戒名は「仏の弟子になった」ことを示す名前です。仏の世界では誰もが皆平等であることから、どんな身分の人であっても(狭義の戒名は) 「2文字」で表されます。ただし、お寺への貢献度によって、(9文字程度の広義の戒名) の文字は変化します。
そこで今回は、知っているようで知らない戒名の「意味」「ランク」「宗派ごとの違い」「お布施の目安」などについてわかりやすくまとめてみました。
戒名は、「厳しい仏教の戒律に従って修行を終え受戒した人に授けられる名前」のことです。
《続きを読む》戒名の「戒」という文字には戒め (いましめ)という意味があります。仏戒は「仏教において守らなければならない戒律」のことで、仏教徒は皆「悟り」を目指して頑張らないといけません。戒名は現在、亡くなった時に授けられますが、本来は生前に授けられていました。
皆さんは戒名に、「亡くなったらお寺の住職に付けてもらう名前」「お墓に彫る名前」「高いお金を払わないといけない」などのイメージを持っているかもしれませんね。ちなみに戒名という呼び方は、宗派によって異なります。天台宗・真言宗・浄土宗・曹洞宗・臨済宗などは戒名ですが、浄土真宗では「法名(ほうみょう)」、日蓮宗では「法号(ほうごう)」と呼びます。
広義の意味では、「院号・院殿号」「道号」「戒名」「位号」の全てをひっくるめて戒名と呼んでいます。
《続きを読む》
🔴 「院号・院殿号」
「院号・院殿号」(最高ランク) は、戒名の一番上に付けられます。院号よりも院殿号の方が高貴な尊称ですが、院殿号を授かる方はほとんどいません。もともとは貴族や武将など身分の高い人に付けられており、現在では「お寺に多額の寄付をした人」「社会的に貢献した人」「信仰が厚かった人」に付けられます。高額の戒名料を払えば授けてもらえる…とも言われています。
🔵 「道号」
「道号」は、仏道を極めた僧侶などに付けられる尊称で、字 (あざな) のほかにつける名前、言わば別名です。現在では一般の方にも授けられ、生前の別名 (ペンネーム) 等が付けられる場合もあります。なお、浄土真宗では道号は用いません。
🔴 「位号」
「位号」は、俗名でいえば「様」(さま) にあたる意味で、男性は「居士 (こじ)、信士 (しんじ)」、女性は「大姉 (だいし)、信女 (しんにょ)」が用いられます。それぞれ、前者の「居士」「大姉」の方がランクが上で、性別・年齢・位の高さ・信仰の深さによって異なります。一般的に、位が高いほど戒名料が高くなります。
⭕️ 宗派別のランク
◉ 浄土宗・真言宗・天台宗・曹洞宗・臨済宗の場合
位が高い順から
〇〇院居士 → 〇〇居士 → 〇〇信士(男性の場合)
〇〇院大姉 → 〇〇大姉 → 〇〇信女(女性の場合)
◉ 日蓮宗の場合
〇〇院居士 → 〇〇院日信士 → 〇〇院信士 → 〇〇信士(男性の場合)
〇〇院大姉 → 〇〇院日信女 → 〇〇院信女 → 〇〇信女(女性の場合)
◉ 浄土真宗の場合
〇〇院釋 → 〇〇釋(男性の場合)
〇〇院釋尼 → 〇〇釋尼(女性の場合)
未成年の子どもの場合、年齢によって呼び名が変わります。
《続きを読む》
🔴 水子 (すいし)・・・死産
🔵 嬰子・嬰女 (ようし・ようにょ)・・・乳児
🔴 孩子・孩女 (がいし・がいにょ)・・・就学前の幼児
🔵 童子・童女 (どうし・どうにょ)・・・18歳頃までの子供
実際は、中高生であっても「信士」や「信女」を付けられる場合があります。家庭の事情や菩提寺との相談で決めるといいでしょう。
戒名は本来平等であるべきですが、お寺と檀家の歴史や時代背景などによってランク付けがされています。
《続きを読む》
戒名は住職よってつけてもらいますが、その際お布施 (戒名料) が必要になってきます。戒名料は宗派や地域によって差がありますが、一般的な相場の目安は以下の通りです。
・院居士、院大姉 : 100万円~
・院信士、院信女 : 50万円~100万円
・居士、大姉 : 50万~80万円
・信士、信女 : 10万~50万円
さらに格上の「院殿」においては上限がないに等しく、数千万円という金額を払った人もいるようです。
本来お布施とは感謝の気持ちを表すもので、高く包んだからといって位の高い戒名を付けてもらえるものではないはずなのですが・・・なので、無理した金額を包む必要はありません。いくら包めばいいのかわからない場合は、同じお寺にお世話になった方などに聞いてみるといいでしょう。菩提寺の住職に直接相談するのも一つの方法ですが、はっきりと金額を提示する方は少ないかもしれません。
一般の方の場合、位の高い順に「大居士・清大姉」「居士・大姉」「禅定門・禅定尼」「清信士・清信女」「信士・信女」となります。子どもは、童子・童女、孩子・孩女、嬰子・嬰女です。実は江戸時代には「庶民→信士」「武士→居士」のように戒名は身分で決まっていました。 明治時代に自由化されたことで、商人などが高いお金を支払って良い戒名を手に入れるようになったことが始まりといわれています。
配偶者がすでに亡くなって納骨されている場合、同じお墓に入るのであれば同程度の位の戒名を付けた方が望ましいと言われています。しかしながら戒名は、あくまでもお寺への貢献の度合いやそれぞれの生き方によって授かるものです。両親や伴侶が院号だからといって、院号を求める必要はありません。
立派な戒名を授けられるとお布施は高額になることが一般的です。さらに、後々お寺から高額な寄付を求められることにもなりかねません。そのようなことまで考えて、無理のない戒名料を支払うとよいのではないでしょうか。