夫の発達障害に悩む妻たちの「カサンドラ症候群」を理解してあげよう!
会社や社会において「大人の発達障害」が注目される中、家庭においても「大人の発達障害」は話題となっています。
そして結婚後、「発達障害」が疑われる夫を持つ妻たちが孤立や苦悩を訴える “カサンドラ症候群” の存在も明らかになってきました。
アスペルガー症候群をはじめとする「自閉症スペクトラム障害(ASD)」の夫とのコミュニケーションがうまくいかず、その状態を周りにも理解されず、心身に不調をきたした妻たち。このような状態のことを “カサンドラ症候群” というのですが、彼女たちは以下のように悩みを訴え続けているのです。
「夫は口数が極端に少なく、子どものことなどを相談してもただ黙っているだけ…」
「つらい…」
何をするにしても私一人で決めるしかなく、うまくいかないと『俺はそれがいいとは言わなかった』と。確かに夫は何も言っていないので、私のせいなんだと自分を責めるしかない。
「つらい…」
「あのね、怒らないで聞いてほしいんだけど、あなたはアスペルガー症候群じゃないのかなーって思うの。一度一緒に診断に行ってみない?」と相談を持ちかけると、『人のことを障害者扱いするな!』と怒鳴られ、それ以上はもう何も言えず…
「もう、心身ともにボロボロなんです」
とは言え、
「私自身体の具合が悪く、離婚したくてもできない状態なんです」とは50代女性の発言です。
このように、ある時ふと、もしくは以前から薄々気づいてはいたものの、「もしかしたら、私の夫は自閉症スペクトラム障害じゃないのかなー」と疑い始める妻たちも少なくありません。
悩みが深くなると「カサンドラ症候群」にまで発展してしまいます。
少し変わってはいるけれど、真面目で正義感が強く倹約家だと思っていたのに。。。
ある日、夫の風俗通いが発覚し、問い詰めたところ、キョトンとした表情で『君が傷つくとは思わなかった』と一言。なぜ私が悲しむのか全く理解できていません。どんなに説明しても、人の気持ちがわからないのです。(40代主婦)
夫婦間のコミュニケーション不全をすべて発達障害のせいにするわけにはいきませんが、夫との関係に困り果て、声を上げることさえできずに苦しむ妻が相当数いることは紛れもない事実です。
多くの大人たちが、「何らかの支援が必要」「心理教育や支援プログラムが欲しい」と答えているのです。
「誰にも相談できない。でも、助けてほしい!」と…
結果、「カサンドラ症候群」となってしまい、同じ悩みを抱える、ASDの人のパートナー妻たちのための「自助グループ」も生まれつつあります。
「夫はお金の管理ができず、会社を二つも倒産させてしまったんです」
「私 (妻) が働いて、何とか家計を支え続けてきたんです」
「女性問題を起こしたことだってあるんです」
「もう、ヘトヘトです…」
どうやら、こうした夫に共通してみられるのは、本人には悪気がないということ。そして、反省もしないということ。こうした状況であるからこそ、妻たちは苦労の連続でたくましくならざるを得ないようです。
女性としての幸せと自信を失いながら…
「自閉症スペクトラム障害(ASD)」の認知や理解が進むのはいいのですが、一方で、「カサンドラ症候群」に対する認知と理解はまだまだのようです。
周りからは、「障害者の夫に理解のない妻」と見られるのではないかと誰にも打ち明けられずにいるのです。そんな孤立感から、心身はむしばまれていきます。
ASDは確かにわかりにくい障害の一つです。それに伴い、自覚のない夫のそばで、孤独のうちに苦しんでいる妻たちのなんと多いことか…
これはもう、本人だけではどうにもなりません。認知症介護同様に、外部の助けや支援も必要なのです。妻ひとりが、全部を背負うには限界があるのです。夫婦が向き合って解決に向かうためにも、第三者の介入が必要なんです。
ASDは先天的な障害なので、完全に治るということはありません。ただ、本人がその障害を素直に受け入れ、基本的な会話のルールや、家族や社会との適切な向き合い方を学びさえすれば、コミュニケーションが円滑になることは十分に可能なのです。
「自閉症スペクトラム障害(ASD)」への理解が広まってほしいと願うと同時に、家族も何らかの困りごとを抱えている状況にも目を向けてほしいものです。離婚にも大きく関わっているであろうこの問題に対して…
皆さん、ぜひ相談に乗ってあげてくださいね☆