73億総発達障害社会をいかに生きるべきか
ADHDやアスペルガー症候群、自閉症、ディスクレシアなどの発達障害は、実は、今考えられている人数では収まりきらないほど多くの人たちが抱えている問題です。
「発達障害は個性」とも言われていますが、その個性を生かし社会の中で活躍している有名人や特別職の方々の…多くは、発達障害者と言っても言い過ぎではないのです。
ビル・ゲイツやスティーヴ・ジョブズをはじめ、トーマス・エジソン、アルバート・アインシュタイン、ケネディ元米大統領、トム・クルーズ、スティーブン・スピルバーグ、ウォルト・ディズニー、マイケル・フェルプス、スーザン・ボイル、レオナルド・ダ・ヴィンチ、長嶋茂雄、黒柳徹子…
これらの方々も発達障害とされています。
結局のところ、病気、障害、性格、資質などをどのように捉え解釈していくかにも依りますが、
例えば、スポーツ界で大活躍しているイチローや錦織圭、本田圭佑、内村航平、吉田沙保里などのトップアスリートたちも、ストイックにトレーニングする徹底した固執ぶりは発達障害の症状とも言えるでしょう。
普通の会社員として働くことは難しかったであろう北野武や所ジョージ、タモリ、明石家さんま、和田アキ子、松本人志などなど、多くの芸能人たちもそうです。
一般の人とはかけ離れた感性や才能を持ち合わせている絵画や音楽、デザインなどを手がけるアーティストたちも、医師、大学教授、ノーベル賞を受賞するような学者の方々も、その多くは発達障害を抱えているわけです。
アニメや漫画、ゲームの分野で生計を立てている人たちだってそうです。
つまり、一昔前の解釈では「(学校の)クラスに2,3人は発達障害の子どもがいる」とのことでしたが、現実にはもっともっと、たくさんの発達障害が社会には存在しているわけです。
「成功する人たちは、得意なことを活かす仕事をしています」
苦手なことを避けたり、克服する術を身につけることも大切ですが、それ以上に大事なことは「得意なことを活かす」こと。
発達障害のある人は、好きなことや得意なことに関しては普通の人の倍以上の力発揮することがあります。ならば、その能力を活かさない手はありません。
ソフトバンクの孫正義や楽天の三木谷浩史、ユニクロの柳井正らビジネスパーソンもきっとそうなのです。
2016年夏、俳優の高畑裕太(22)は、ビジネスホテルの女性従業員に性的暴行を加えケガをさせたとして、強姦致傷の疑いで逮捕されました (その後、示談成立のため釈放)。
高畑容疑者は「女性を見て欲求が抑えられなかった」と供述していましたが、これは、発達障害の特性の一つ「こだわりの強さ」が裏目に出たケースかもしれません。
最新の研究では、「大人の発達障害」が一定数存在することが分かってきました。現時点では、成人の有病率は世界全人口の3.4%と報告されています。
ただし、この数字は親や本人が生きにくさを感じ受診した結果のものなので、先に挙げた有名人や特別な職業の方々、さらには一般の社会で暮らしている診断を受けていない人たちを含めると…
おそらく3〜10人に1人くらいはいるのではないでしょうか。
近年、社会人になった後、周囲に適応しにくく生きづらさを感じ、病院で診断を受ける患者さんが増え続けていると言われています。
しかし、それはほんの一部なのです。
実際には、「なんとなく生きにくさを感じてはいるものの、自分は障害者ではない」との思いから、「これは自分の性格であり個性なんだ」としてそのまま生活を続けているだけなのです。
マドンナやブリトニー・スピアーズ、マイケル・ジャクソン、ホイットニー・ヒューストン、ジャスティン・ビーバー、パリス・ヒルトンなど、世界のセレブリティたちが度々引き起こす奇行も発達障害からきています。
こう考えると、もはや「発達障害」は「病気」のカテゴリーに分類されるよりは「性格」のカテゴリーに分類されるべきものなのかもしれません。
ただ一つ厄介なのは、「生きにくさ」がストレスとなり鬱病を発症してしまうこと。
幼い頃から「頑張ってもうまくいかない」、大人になっても「何をやってもうまくいかない」・・・
こうなってしまうと自尊心が低下し、「みんなができることを自分はなぜできないのか」という悩みから、鬱病やアルコール依存症などの二次障害を併発する危険性が高くなってしまうのです。
たまたま、イチローや長嶋茂雄のように才能を仕事に活かせた人はいいのですが、そう出来なかった人たちの多くは、うつの症状に結びついてしまいかねないのです。
大人のADHDでよく見られる、「同じミスを何度も繰り返す」「期限までに仕事を終えることができない」「時間や金銭の管理が苦手」「部屋が散らかっている」などは、成功したセレブの発達障害者にとっては何の問題もありません。
彼らにはマネージャーやお手伝いさんがいるのですから。
しかし、一般の発達障害者にとってはその一つ一つが「なぜ自分にはできないんだ?」となりストレスとなってしまうのです。
今、「大人の発達障害」は少しずつ認知されてきています。積極的に診断や治療に取り組む専門医も増えてきています。
もしもあなたが「生きづらさを日常的に感じている」のであれば、一度受診してみてください。
日常生活で何に困っているのかを知ることができれば、その対応策は幾つもあります。セレブたちのように…とはいかないまでも、周囲のサポートを得られる可能性は高まるのです。
「人類皆兄弟」
「人類皆発達障害」
そう考え、少しだけ気持ちを楽にして、自分の長所を伸ばすことに意識を向けていきましょう。