アトピー性皮膚炎の原因・症状・対処法
アトピー性皮膚炎は、強い痒みと発疹が繰り返し現れる皮膚の病気です。厚生労働省の調査によれば、乳幼児から大学生まで、1割強の人たちがこの疾患に悩まされています。
乳児期、幼少時期、思春期、そして成人期になってもなお「痒い → かく → 悪化 → 痒い…」を繰り返してしまうのです。中には、「子供の頃は大丈夫だったのに、大人になってから発症した」という方も。。。
原因
アトピー性皮膚炎の原因については未だ解明されていない部分もあるのですが、一般的には「皮膚のバリア機能が低下している乾燥状態に、アレルゲン (ダニ・ホコリ・食べ物など) が侵入したり、ストレスなどの多様な環境的要因が重なって起こる」と考えられています。
つまり、「皮膚のバリア機能障害」「免疫調整機能の低下」「遺伝」「ストレス」などの複数因子が相互に作用し合って発症するわけです。
症状
以上のように、原因は人それぞれ異なるわけですから、症状も人それぞれ。
アトピー性皮膚炎の方の皮膚はバリア機能が弱まり、水分が外へ出てしまっているため乾燥しています。この状態の皮膚は、外部からの刺激物質の侵入を受けやすくなっているのです。
「かゆい…」「たまらなく痒い…」
そこで掻いてしまうと、新たな傷が生じたり傷口が悪化したりして、皮膚の状態がさらに悪化します。掻く刺激でかゆみが増すため、また掻いてしまう・・・という悪循環になってしまいます。
対策
根本的な原因は「皮膚のバリア機能低下」にあります。そこで、この機能を正常に保つため「保湿」をしっかりと行うことが重要です (正常な皮膚では水分が保たれ、外部の刺激物質もブロックされています)。
① 水分を補おう
身体の内外から、適切に水分を補ってやりましょう!
② 水分を保とう
薬品などを用い、角質細胞の間を埋めて潤いを保つよう心がけましょう。
③ 逃さないように!
薬品などを用い、皮脂膜を強化し、水分の蒸発を防ぐよう心がけましょう。
※ 新生児期の早い時期から保湿剤を塗ることも有効とされています
※ 兎にも角にも「保湿」を心がけ、皮膚を乾燥させないことが大事です
症状が酷い場合は専門医に診てもらい、適切な処置を施してもらいましょう。原因の一つに食べ物アレルギーがある場合はその原因食を食べないようにすることも必要になってきます。
正しいスキンケアが大事!
「乾燥を防ぐこと」、そして皮膚のバリア機能を正常に保つための「スキンケア」はアトピー性皮膚炎の標準治療のひとつとされています。アトピー性皮膚炎は、症状の悪化と改善を繰り返す特徴があるため、(症状が重いときだけでなく) 軽いときもスキンケアをきちんと行うことが大切です。
そんなスキンケアの基本は、清潔な皮膚を保つための「入浴」と、皮膚のうるおいを保つための「保湿」です。この2つを正しく行い、皮膚のバリア機能をしっかりと保持しましょう。
「汗」や「不潔」は大敵です。掃除や布団干し、さらには刺激の少ない洋服を着ることも大事です。
正しい入浴法
① 泡立てる
体を洗うときは、石鹸をきちんと泡立てることが大事です。上手に泡立てるために、泡立てネットなどを活用するとよいでしょう。時間がない方や泡立てが苦手な方は、最初から泡状になったタイプの石鹸を使用してみてはいかがでしょうか。ちなみに石鹸の種類は、皮脂を取りすぎず適度なうるおいを残すタイプのものがおすすめです。
② 洗い流す
体をかるく濡らした後、①で作った泡を使って指の腹でしっかりと洗いましょう。この時、関節部のシワは伸ばすように洗います。皮膚を傷つけないために、ナイロンのタオルやスポンジ、目の粗いタオルの使用は避けましょう。洗った後は、ぬるめのお湯で十分にすすぎ、しっかりと汚れ & 泡を洗い流しましょう。
③ 浸かる
体が温まると痒みが起きやすくなるため、長時間 & 高温のお風呂は避けましょう。また、保湿成分が入った入浴剤を使用すると手が届きにくい背中などのスキンケアにも役立ちます。
④ 拭く
体を拭くときは、タオルで体を包み込み押さえるようにします。けっして擦らず、やさしく拭くことが大切です。
※ カビが症状を悪化させる原因にもなりますので、お風呂掃除も忘れずに
おわりに
アトピー性皮膚炎は「かく」ことで症状が悪化しますので、痒みは大問題!「乾燥」し「痒く」ならない為にも保湿剤を多めに塗ったり頻繁に塗ることを強くおすすめします。そうすることで、皮膚の潤いを保ち、痒みを和らげることができます。
また、痒みの原因となる「ほてり」対策として、患部に水をかけたり保冷剤を当てて冷やすことも有効です。
どうしても掻くことを我慢できない場合には、「爪を短く切る」「患部にガーゼを巻く」など、掻いても害が少なくなる工夫も必要でしょう。女性の場合はネイルを付けることで (剥がれることを避けるために) 掻かなくなります。
また、楽しい趣味や没頭できる何かを見つけることで、ストレスによる「掻く行為」を減らすことができます。