けてもらうだけでなんで何十万もかかるの?

◉  仏壇のお性根抜き処分でも数十万円

 

 お布施が高額!

 高級車に乗って夜遊びしまくっている

 子供の学費まで檀家に負担させている

 そもそもお経が適当

 

 

以上のような理由から「檀家を解消したい」んだけど、問題なくやめられるのでしょうか?

 

 

 

 

檀家をやめることへの不安

煩わしい菩提寺との檀家関係を解消して精神的・経済的に身軽になりたい。

その一方で、以下のような不安があります。

 

 スムーズにやめさせてくれないのでは?

 高額の離檀料を請求されるのでは?

 ご先祖様に対して背信行為になるのでは?

 檀家をやめたら墓の移動などに協力してくれないのでは?

 

 

檀家は寺院のサポーターのようなものです。一般的に、菩提寺のお坊さんは檀家さん以外に法要を行いません。というわけで、

 これから法要が必要な時、誰に頼めばいい?

 

といった不安も出てくるでしょう。また、

 

 菩提寺にある墓はそのままで檀家をやめることはできるのか?

 

といった問題なども出てくるかもしれませんね。

 

 

さて、ここで一つ心を楽にするお話をさせていただきましょう ↓

 

 

 

 

檀家制度は江戸時代の政策だった

檀家制度は徳川家康の政策の一つです。政策ですので、宗教 (仏教) の教えとは全く関係ありません。徳川政権が勝手に、

 

  1. 日本人は必ず仏教のどこかの宗派に属しなさい
  2. 先祖代々の宗派は変えてはならない

 

としてしまったわけです。この制度を作った理由は、「キリシタンの弾圧」と「戸籍・住所管理」のため!現在のマイナンバーのような管理制度にも思えますね。

そして、なんとなくお坊さんが偉く見えてしまうのは「役所意識」を感じるからかもしれません。つまり、ブッダの教えとは全く関係のない、江戸時代の単なる政策の一つに過ぎない檀家制度は、嫌ならやめてしまえばいいわけです。

 

 

 

 

離檀の理由は正直に言おう!

以上述べてきたように、檀家関係はもともと政府の強制で始まったものです。そして現代社会においては憲法で「信教の自由」が保証されています。

宗派や宗教を変えることも、無宗教になることも、さらには菩提寺を変えることも、全く問題ないのです。したがって、菩提寺のお坊さんには正直に、檀家を離れる旨を伝えればよいでしょう。

 

 仏壇・位牌・お墓の面倒が見られず処分したい

 両親が亡くなり自分は遠方に住んでいる

 結婚を機に宗派・宗教を変えることになった

 

 

以上のような理由を述べ、「今までお世話になったお礼の気持ち」と「檀家を離れなければならない理由」を真摯に語ればよいのです。

 

ちなみに、以下のようなことを言えば引き止められやすいので言わない方がいいでしょう。

 

 単に宗派を変えたい

 なんとなく宗教を変えたい

 無宗教になりたい

 

 

 

 

離檀料は必要?

よく、高額の離檀料 (お布施 ) を請求されたという話を聞くことがありますが、これは「檀家契約書」がある場合の話です。ただ、このような書類はほとんどの場合、存在しないと思います。

仮にそのような書面が存在していて、解約時の違約金(離檀料)についての条項があったとしても、それはあなた自身が交わした契約ではありません。つまり、お寺側がなんと言ってきても、お金を支払う必要は一切ありません。

 

結論:離檀料は必要なし!

 

ただし、地域や宗派によって異なる事情もありますので、場合によっては「これまでの感謝のお布施」として10〜20万円くらいは支払うことになるかもしれません。詳細は、和尚さんや弁護士さんにご相談ください。

 

 

 

 

離檀したらお坊さんはどうやって探す?

檀家を離れた場合、葬儀や法要などの各種仏事の際にお経をあげてくれるお坊さんを新たに探さないといけない…と思うかもしれませんね。でもご安心を!

一般的な法要の際には「お坊さん手配・紹介サービス」といったものなどでお坊さんを探すことができます。お布施 (料金) が明確なので経済的な不満もなくなることでしょう。

 

 

 

 

おわりに


 

近年は、核家族が進んだことで先祖代々の家に住み続ける人が少なくなりました。人口も減ってきています。その結果、故郷でお墓を維持していくのが困難になり、檀家をやめたいと考える人も増えてきています。

正直、菩提寺にとって檀家が減ってしまうのは痛いこと…なのですが、経済的な事情や遠方へ引っ越すなど、どうしても檀家を辞めざるを得ない理由をそのまま伝えるのが一番です。

 

ここで高額な離檀料をふっかけてくる悪徳坊主であれば、「遠慮」も「気兼ね」もなくやめることができるってもんです。逆に、今まで檀家でいたことがかえって腹立たしいとさえ思えてくるかもしれません。

今後数十年で墓数も寺数も減ってくることを考えると、これが良い機会なのかもしれません。もし自分が檀家を続けても、私が死ねば関係は終わる、という方もいらっしゃるでしょう。要は、終わりの時期をいつにするか…なのです。

 

「お布施が高い」「お寺との相性が悪い」など、いろんな不満があったかもしれませんが、「先祖代々、長年お世話になってきた」という感謝の気持ちだけは忘れないようにしてくださいね。

最後に、墓じまい (遺骨の移動) をする場合には市町村の許可などの手続きが必要になります。お忘れなく。