部位別!皮膚痒みの原因・症状【まとめ】

かゆみ (皮膚疾患) の原因は多種多様で、痒みが現れる部位や併発する症状も人それぞれです。というわけでここでは、考えられる「痒み」の主な原因を見ていきたいと思います。治療のためには、その種類や症状をきちんと把握することが大切ですからね! 

 

かゆみの原因

かゆみの原因には、主に以下の6つがあります。

 

①  虫刺され

蚊・ノミ・ダニ・蜂などに刺されたり噛まれたりした時に痒みや炎症が起きます

 


②  汗

汗が原因で痒みや炎症が引き起こされることもあります

 


③  肌の乾燥

肌が乾燥すると皮膚のバリア機能が低下し、外侮からの刺激を受けやすくなり、さらに刺激に過敏になってしまうため痒みを感じやすくなります

 

 

④  ハウスダスト

カビ・ダニ・ほこり・衣類の繊維・毛・フケなどに対するアレルギー反応で痒みが引き起こされる場合もあります

 


⑤  薬の副作用

飲む薬や塗り薬など、薬剤 (薬物アレルギー) が原因で身体に痒みを発症してしまう場合もあります

 


⑥  かぶれ

かぶれとは、例えば金属や化粧品、動植物、食べ物などが原因で起こる、何かが皮膚に触れたことで起こる接触性皮膚炎のことです

 

 

 

痒みが起こり安い体質とは

痒みが起こる原因は人によって様々ですが、「起こしやすい人」には以下のような特徴があるようです。

 

①  乾燥肌

健康な皮膚は (外部の刺激から肌を守る) バリア機能が正常に働いています。しかし、乾燥肌の人はこのバリア機能が低下しているため、痒みが起きやすくなるのです

 


②  アレルギー体質

アレルギーを起こしやすい人は、体質的にIgE抗体 (異物を排除するための免疫機能) と呼ばれる物質を作りやすいと考えられています

 


③  ストレス

ストレスで体が痒くなってしまう人もいるようです (そのメカニズムはよくわかっていません)。

 

 

 

全身に現れる痒み

 

①  かぶれ 

何らかの物質に触れることによって起こる痒み・炎症です。原因は多岐にわたります。

 


②  蕁麻疹

蕁麻疹 (じんましん) は皮膚の一部に強い痒みを伴う紅斑や盛り上がった膨疹 (ぼうしん) が現れ、しばらくすると消えてしまうのが特徴です。原因は様々。症状は数時間以内に治まりますが、数日続くものもあります (短期間で治まるものを急性、1ヶ月以上のものを慢性と呼びます)。

 


③  あせも (汗疹)

汗腺や汗管内に汗が溜まることで痒みや炎症が起きます。

 

 

④  皮膚掻痒 (そうよう) 症

皮膚に赤みや湿疹など目立った異常が見られないにも関わらず痒みが出るものを皮膚掻痒症と言います。全身性疾患や内臓疾患が原因の場合もありますが、高齢者は特別な疾患がなくても痒みが起こることがあります。

 


⑤  疥癬 (かいせん)

ヒゼンダニが皮膚に寄生することで起きます。小さな水疱や丘疹ができ、多くの場合は強いかゆみを伴います。

 


⑥  乾癬  (かんせん)

皮膚の赤みの上に層状に鱗のようなものが重なり、掻くとポロポロとはがれ落ちます。慢性になりやすい皮膚疾患で、痒みの程度は症状により様々です。

 


⑦  薬物性肝障害

薬の副作用によって肝機能が侵され、皮膚に痒みが生じます。この場合、痒み以外にも赤み・発疹などの皮膚症状や倦怠感、発熱、黄疸などの全身症状、食欲不振、吐き気、腹痛などの消化器症状が現れる場合あり。

 

 

 

頭皮・顔に現れる痒み

 

①  乾燥性皮膚炎

秋から冬にかけて、空気が乾燥する季節に起きやすい皮膚炎です。

 


②  脂漏 (しろう) 性皮膚炎

分泌した皮脂が刺激となって起こる皮膚炎で、頭部や顔に赤みや発疹が現れ、フケ状に粉をふいた状態になります。皮脂分泌の多い部位に現れやすく、脇の下などに見られることもあります。

 

 

 

手・足に現れる痒み

 

①  しもやけ・あかぎれ

寒さなどによる血行不良が原因で、痒みや痛みを伴った赤い発疹や腫れが生じます (しもやけ)。また、皮膚の表面にひび(あかぎれ) が生じる場合もあります。

 


②  手湿疹

要はかぶれ (接触性皮膚炎) のことですが、中でも手湿疹は水仕事が多い主婦や調理師、美容師などに多く見られます。

 

 

③  皮脂欠乏症  (乾皮症)

老化などが原因で「皮脂分泌の低下」「皮膚の水分減少」が起こり、痒くなってしまいます。症状 (痒み・ひび割れなど) は、高齢者の手足・背中・ひざ下などに多く見られます。

 


④  水虫  /  白癬 (はくせん)

カビの一種「白癬菌」が皮膚に感染し、痒みや水ぶくれなどを生じさせます。身体の様々な部位に感染する可能性がありますが、代表的なものは足に現れる白癬で、一般的に水虫と呼ばれています。

 

 

陰部に現れる痒み

 

①  肛門掻痒 (そうよう) 症

肛門とその周辺部に起こる痒みを肛門掻痒症と呼びます。体が温まると症状が強くなる傾向があります。原因は様々で、痔・肛門ポリープ・直腸脱・便秘・下痢・ストレスなど、精神的な要因によって起きる場合もあります。便や汗が原因となる一方で、ウォシュレットによる過度洗浄が原因となることも。

 


②  尖圭 (せんけい) コンジローマ

皮膚や粘膜にある小さな傷にHPV (ヒトパピローマウイルス ) というウイルスが接触し感染することによって、性器や肛門周りにイボができます。自覚症状はほとんどないのですが、人によっては痛みや痒みを生じる場合もあります。

 


③  性器カンジダ症

腟内常在菌のひとつ「カンジダ」が異常増殖することによって痒みが生じる女性特有の病気です。ストレス・疲労で免疫力が低下している時や、ホルモンバランスの変化、抗生物質による常在菌バランスの変化、高温多湿による蒸れなども原因になります。

 


④  トリコモナス膣炎

腟トリコモナス原虫の寄生によって生じる腟炎で、症状としては「悪臭の強い飛沫状のおりもの」「外陰部の強いかゆみ」「ピリピリとした刺激感」などが挙げられます。主な感染経路は性行為によるもので、そのほか、衣類・タオル・浴槽などを介して感染する場合もあります。

 

 

 

おわりに

他にも、

妊娠中の女性に起こりやすいムズムズとした痒み「妊娠性皮膚掻痒症」や、デリケートな肌を持つ赤ちゃんなどに起こりやすい「あせも」「アトピー性皮膚炎」、腎不全や肝疾患などが原因で起こる痒みなど、原因は多岐に及びます。

症状を医師に伝え、適切な処置を施してもらってください。中には原因を見極めることのできない無能な医師もいますので、その場合はセカンドオピニオンを求め、積極的に受診されることを強くおすすめします。