死者相次ぐマダニ被害!その予防と対処法
2016年夏、北海道に住む40歳代の男性がダニ媒介脳炎に罹患しました。これはマダニが媒介する疾患で、重症化した場合死亡する恐れもあるのです。
ダニ媒介脳炎は、ウイルスを保有するマダニに噛まれることで感染します。発熱、頭痛、筋肉痛などの症状が現われ、脳炎・髄膜炎になって死に至ることもあるのです。
感染した山羊や羊などの未殺菌の乳を飲んで感染することもありますが、人から人に直接感染することはないとされています。
今回被害に遭った北海道の男性患者はダニに噛まれて発症。発熱、意識障害、麻痺、けいれん、筋肉痛が見られ、脳炎と髄膜炎を発症しました (海外渡航歴はなかったようです)。
海外ではマダニが生息する地域で患者が発生するケースが少なくありません。そこで、海外では血液製剤を使ったガンマグロブリン療法やワクチンの接種が行われているのですが、
日本国内ではワクチンが未承認のため、ガンマグロブリン療法は行われていないのです。
日本では、厚労省が「草の茂ったマダニの生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボンを着用し、サンダルのような肌を露出するようなものは履かないことが大事」と注意喚起するのみとなっているのです。
マダニは、家に生息する家ダニやヒゼンダニと違い、体長20~30ミリと大きく、固い外皮に覆われています。
何より怖いのは、マダニの栄養源は動物の血液だということ。動物に寄生し吸血するのです。複数の動物への寄生を繰り返しながら自然環境の中で暮らしているのです。
主な生息地は山野なのですが、近年では自宅などのちょっとした庭にも生息する可能性がありますので、家庭菜園や草むしりなどを行う際には十分お気をつけください。
当然、アウトドアのレジャーなどでたまたまマダニに接触、なんてことは十分あり得ることなので、長袖・長ズボン・靴は絶対に必要な格好となります。
マダニに刺されると、その細菌やウイルスによって様々な感染症が引き起こされます。
マダニが原因となる感染症には「ライム病」「ツツガムシ病」などいろんな種類があるのですが、近年特に注目されているのは「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」です。
STFSというウイルスをもつマダニに刺されることで起こる感染症で、噛まれてからおよそ6日~2週間程度の潜伏期間を経て、発熱、下痢、腹痛、嘔吐などの消化器症状が現れます。
※ 現在のところ有効な治療法はなく、重症化すると死に至ることも
マダニは野生動物が生息する山野だけでなく、民家の裏庭や畑、あぜ道などにも生息しています。そこで、アウトドアなどのレジャーで山野に立ち入る際や農作業をする際だけでなく、ちょっとした庭の掃除をする際にも気をつけていただきたいのです。
特に気をつけるべきポイントとしては、
- 長袖・長ズボンを着用し肌を露出しない
- 屋外から戻ったら服や体にマダニがついていないかチェックする
- 上着や作業着は室内に持ち込まない
- 帰宅後はすぐに入浴する
春夏は特にマダニの活動が活発になる時期なので注意が必要です。
マダニは、無理に取ろうとすると体の一部が皮膚に残って化膿することがあります。また、潰してしまうとウイルスが外に出てしまい危険です。
振り払って取れればそれに越したことはないのですが、万が一噛まれている状態であれば、そのままの状態ですぐに皮膚科を受診しましょう。
どんなに注意していても、小さな虫のやることです。完全に防ぐことはできません。なるべくアウトドアレジャーを控え、いく場合は肌を露出しないようにすることが一番なのです。
そして万が一刺されてしまった場合には、病院へ行くと共に、刺された後の数週間は体調をしっかりと観察し、安静にしておきましょう。
楽しみの一つでもある家庭菜園や庭の手入れ時にも油断してはいけませんよ。サンダルなんて持ってのほか。何事もなく無事にこの暑い夏を乗り切っていきましょう ☆